全て
| 音楽・歌謡曲・懐メロ
| 懐メロカラオケ
| 懐メロ歌謡曲・カラオケ
| 橋幸夫
| 美空ひばり
| フォト・花・伊勢神宮
| フォトブログ・曽爾高原
| フォト・花と実・斑鳩の里
| 日本映画・小説
| フォトブログ
| SF映画
| 猫のフォトブログ
| 株・日本航空
| 音楽・紅白歌合戦
| 日本映画(邦画)
| 外国映画(洋画)
| SF・天文学
| 童謡・唱歌・歌曲
| 唱歌・抒情歌・童謡
| バンクーバー冬季オリンピック
| フォトブログ・園芸、春咲く花
| 梅・桜・花のフォト
| 国内旅行
| 歴史・奈良遷都
| のだめカンタービレ・クラシック音楽
| バラの花のフォトブログ
| 花遍路・花のフォトブログ
| スポーツ
| クラシック音楽
| 洋楽ポピュラーミュージック
| 時事問題
| 芸術・陶芸
| 原発問題
| 奈良散策
| 藤の花
| 京都散策
| 将棋・藤井聡太四段
| ブログ
| 美術鑑賞
| 葛飾北斎
| 紅葉狩り
| NHK朝ドラ「エール」、古関裕而
| 将棋・藤井聡太
| 東京オリンピック、パラリンピック
| 巨樹探訪
| 将棋・藤井聡太5冠
| 寒牡丹と冬牡丹
| 梅行脚
| 河津桜
| 桜行脚
| 孫姫4姉妹
| アジサイ行脚
| ハスとスイレン
| 馬見丘陵公園の花
| 長浜盆梅展
| 奈良県の河津桜
| 三重県の梅の名所「鈴鹿の森庭園」「いなべ農業公園梅林」
| 月ヶ瀬梅渓
| 醍醐寺の桜
| 2つの「吉野の桜」
| 函館「五稜郭」の桜
| 大和葛城山のヤマツツジ
| 近江妙連
| 西ノ京ロータスロード
| 歌川広重
| 咲くやこの花館
| 海遊館
テーマ:最近観た映画(54)
カテゴリ:日本映画(邦画)
ここは「魔の山」だ! (ドイツ人カストロプの言葉)
「風立ちぬ」予告編 http://www.youtube.com/watch?v=lKsauOY2EAo
前回のブログで、リュウちゃんがこの映画から受けた印象を幾つかのキーワードとして挙げ、その内、(1)「空を飛ぶ夢」、(2)「純愛」について書いてみましたが、、今回のブログでは、あと二つのキーワードについて書いてみます。
(3)トーマス・マン「魔の山」 この映画の中盤、堀越二郎が里見菜穂子と再会する軽井沢のホテルには、カストルプというドイツ人が滞在していて、二郎は彼と仲良くなります。カストルプは何度も、このホテルを「魔の山」だといいます。
この「魔の山」とは、明らかにドイツのノーベル文学賞作家・トーマス・マンが1924年に発表した小説「魔の山」を指しています。
「魔の山」のあらすじは、 「ドイツ人の青年が結核の療養の為、スイスのアルプス山脈の麓にあるダボスのサナトリウムで7年を過ごす。この長期療養期間中に彼は第1次世界大戦直前のヨーロッパの縮図を構成しているような様々な人物に出逢い、成長していく」、というものですが、
この「魔の山」の主人公の青年の名前は、ハンス・カストロプなのです。
「魔の山」の作家・トーマス・マンは、第1次世界大戦後のワイマール憲法下の共和制を支持しましたが、ヒトラー率いるナチスが台頭すると、その危険性を訴え、ヒトラーが政権を握るとスイスに亡命、その後アメリカに移住してからも、ドイツからの亡命者を支援し続けたそうです。当時の日本の小説家と違って、狭い文学の枠に捉われず、政治的発言も大いにやった作家だったようです。
小節「風立ちぬ」の著者・堀辰雄は、1930年代、肺結核療養中にヨーロッパの先端文学を読み漁ったようなので、きっと、その読書歴の中に「魔の山」も入っていた可能性は充分にあります。
映画「風立ちぬ」の中で、カストロプのエピソードはかなり特異な感じがします。恐らく、実在した堀越二郎・堀辰雄のエピソードにも、カストロプのエピソードは出てこない筈です。とすれば、これは完全に宮崎駿のオリジナル創作ということになります。
宮崎駿は何故、カストロプのエピソードをこの映画に挿入したのか?
