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テーマ:最近観た映画(54)
カテゴリ:日本映画(邦画)
今年38歳の西川美和監督の夢世界 それは「癒しの夢」か?「地獄の悪夢」か?
「夢売るふたり」予告編
先日、やっと西川美和監督の話題作、「夢売るふたり」を観ることが出来ました。 この映画を監督した西川美和さんは、1974年生まれ、今年38歳になる新進気鋭の女流監督です。
2003年、自作脚本による「蛇イチゴ」で監督デビュー(若干29歳での監督デビュー)、この作品は毎日映画コンクール脚本賞受賞など、数々の映画賞を受賞し、一躍、注目を浴びました。
2006年、第2作「ゆれる」を公開(32歳)、この作品は朝日ベストテン映画祭で日本映画第1位、キネマ旬報日本映画第2位を始め、数々の映画賞に輝き、西川美和の地位を不動のものにしました。キネマ旬報ベストテンでは、脚本賞も受賞しました。
2009年、第3作「ディア・ドクター」公開(35歳)、この作品は、キネマ旬報日本映画第1位を始めとして、この年の主な映画賞を独占、この作品が映画初主演となった笑福亭釣瓶もキネマ旬報、日本アカデミー賞などの主要な映画祭で主演男優賞に輝きました。
かって日本映画で女流監督と云えば、大女優であった田中絹代さんしか浮かばなかったのですが、最近では「萌の朱雀」「殯(もがり)の森」が世界的に注目された奈良出身の河瀬直美(1969年生まれ)、2007年「さくらん」でデビューし、今年2作目の「ヘルタースケルター」を公開した蜷川実花(1972年生まれ)、2006年、「かもめ食堂」を大ヒットさせた荻上直子(1972年生まれ)、「人のセックスを笑うな」の井口奈己(1967年生まれ)と、1970年前後に生まれた多士済々な女流監督が出現してきました。 これらの女流監督の中でも、商業劇映画の監督として群を抜く存在が、以上挙げた監督の中でも最年少の西川美和監督です。
西川美和監督の凄いところは、自らの監督作品はすべて彼女が観た夢からインスピレーションを得たオリジナルの原作と、それを自ら脚本にしたオリジナル脚本による映画創りをしていることです。
原作・脚本・監督すべて西川美和、まるで往年のチャップリンみたいだ、凄い!
さて、「夢売るふたり」です。 この映画は予告編にある通り、東京の片隅で小料理屋を営んでいた貫也(安部サダヲ)と妻の里子(松たか子)が結婚詐欺を企み、共謀して5人の女性を次々に騙して行く、というものです。
リュウちゃん、この映画で先ず面白いと思った点は、「騙された5人の女性」の描写です。以下に5人の「騙された女性」を挙げてみます。
(1人目)不倫相手を事故で亡くしたOL(鈴木砂羽) (2人目)結婚願望は強いが、結婚出来ないOL(田中麗奈) (3人目)孤独なウェイトリフティング選手(江原由夏) (4人目)男運の悪いソープ嬢(安藤玉恵) (5人目)夫と死別し、小学生の息子を一人で育てているハローワーク勤務のシングルマザー(木村多江)
それぞれ、身上や心の中に大きな不幸を抱えた女性達ですが、西川美和監督は、この女性達を鮮やかに描き分けます。演じた女優さんも、その役に成り切った演技で、まるで実在する本人が出演したドキュメンタリー映画を観ているような真迫の力があったと思いました。
中でも、3人目の「孤独なウェイトリフティング選手」を演じた江原由夏さん、リュウちゃんは最後まで本物のウェイトリフティング選手が、たまたまスカウトされて演技しているものとばかり思っていました。映画を観た後、家に帰ってPCで調べましたところ、かって劇団扉座に所属していたれっきとした女優さんだと判り、またまたビックリしました。
江原由夏さんがこの映画の中で搾り出すような台詞「私は怪物ですか?」は、映画を観終わった後まで、リュウちゃんの心に中にズシリと重くのしかかりました。
里子(松たか子)に唆された夫の貫也(安部サダヲ)は、上記の女性達と次々に関係を持っていくのですが、どのエピソードにも、「結婚詐欺」をやっているという意識は殆どありません。いわば、不幸な女性を助ける騎士(ナイト)の役割、5人の女性は全員、妻の里子の存在を知っていて、里子が重い病気に罹り、その治療費という名目で貫也に大金を払うという設定になっています。 この設定が「結婚詐欺」という訳なのですが、映画を観ていまして、リュウちゃんは、この貫也の行為は、結婚詐欺」という強い悪意のある行為とはとても思えませんでした。貫也が働いた「詐欺行為」は、ピンピンしている里子を、病気で死にそうだと偽ったことだけだったのですね。
貫也を演じた阿部サダヲは、現代的な意味のイケメン男子ではないのですが、女性を安心させ、この男のためなら何でも貢いでやろうという、ある種の魅力を持った男性です、妻の里子は、夫の「女にモテる特異な才能」に気付き、詐欺を唆すことになります。 阿部サダヲの演技は、「奇妙に女にモテるけれど、生活力の乏しい駄目男」を見事に演じていて秀逸だと思いました。
この映画の第一の見所は、やはり妻の里子を演じた松たか子の演技です。 2010年公開の「告白」に続く、いわゆる「悪女」役ですが、今回の里子役は、「告白」の悠子役よりより複雑、人間誰しも心の中に持っている善悪という外形では計りきれない「心の中に住む混沌としたマグマ」を、殆ど目線の変化だけで演じきったと思いました。
松たか子さん、凄い女優になったな!
西川美和の映画は、いずれも彼女が観た「夢」が作品のモティーフになっているそうです。「夢」は大体において混沌としていて、前後の脈絡に乏しいものですが、「夢売るふたり」は、その「混沌」を、そのまま作品に定着したものだとリュウちゃんは思いました。
西川美和38歳、これからどのような「夢」を見せてくれるのでしょうか? アラカンリュウちゃん、これからの西川美和の作品の「夢」に興味津々なのです。 ーーーー
松たか子「明日、春が来たら」 松たか子のデビュー曲です。この時、リュウちゃん、松さんがデビューしたレコード会社に勤務していました。懐かしい!
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