2219278 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

リュウちゃんの懐メロ人生

リュウちゃんの懐メロ人生

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
全て | 音楽・歌謡曲・懐メロ | 懐メロカラオケ | 懐メロ歌謡曲・カラオケ | 橋幸夫 | 美空ひばり | フォト・花・伊勢神宮 | フォトブログ・曽爾高原 | フォト・花と実・斑鳩の里 | 日本映画・小説 | フォトブログ | SF映画 | 猫のフォトブログ | 株・日本航空 | 音楽・紅白歌合戦 | 日本映画(邦画) | 外国映画(洋画) | SF・天文学 | 童謡・唱歌・歌曲 | 唱歌・抒情歌・童謡 | バンクーバー冬季オリンピック | フォトブログ・園芸、春咲く花 | 梅・桜・花のフォト | 国内旅行 | 歴史・奈良遷都 | のだめカンタービレ・クラシック音楽 | バラの花のフォトブログ | 花遍路・花のフォトブログ | スポーツ | クラシック音楽 | 洋楽ポピュラーミュージック | 時事問題 | 芸術・陶芸 | 原発問題 | 奈良散策 | 藤の花 | 京都散策 | 将棋・藤井聡太四段 | ブログ | 美術鑑賞 | 葛飾北斎 | 紅葉狩り | NHK朝ドラ「エール」、古関裕而 | 将棋・藤井聡太 | 東京オリンピック、パラリンピック | 巨樹探訪 | 将棋・藤井聡太5冠 | 寒牡丹と冬牡丹 | 梅行脚 | 河津桜 | 桜行脚 | 孫姫4姉妹 | アジサイ行脚 | ハスとスイレン | 馬見丘陵公園の花 | 長浜盆梅展 | 奈良県の河津桜 | 三重県の梅の名所「鈴鹿の森庭園」「いなべ農業公園梅林」 | 月ヶ瀬梅渓 | 醍醐寺の桜 | 2つの「吉野の桜」 | 函館「五稜郭」の桜 | 大和葛城山のヤマツツジ | 近江妙連 | 西ノ京ロータスロード | 歌川広重 | 咲くやこの花館 | 海遊館
2010年02月06日
XML
カテゴリ:日本映画(邦画)
リュウちゃん、先日、山田洋次監督の最新作「おとうと」を観てきました。


山田さんの映画を初めて観たのは、昭和46年公開の「男はつらいよ純情編」、社会人になって2年目の年でした。それまで、日本の喜劇といえば、いわゆるアチャラカ喜劇で、大半の作品が、アハハと藁っておしまいという軽い感じのものだったのですが、初めて観た「寅さん」映画は、リュウちゃんのこれまでの日本の喜劇映画の考え方を180度覆すような衝撃を受けました。

この映画には、人生の喜怒哀楽が一杯詰まっているな」


それから、リュウちゃんの「寅さん」行脚が始まったのです。当時は、旧作の3本立てをやっている映画館がいくつもありまして、よく休日には三鷹にある映画館などで「寅さん3本立て」がある時には、必ず足を運びました。
新作封切りと同時に映画館に足を運ぶようになったのは、第8作の「寅次郎恋歌」(公開:昭和46年)からです。

「男はつらいよ」の第8作、「寅次郎恋歌」は、二つの点で、「寅さんシリーズ」の転機となった作品です。一つは、これまでの作品が上映時間90分前後、封切り時に2本立てを前提とした上映時間になっていましたが、「恋歌」の上映時間は113分、一挙に30分近く長い映画になりました。これにより、1本だけでも興行に耐えるだけの映画としての品格と奥行きが出てきたように思われます。

もう一つは、マドンナの役柄の設定、これまでのマドンナは、寅さんが一方的に憧れるだけの存在で、寅さんとマドンナの間には、ほとんど人間としての交流がありませんでした、また、マドンナも、単に美しい女性というだけで、彼女の人間としての、また生活者としての悩みや葛藤がほとんど描かれませんでした。
「寅次郎恋歌」での池内淳子扮するマドンナ・六波羅貴子は、一人息子が小さい時に夫と死別し、女手一つで喫茶店を経営しながら息子を育てているという設定、これまで、お人形のように実体が希薄だったマドンナの造形に、血と肉を入れた最初の作品だったように思われました。

このマドンナの設定の変更が、以降、トータル48作にもなる大河シリーズになったのだと、リュウちゃんは考えています。



「おとうと」の巻頭は、蒼井優のナレーションから始まります。彼女は、昭和40年代の高度成長期に生まれたという設定、何と、「男はつらいよ」の一場面も登場します。

リュウちゃん、この巻頭の部分から、「あッ、これは「男はつらいよ」の第1作と同じ語り口だな!」と感じました。

実際に、「おとうと」は「男はつらいよ」の設定と共通している部分が非常に多いなと思います。

具体的には、
(1) 吉永小百合扮する高野吟子と、笑福亭鶴瓶扮する丹野鉄郎(この役名、あきらかに丹波哲郎のもじりですね)との関係は、「男はつらいよ」の、さくらさんと寅さんの関係です。「男はつらいよ」は、愚兄賢妹でしたが、「おとうと」は、賢姉愚弟という訳です。