リュウちゃんは改憲に突き進む安倍政権に対する警告の意味で、敢えてこのエピソードを挿入したと推測しますが、皆様の意見は如何でしょうか?
(4)喫煙 実際の堀越二郎はどうだったのか、よく判りませんが、この映画の中の堀越二郎は、かなりのへビースモーカーです。学生時代から喫煙していて、他の幾つかのシーンでも、美味しそうに煙草を燻らす場面が随所に出て来ます。煙草の煙がフヮンと空中に広がる印象的なシーンが幾つかありました。
リュウちゃんが特に印象に残った喫煙シーンは以下の2つです。 (1) 軽井沢のホテル、二郎の横の席にドイツ人カストロプが座り、「ドイツの煙草もこれ1本で終り」と二郎に話しかけますが、二郎は「日本の煙草は如何ですか」と、持っていた日本の煙草(銘柄「チェリー」)を勧めるシーン。 (2) 上司の家の離れで新婚生活を続ける二郎夫妻、多忙の為、遅く帰宅した二郎は、寝ている菜穂子の手を繋いで仕事を続ける。二郎「煙草が吸いたくなったので手を離すよ」、菜穂子「いいからそのまま吸って」、二郎は寝ている菜穂子の手を繋いだままで、煙草を吸う。
特に(2)の、寝ている菜穂子と手を繋いだ儘で喫煙するシーンに、皆様は違和感を感じられたのではないでしょうか? 二郎と同じ喫煙者であるリュウちゃんも、さすがにこのシーンは少し違和感を覚えました。
しかし、これらの違和感は、物語が昭和10年頃の話であるのに、今日の喫煙パッシングのモラルの目で見た違和感ではなかったかとリュウちゃんは考えています。当時の男性の喫煙率は80%を超えていて、喫煙はひとつの文化だったのですね。 皇室には明治時代から「恩賜のたばこ」があり、戦前は戦争で功を挙げた軍人に天皇から下賜されていました。戦後になってからも、叙勲者や園遊会の出席者、皇室の来賓などに、おみやげや謝礼品として使用されていましたが、嫌煙運動の高まりを受けて、2006年(平成18年)に廃止されたそうです。
黒澤明や小津安二郎などの映画を観ますと、大抵の男は喫煙します。このことを見ても、昭和の時代、喫煙は文化の一つとして定着していたことが覗えるのです。
もう一つ云いますと、宮崎駿自身が相当なへビースモーカーで、彼のアニメに出て来る男達は喫煙者が多いのですね。「風立ちぬ」の堀越二郎は、さまざまな点で宮崎駿の「分身」と云える人物造形になっているので、ヘビースモーカーに設定されたのだと思います。
「風立ちぬ」の堀越二郎と同じように、宮崎駿の分身として人物造形された例として、1992年公開の「紅の豚」の主人公、「ポルコ・ロッソ」があります。
「紅の豚」予告編 http://www.youtube.com/watch?v=bYpEmPCNOpY
ポルコ・ロッソも大のヘビースモーカー、 「紅の豚」も「風立ちぬ」と同じく、原案は月刊誌「モデルグラフィックス」に掲載されたものだったそうです。主人公は、かってイタリア空軍のエースパイロットだったのですが、戦争に嫌気がさして、魔法で豚に変身し、空中海賊相手の賞金稼ぎに転身したという設定です。
「飛行機は好きだけど、人を殺す戦争は嫌だ」という宮崎駿の「風立ちぬ」のメッセージの原点が、「紅の豚」だったのですね。
「紅の豚」のポルコ・ロッソ、「風立ちぬ」の堀越二郎、宮崎駿に共通する点は、「愛煙家で飛行機が好きだが戦争は嫌い」ということです。リュウちゃんも愛煙家の一人として、宮崎駿のメッセージには全面的に共感出来たのです。
次回(最終回)は、「風立ちぬ」の音楽について書いてみたいと思っています。
(以下、宮崎駿の新作「風立ちぬ」を観る(4)に続きます)
お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[日本映画(邦画)] カテゴリの最新記事
|