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カテゴリ:クラシック音楽
シューベルト歌曲集「冬の旅」全曲紹介(5)
第23曲「幻の太陽」 (大意) 三つの太陽が空にあるのを僕は見た。だが、それらは自分の太陽ではない。僕も三つの太陽を持っていたが、一番大切な二つは沈んでしまった。最後の三つ目も沈んでしまえば、僕は暗闇の中で気分良くいられるのだが、、、 (対訳) http://www.damo-net.com/uebersetzung/schubert/d911/23.htm (演奏) http://www.youtube.com/watch?v=9FmkFCVKbvQ (コメント) 若者には3つの太陽が見える。これは大気中の氷の結晶が反射して太陽の両側に2つの「幻の太陽」が見える「幻日」と呼ばれる自然現象であろうか、この詩の2つの「幻日」は、かっての恋人の目であろうか? 旋律が長短2度の動きによる2小節の動機が基本となっており、第21曲の「宿」と同じようなゆっくりとしたコラール風の歌である。
第24曲(終曲)「辻音楽師」 (大意) 村はずれに老いた手廻しオルガン弾きが立っている。かじかんだ指でオルガンを廻す。裸足で氷の上をよろめきながら歩く。小さな皿は空のままだ。 老人の周りで犬が吠え立てる。それでも老人はすべてをなすがままにまかせ、オルガンを廻すことを止めない。 風変わりな老人よ。 あなたについて行き、僕の歌にあわせてオルガンを弾いてくれないだろうか? (対訳) http://www.damo-net.com/uebersetzung/schubert/d911/24.htm (演奏) http://www.youtube.com/watch?v=IrQcNHrX0Go (コメント) 長い旅の末に、若者にとって報われるものは何もなかった。疲れ果てた若者の心には安らぎは見出せない。若者は一体、何を求めて旅を続けたのか?また当て乃無い旅を続けるのであろうか? この歌について、本ブログの(演奏)に全曲を貼り付けた名歌手・ディートリッヒ・フィッシャー=ディースカウは、「語らないことによって多くを語る音楽である。この虚無の表現は、他の作曲家にはなし得ない究極的な音楽表現である。これに類似する音楽は、世界中を探しても、恐らく日本の「能楽」以外には無いのではないか」と述べている。
「冬の旅」の全曲紹介の最後に、終曲の「辻音楽師」について後久義昭さんが語っている言葉を引用します。
「私は軽々しくこの最後の曲を解説することは出来ない。前奏を聞いているだけで胸が締め付けられそうになるが、決して不快なものではない。手廻しオルガンの演奏のようなぎくしゃくした流れが、なんとも言えない悲しみと癒しを感じさせる」
「これ以上の音楽を求めることなど出来ず、また、これほど美しい旋律もないような気がしてくる。淡々と歌う以外に表現の方法が見つからない。それだけで十分な気がする」
いよいよ本日午後2時30分、大阪の「イシハラホール」で、後久義昭(ごうきゅう・よしあき)先輩の「冬の旅」全曲リサイタルが開演します。
皆様、特に関西在住の伊勢高校OBの皆様、 是非「イシハラホール」にお出掛け下さいね!
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