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カテゴリ:わたしらしく
わたしは、クラリネットの担当だった。 当時、同じ学年のクラリネットは私を入れて5人。 後輩も同じくらいいた。
ちょうど、私たち2年生の人数と同じ。 でも、先生は「学年では選ばない。力で決める。」と言った。
わたしは、みんなから約1年遅れて部活に入った。 力も当然違う。 いや、多分、時間だけの問題じゃないと思う。 素質の問題も、あったと思う。 わたしより上手な後輩もいたから。。。
そつなくこなすタイプだった。 勉強も、運動も、おそらく人並み以上にできた。 でも、クラリネットは違った。 わたしは、上手じゃなかった。
劣等感を感じていた。 もしかして、同級生4人と、後輩1人でコンクールに出るかもしれない。 そんなことも、頭をよぎった。 あり得ることだった。
だけど、考えれば考えるほど、イヤだった。 それはすごく、もう、部活にいられないくらい、絶対にイヤだった。 どんな努力をすればいいか分からないけれど、 どうすれば上手くなるか分からないけれど、 とにかくとにかく、練習しようと思った。 メンバーの決まる年明けまで、なんとしても、少しでも多く練習して、 わたしもメンバーに入りたい!と強く思った。
多分、29日位だったと思う。 夜、先生の家に電話した。 明日、練習したい。学校で練習したい。 申し訳ないけれど、校舎に入らせてもらえないか。。。
顧問は怖い先生だった。 電話するのも、怖かった。 その先生が、わたしからの電話に、驚いていた。 そして、翌日学校に入れてくれた。 先生は多分、ずっとはいなかったと思う。 ただ、わたしは音楽室に入れれば良かった。 たった一日かもしれない。 そんなに何も変わらないかもしれない。 でも、やらないわけにいかなかった。 練習しないでいられなかった。 泣きたいような、強く熱い気持ちが、わたしの中にあった。
年が明けて、メンバーの発表があった。 私を含めた同学年5人で、コンクールに出場することになった。
結果は、県大会の金賞だった。
どうしても出場したいと願った、あの時の気持ち。
劣等感とぶつかったとき、それに対して 「乗り越える以外、ない」と決めた、何とも言えない強い抵抗。 比較的安穏と無難に過ごしていた自分の中に、 こんなに強く揺り動かすものがあるのを初めて知った。 中学2年生だった。
新しい自分に出会った、あの時。 先生も、覚えているだろうか。 そんな話をまた、先生とできるだろうか。
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