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テーマ:最近観た映画(54)
カテゴリ:日本映画(邦画)
昭和28年の東京物語」と平成25年の「東京家族」 60年を経て、家族はどう変わったのか? (原節子)
山田洋次の「東京家族」のストーリーの展開は、ほぼ60年前の小津安二郎の「東京物語」と同じです。その意味で、この映画は、「東京物語」のオマージュ(賛辞)というよりは、リメイクといったほうがいいのではないかと思います。
リメイクといっても、前回のブログでお話しましたように、人物の設定にかなり違いがあり、それが60年を経た時代・家族の変遷を表現する手段になっています。本ブログでは、2つの映画の設定の「最大の違い」から、「東京物語」と「東京家族」を比較してみたいと思います。
(「東京物語」と「東京家族」の設定の最大の違い)
★「東京物語」:次男は戦死、次男の嫁(平山紀子=原節子)が一番、老いた夫婦に共感し、実の子供以上に世話をしてくれる。 「東京家族」:次男は定職に就いていない不肖の息子、その恋人(間宮紀子=蒼井優)との交流を通して、両親と次男は和解して行く。
「東京物語」の中で一番輝いていたのが、戦死した次男の嫁を演じた原節子です。彼女は、2000年に「キネマ旬報」が発表した「20世紀の日本女優オールタイム・ベストテン」で、第1位に選ばれた20世紀を代表する女優です。「東京物語」に出演した時、彼女は32歳、太陽のように輝く美貌が正に絶頂期に達した頃の出演でした。連れ添った次男が戦死したにも拘わらず、再婚せず元の籍のままで一人で東京で働いている、上京してきた老夫婦を、実の子供以上に親身になって面倒を見る。現代では、中々ありえない話ですね。
「東京家族」では、原節子の役は、不肖の次男を演じる妻夫木聡と、その恋人を演じる蒼井優の二人に振り分けられました。リュウちゃんの感じでは、「振り分けた」理由は以下のようなものだったと思われます・ (1)「戦死した次男の妻」という役柄が、現代ではそのまま使えなかった。 (2)原節子に匹敵する女優がいなかった。それで、原節子一人に代わるキャラクターを、人気絶頂の妻夫木聡・蒼井優の二人に振り分けた。
妻夫木聡と蒼井優は、2011年3月11日に起きた東北大震災のボランティア活動で知り合いになり、愛を育んで行きます。当初、橋爪功は、妻夫木演じる次男を「定職に就かずフリーターをしている、どうしようもない不肖の息子」と思い込んでいるのですが、蒼井優の損得を離れた献身ぶりに、息子に対して心を開いていくことになります。
この「不肖の息子」に対して、かたくなだった橋爪功が、蒼井優の献身を見て心を開いて行く過程が「東京家族」の一番の見所だとリュウちゃんは思いました。
生涯、教師として堅実な社会人の生活を送った父親の目には、定職に就かずフリーター生活を送っているように見える次男は、どうしようもない社会人失格人間のように見えるのですが、現代は若者にとっては厳しい時代で、妻夫木演じた次男のような境遇にある若者は現代では、ごく一般的な存在です。現在、非正規雇用で働いている20~30代の男性は30%近くになっていて、これが女性となると40%に及んでいます。
しかし、次男は舞台美術という希望のある職についている。しかも、東北大震災のボランティア活動に参加するというような、社会に対する開かれた目と他人を思いやる優しい心を持ち合わせています。 山田洋次の映画は、団塊の世代の以前に堅実な社会生活を送った人間にとって、まるで社会の落ちこぼれのように見える次男のような人間に、常に暖かい視線とエールを送っているのですが、この映画も、だらしないと見える次男とその恋人を主役にしたことで、リアリティのある現代の家族を描くことに成功したのだとリュウちゃんは思いました。
ラストに近いシーン、父親が母の腕時計を形見分けとして、「東京物語」では原節子に、「東京家族」では蒼井優に与えるのです。
山田洋次の描く「東京家族」、この家族像、どこかで見たことがあるぞ? そうだ! 「男はつらいよ」の第8作「寅次郎恋歌」で描かれた諏訪博の家族だ!
「寅次郎恋歌」では、寅さんの妹、さくら(倍賞千恵子)の夫である博(前田吟)の母親が死に、父親の住んでいる岡山県備中高梁市で葬儀を営むことになります。 博は3人兄弟の末っ子、父親(志村喬)は元・インド哲学を教えていた大学教授、長男(梅野 泰靖)と次男(穂積 隆信)は大学を出て、サラリーマンをしている、三男の博は上の二人と違って、学生時代に親に反抗して家出、大学には行かずに、寅さんの実家の裏で印刷工(寅さんに言わせれば、「職工ふぜい」)をしている。 父親に反抗して家出をしたにも拘わらず、3人の兄弟の中では一番の親思い、上の兄二人が財産分与として、父親の住んでいる広大な宅地を売って金に替えて欲しいと暗に要求するが、父親は、この家に一人で住むことを選択する。博だけが財産分与については一言も言及しない。
以下は、妻の告別式が終って、寅さんと二人きりになった時、志村喬のつぶやく「名台詞」です。
庭一面に咲いたりんどうの花。
思わず脱線してしまいましたが、山田洋次は昭和46年公開の「寅次郎恋歌」で、19年前の「東京物語」の家族の関係をなぞることによって、小津安二郎へのオマージュとしたのではないでしょうか。
最後に一つだけ疑問を感じた点を挙げます。 それは、「東京家族」の老いた両親の年齢の設定が、「東京物語」と同じ、父=72歳、母=68歳という設定です。
リュウちゃん、「東京家族」を観ている時には、吉行和子演じる平山とみこの年齢は75~80歳の設定かと考えていましたが、映画の途中の台詞で、68歳だと判りました。
この設定は少し無理がある!
「東京物語」が作られた頃、昭和30年の平均寿命→男63,6歳、女67,8歳 「東京家族」が作られた頃、平成23年の平均寿命→男79,6歳、女86,4歳。
現代の68歳は、映画のように枯れていない筈だ!
でも、どの年代の人が見ても、観る人の家族関係を想起し、身につまされ、ホロリとさせられる新しい傑作映画が誕生したとリュウちゃんは思いました。
山田洋次さん、素晴らしい映画、有難う御座いました!
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