ゴッホが「想像力」を使って描いた絵@「エルミタージュ美術館」
「エッテンの庭の思い出」 ゴッホ 1888年 エルミタージュ美術館所蔵 女性が被る紫のスカーフや赤色のパラソル、黄色の花の配色が私は好きです。ゴッホがアルルに移ってから描かれた絵なので「エッテン」というのはアルルの近くなのかと思って調べてみるとオランダの町でした。ある時期ゴッホの両親が住むオランダの「エッテン」にゴッホが住んでいて、「エッテン」の歴史の中でゴッホは最も有名な住民となっているそうです(現在は隣町のルールと合併されて「エッテン=ルール」市に) あくまで自分の目で見たもののスケッチを基本としたゴッホにとって「想像力」で描いた絵は少ないらしく、この絵が代表的な一枚です。愛する故郷を思って描いた絵だと思うと、私には一層魅力的な絵に見えてきます。 絵の師と慕い「想像力を使って描く」ゴーギャンに倣って描いたもので、ゴーギャンの「アルルの老女たち」を手本に描いたようです。「アルルの病院の庭に<アルルの老女たち> ゴーギャン 1888年 ネットの画像から 初めゴッホは「確かに想像力で描くものは一層神秘的な性格を帯びる」と感じますが、後にこの作品は失敗作であると考えるようになりました。この時点で既にゴーギャンとの破局へ向かっていったのかと思います。 余談ですが、ゴッホが初めて日本に紹介されたのはゴッホの死から20年経った1910年(明治43年)で、ドイツから帰った森鴎外が雑誌「スバル」にヨーロッパの美術界で注目を集めている画家として紹介したそうです。 森鴎外の紹介はそっけないもののようでしたが、徐々にゴッホの生きざまに感銘を受けた作家や芸術家の間で関心や共感が広がり、1921年にはゴッホの「ひまわり」が「白樺美術館(実現せず)」のために購入され、初めてゴッホの実物の作品が日本で見られるようになったということです。