平安末期から鎌倉時代に描かれた漫画の元祖とも言われる「国宝・鳥獣戯画」百聞は一見に如かずを実感。
北海道初上陸の国宝「鳥獣戯画・京都 高山寺展」へ昨日行って来ました。大混雑が予想されるため美術館の年間パス保持者も1期(甲巻)、2期(乙巻)、3期(丙・丁巻)を通してパス使用だと1回のみの鑑賞に限定されています。 一番見応えがあると言われている1期(甲巻)の時に行かなかったのは混雑を避けたかったのと、そんなに素晴らしいものなのか?という思いからでしたが、昨日入口近くに展示された横幅10mほどの「甲巻」の「複製画」を見で「国宝」である所以を理解した気持ちになりました。 複製画を見るための長い行列に並びゆっくりと「解説書き」も読みながらカエルとウサギのユーモアたっぷりの一コマ、一コマを見ていくうちに漫画の元祖とも言われるその世界感に没入したような感覚になりました。紙と墨の絶妙な味わいもあるのだと思います。 ほとんどの絵がカエル、ウサギ、猿を擬人化したもので、何故これらの動物たちを人に準えたのか調べてみると、平安時代にカエルは「重大な出来事の前触れとなる存在」、ウサギは「不思議な力で悪者を懲らしめる役割」と考えられ優れた能力を持った者同士が遊んでいるのは「目出度い」という事のようです。そして猿は「権威の象徴」として描かれているそうです。 「甲巻」で特に気に入ったのは「カエルとウサギの相撲」で解説には「カエルは外掛けを仕掛ける。耳にかみついて引っ張るが反則だ」とあります。特別な存在でも「ズル」をするんだと何だかほっこりです。 鳥獣戯画を描いた人物について宮廷絵師か絵仏師という説があるようですが特定されておらず、また何故、鳥獣戯画を描いたのか、そして高山寺に持ち込まれた経緯は謎という事でこのミステリアス性も人気を高める理由なのかと思いました。「百聞は一見に如かず」の思いで「国宝の素晴らしさ」を実感した昨日でした。