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テーマ:福島第1原発の大事故(67)
カテゴリ:原発問題
核エネルギーの平和利用という考え でも、これはまったくの間違いだったのです。 (小出裕章氏)
(1) マンハッタン計画 (小出裕章氏)アメリカは、原爆を造るために、ハンフォードという大変な僻地に秘密都市を造り。ここに沢山の原子炉を建設しました。このアメリカの原爆製造計画を「マンハッタン計画」といいます。 (リュウちゃん)「マンハッタン計画]とは、第2次世界大戦中、日・独:伊の枢軸国の原発開発に焦った連合国が当時の科学者・技術者を総動員して原爆の開発にあたった全てのプロジェクトです。当初、このプロジェクトの本部がニューヨーク・マンハッタンに置かれたため、この名称があります。 この計画の発端となったのは、1939年、アメリカに亡命したアルバート・アインシュタインらが、時の大統領F・ルーズベルト宛てに、ウランが強力な爆弾となり得ることを指摘する手紙を書いたことのようです(アインシュタイン=シラードの手紙)科学部門のリーダー、ロバート・オッペンハイマーの下に、テネシー州オークリッジ、ニューメキシコ州ロスアラモス、ワシントン州ハンフォード(主としてプルトニウムの生産)などに大規模な秘密工場が作られました。(リュウちゃん)枢軸国の原爆製造の懸念は、ナチス・ドイツに対するものでしたが、実は日本でも原爆の開発計画がありました。(日本の原爆開発) http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E5%8E%9F%E5%AD%90%E7%88%86%E5%BC%BE%E9%96%8B%E7%99%BAこのサイトによれば、(A) 日本では、「陸軍の二号研究」と、「海軍のF研究」という二つの原爆開発の研究があった。(B) この計画には、当時の原子力物理学者が総動員された。この中には、戦後、日本初のノーベル賞を受賞した湯川秀樹博士も含まれていた。(C) 燃料のウランは、朝鮮、満州、モンゴール等で採掘しようとしたが、うまくいかず、結局、福島県石川郡石川町で、1945年3月~終戦まで、地元の旧制私立石川中学校の生徒を勤労動員して採掘にあたった。
(2) ウランとプルトニウム
(小出氏)広島に落とされた原爆はウランで、長崎に落とされた原爆はプルトニウムという物質で出来ていました。ウランは地球上どこにでもあります。ウランは2種類の組成があります。 ★ 燃えないウラン→U238、天然に存在するウランの99,3%が、このウランです。 ★ 燃えるウラン→U235、天然に存在するウラン全体の0,7%がこのウラン、このウランを濃縮し、広島型原爆の材料にした。 (小出氏)アメリカは、、途方もない苦労をして、天然ウランの中から「同位体分離」という特殊な作業をして、燃えるウランだけを抽出し、広島型原爆を造った。 (小出氏)天然ウランの中で、僅か0,7%しか含まれていない「燃えるウラン」を利用するだけでは、割りに合わない、困ったアメリカは「燃えないウラン」を利用して新しい原爆を造ろう」と考えました。これが長崎型の「プルトニウム原爆」です。 (小出氏)天然ウランの99,3パーセントを占める「燃えないウランに「中性子」をぶつけると「ウラン239」に変わります。この物質はすぐにβ崩壊を起し、ネプツニウム239という物質に変化します。この物質もすぐにβ崩壊し、長崎型原爆の材料である「プルト二ウム239」という放射線物質に変化します。 米軍は、「ウランの中に0,7%しかない「燃えるウラン」で原爆を造るよりは、99,3%を占めている「燃えないウラン」をプルトニウムに変えて、それで原爆を造ったほうがよさそうだ」ということに気がついたのです。
(リュウちゃん)ウランは原子番号92の元素で、地球上に大量に存在している元素としては、一番原子番号が大きい元素です。ウランの同位体は全て放射性核種ですが、「燃えないウラン(U238)」が現在も地球上に大量に存在しているのは、その半減期が約45億年と長いためです。「燃えるウラン(U235)」が非常に少ないのは、その半減期が、約7億年と、「燃えないウランに較べて半減期が短い為だと思われます。地球誕生から約40億年経っていますので、誕生の当初に存在した「燃えないウラン」は当初の約1/2、「燃えるウランは当初の約1/64になっていると考えられます。 (リュウちゃん)ウランより原子番号の大きい元素を「超ウラン元素」といいます。原子番号93のネプツ二ウム、原子番号94のプルト二ウムは「超ウラン元素です。「超ウラン元素」は全て放射性核種で、半減期が短いため、(ネプツニウム239の半減期は2,4日、プルトニウム239の半減期は2万4千年)、天然には殆ど存在しません。
(3)核エネルギーの平和利用という考え
(小出氏)私が中学・高校生のとき、沢山の原爆展を見にいきましたが、その時に「原爆というものはとてつもないものだな」、「これだけのエネルギーを出すものであれば、それを平和的に利用したならば、人類のためになる筈だ」と思い、原子力の平和利用に自分の人生を賭けようと思ったのです。
でもこれが全くの間違いだったのです。 (以下、「小出裕章「原発と憲法9条を読む(4)に続きます)
次回は、今話題の高速増殖炉「もんじゅ」について採り上げる予定です。 ーーーー 小出裕章『原発と憲法9条』は、奈良・大和郡山市にある小さな出版社・遊絲社(ゆうししゃ)より発売されています。皆様、是非この本を最寄の公共図書館にリクエストして下さい。そのことで、この本が全国の原発に関心のある人々に広く読む機会が与えられることを期待致します。 http://www.yuubook.com/center/hanbai/syoseki_syousai/syousai_genken9.html
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