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okaokaayaya

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2007.03.23
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カテゴリ:フィクション

『紀子の夜』

高島紀子、35歳。旧姓【吉本紀子】。

5年前、大学時代の同級生【高島和幸】と結婚した。
和幸との間には、3歳になる祐太がいるが、
現在、和幸と祐太は、和幸の実家で暮らしている。

紀子は、武の何気ない温かいメールが嬉しかった。
感情を表現するのが苦手な紀子を、理解してくれる人は多くはない。
沙織にそれとなく相談してみたが
「子供が居ないんだったら、飲み行かない?」
と逆に切り返されてしまった。
お酒飲みながら、少しは話を聞いてくれるのかという甘い期待もあったが・・・
いつもと同じ、沙織の話を聞くだけの夜になりつつあった。

沙織と話していても、心は空洞であった。
沙織の自分自慢話など、耳を通過していくだけで全く頭に残っていない。

祐太と離れて暮らすようになって二か月が過ぎていた。
夫が祐太を連れて出て行った時、働きながら子育てする事に
疲れを感じていた。
一週間目は、仕事に集中出来た。
二週間経った位から、段々祐太の顔が見れない事に違和感を感じてきた。
三週間過ぎた頃から、仕事が手につかなくなった。
それからずっと、紀子は祐太の事ばかり考えるようになり、軽い鬱状態になった。
何度か、夫の実家に電話を入れたが取り合ってもらえなかった。
強行手段で、実家の呼び鈴まで鳴らしたが、門前払いされた。
そのうち、義母は祐太を連れて、義母の実家仙台に行ってしまった。
紀子の心の水は乾ききっていた。

そんな時、今夜、偶然にも初恋の相手、武に出会った。
心の中に、一気に水が溢れてきた。
武と再会してからは、祐太に会えない寂しさを一瞬忘れる事が出来た。
遅すぎる初恋だったかもしれないが、光輝いていた高校時代を思い出す
事で、女としての自分が蘇ってきた。

今のこの枯れ果てた自分を、武に知られたくない。
【みやこんじょ】ではずっとそう考えていた。
電車の中では、現況を話さなかった事で、武を不審がらせたかもしれないと
心配になった。
祐太以外の事が、考えられるようになっていた。

そんな武は、全て知っていた。
自分の身に降りかかっている悪夢を全て知った上で、何でもいいから話していいと
いうメールを書いてくれた。
祐太に会えない今、自分を生き返らせてくれるのは武かもしれない・・・
また、祐太を連れ戻す勇気と行動力を与えてくれるかもしれない・・・
紀子は、洞窟の中からかすかに見えた明かりを大事にしようと思った。

紀子は、携帯を手にした。

=====送信文=====
紀子です。

メールありがとう。
周二から色々聞いてたんだね。

確かにここのとこずっと落ち込んでました。
でも、なんかね武くんからの何気ないメール
結構、元気出ました!

たまに、世間話に付き合ってくれると嬉しいです。
後、周二にあんまり人の事ベラベラ喋るな!って
メールしとかなきゃw

送信完了

=============

今日は、久しぶりにぐっすり寝れそうな気がしていた。
このまま布団に入って今日は眠る事にしよう。
紀子は早々に布団に入った。

ピピピ、ピピピ

携帯の着信音がなった。
「武くんかな?」
紀子は足早に携帯を取りに行った。

メールは一樹からだった。

=====受信文=====
こんばんは

一樹です。今日はお疲れ様でした。
無事に家には帰れましたか?

俺は今渋谷にいます。
結局、みんなと別れて渋谷で1人寂しく二次会してます(笑)

ところで、突然なんですが、明日って何か予定ありますか?
俺、紀子さんに会いたいんですけどダメですか?

お返事待ってます。
絶対待ってますよ~!

=============

メールを見て、紀子は落胆した。
何だか酔ってる気がする・・・
紀子は、せっかく気持ち良く眠れる夜を邪魔されたような気になった。

「明日は無理です」
短いメールを返信していた。

 


明日は誰にも会いたくない。
私が会いたいのは祐ちゃんだけ・・・

心の中でそう呟いていた。

 

 

その頃、沙織は・・・・
「今日は土曜日の夜だから、きっと携帯の電波が混線してるんだね~
私の携帯って、dokomoの最新機種だから使ってる人多そうだし~」

あくまでもネガティブである性格には、あっぱれとしか言い様がない。


この物語はフィクションです。


四つ葉次回、物語は次なる章へと展開していきます四つ葉

お楽しみに~赤ハート赤ハート赤ハート赤ハート




 







 

↓↓今までの話はこちら↓↓
良かったら読んで下さいね(^-^)/

★ACT7★『一樹の夜』
★ACT6★『武の夜』
★ACT5★『沙織の夜』
★ACT4★『同席』
★ACT3★『隣の席』
★ACT2★『みやこんじょ』
★ACT1★頬を伝う一筋の涙


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Last updated  2007.03.23 22:34:12
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