(2) 哲郎が小春(蒼井優)の結婚式で大失態を演じてしまうシーンは、「男はつらいよ」第1作で、さくらの見合いの席で寅が大失態を演じてしまうシーンとダブります。

(3) 結婚式のスピーチで、哲郎が「王将」の一節を語り、歌うシーンは、寅さんが、1作の中で、必ずある熱弁を振るうシーン(いわゆる、寅のアリア)とオーバーラップします。

(4) 小春と幼なじみの大工の長田君(加瀬亮)が、「離婚したと聞いて、ヤッターとおもった」と小春に告げるシーンは、「男はつらいよ」第1作で、博が「とらや」の土間で、さくらさんに恋の告白をするシーンとダブります(第14作「寅次郎子守唄」でも、十朱幸代扮する看護婦の京子さんに、上條恒彦扮する大川青年が、同様な恋の告白をするシーンがありました)

(5) 最愛の夫と死別し、女手ひとつで人生の荒波を乗り越えていくという吟子さんの設定は、吉永さんがマドンナ・歌子さんを演じた「男はつらいよ」の第8作「柴又慕情」、並びに第13作「寅次郎恋やつれ」の歌子さんの後日談のような気がします。歌子さんは、父親(宮口精二)の反対を押し切って、瀬戸で陶芸家を目指す青年と結婚しますが、早期に死別、女ひとりで生きていくべく、伊豆大島の擁護施設に旅立つ、という設定でしたが、「おとうと」では、その後日談を見たような気がしました(夫に死別し、女手ひとつで生活していくという設定は、他にも第8作「寅次郎恋歌」の六波羅貴子さん(池内淳子)、第40作「寅次郎サラダ記念日」の原田真知子さん(三田佳子)などがあります。

「男はつらいよ」との共通点は、他にも幾つか指摘されると思います。


今回の映画の大きなテーマの一つは「人間の尊厳ある死」であると思います

寅さんの啖呵売の口上に「人間、生まれてくる時はたった一人、死んでいく時にも、たった一人で御座います」というのがありますが、どんな人間であれ、死んでいく時には、人間としての尊厳ある死を迎えたいと考える筈です。
例え、鉄郎のような、どうしようもない人生を送ったものでも、その思いは変わらない、この映画では、そんな人間誰しも持つ「尊厳ある最期」という願望を美しく映像として結実させたと思います。

鉄郎が最期を迎える「みどりのいえ」は、プロダクション・ノートによれば、東京・台東区山谷にある「きぼうのいえ」をモデルにしたようです。「きぼうのいえ」では、身寄りのない人、何らかの原因で、世間との交際を絶った人が、再び新しい人生に出発していく、あるいは、ここで人生の最期を迎える、
赤字を抱えながらも、民間設立のホスピスとして、奮闘している団体のようです。

「みどりのいえ」で最期を迎える事となった鉄郎の周りには、ある事がきっかけで絶縁状態になっていましたが、それでも肉親の情で捜索願いを出していた吟子さん、その娘の小春さん、小春さんの婚約者の大工の長田君が駆けつけます。「みどりのいえ」の園長の奥さん(石田ゆり子)が最期の鉄郎にささやく「もうすぐ楽になれます」との趣旨の呼びかけは、死んでゆく鉄郎にとって、最後の慰安となった筈です。いや、実に美しいシーンで、リュウちゃん、涙ボロボロになりました。

この映画の原案となりましたのは、昭和35年公開の市川昆監督の同タイトルの映画です。リュウちゃん、こちらの映画は、ビデオで一度観たのみで、あまり強い印象は無いのですが、岸恵子が賢いお姉さん、川口浩が、少々グレた弟、この弟が、若くして肺結核で亡くなってしまう、その臨終の際に、弟の腕にリボンを結わえ、姉の腕に結びつける、この設定を山田洋次監督は、借用しています。市川版「おとうと」は、若くして肺結核、山田版「おとうとは。初老で末期癌、死因も時代を反映している感がありますが、人間、何歳であろうとも、どのような原因であろうとも、「死」は等しく、未知で、凡人にとっては、迎えうつ覚悟が出来ないものです。この映画は、我々凡人に「人間の尊厳ある死」とは何であるかを見せてくれたような気がします。

主演の吉永小百合ちゃん、笑福亭鶴瓶は、山田監督の前作「母べえ」に続いての連続登板、「母べえ」のキャラクターを基本的には継承していますが、今作のほうが二人共、役柄に深みが出ていて、大変好感がもてました。

娘の小春を演じた蒼井優さん、何と美しく、上品で、凛とした佇まいの女性なのでしょう!

山田洋次さんは、出演した女優さんの一番美しい所を引き出す事にかけては、当代隋一の監督であるとリュウちゃんは考えていますが、また此処に、新たな「山田ビューティ・ヒロイン」が誕生しました!

ここ暫くは、リュウちゃんの「デイーヴァ(女神)」は、蒼井優様に決定!なのです。






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2010年02月07日 00時16分56秒
コメント(0) | コメントを書く



© Rakuten Group, Inc.
X