フクイチ事故後、初めての原発運転差し止め判決下る。
司法の快挙だ!
(大飯原発3、4号機)
2014年5月21日、福井地裁の樋口英明裁判長は、2012年11月に「福井から原発を止める裁判の会」が提起した大飯原発差し止め訴訟に関し
主文:大飯発電所3・4号機の原子炉を運転してはならない
という、運転差し止めの判決を下しました。
http://www.fukuishimbun.co.jp/localnews/npp_restart/50555.html
リュウちゃん、この報道を聞いて、
国策に真っ向からNoを突きつけた画期的な判決、正に快挙だ!
と思いました。
判決文要旨の全文は以下です。
http://www.news-pj.net/diary/1001
尚、原告である「福井から原発を止める裁判の会」のHPは以下です(ここにはは提訴から勝訴に至る裁判闘争の詳細が記録されています)
http://adieunpp.com/
この判決に関し、日本弁護士連合会(会長:村越進)は以下のような声明を出しました。
http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/2014/140521_2.html
以上の日弁連の声明は、本判決を高く評価した格調高いものです。以下に全文をコピーし、紹介させて頂き4ます。
(日弁連の声明文)
★福井地方裁判所は、2014年5月21日、関西電力株式会社に対し、大飯原子力発電所(以下「大飯原発」という。)から半径250km圏内の住民の人格権に基づき、同原子力発電所3号機及び4号機の原子炉について、運転の差止めを命じる判決を言い渡した。本判決は、仮処分決定を除くと、2011年3月の福島第一原発事故以降に言い渡された原発訴訟の判決としては初めてのものである。
★従来の原子力発電所をめぐる行政訴訟及び民事訴訟において、裁判所は、規制基準への適合性や適合性審査の適否の視点から、行政庁や事業者の提出する資料を慎重に評価せず、行政庁の科学技術的裁量を広く認めてきた。
★また、行政庁や事業者の原子力発電所の安全性についての主張・立証を緩やかに認めた上で、安全性の欠如について住民側に過度の立証責任を課したため、行政庁や事業者の主張を追認する結果となり、適切な判断がなされたとは言い難かった。
★これに対し本判決は、このような原子力発電所に関する従来の司法判断の枠組みからではなく、技術の危険性の性質やそのもたらす被害の大きさが判明している場合には、その性質と大きさに応じた安全性が認められるべきとの理に基づき、裁判所の判断が及ぼされるべきとしたものである。
★その上で、原子力発電所の特性、大飯原発の冷却機能の維持、閉じ込めるという構造の細部に検討を加え、大飯原発に係る安全技術及び設備は、万全ではないのではないかという疑いが残るというにとどまらず、むしろ、確たる根拠のない楽観的な見通しの下に初めて成り立ちうる脆弱なものとし、運転差止めを認めたものである。
★判決は、福島第一原発事故の深い反省の下に、国民の生存を基礎とする人格権に基づき、国民を放射性物質の危険から守るという観点から、司法の果たすべき役割を見据えてなされた、画期的判決であり、ここで示された判断の多くは、他の原子力発電所にもあてはまるものである。
★当連合会は、昨年の人権擁護大会において、いまだに福島第一原発事故の原因が解明されておらず、同事故のような事態の再発を防止する目処が立っていないこと等から、原子力発電所の再稼働を認めず、速やかに廃止すること等を内容とする決議を採択したところである。本判決は、この当連合会の見解と基本的認識を共通にするものであり、高く評価する(以下省略)
過去、原発差し止め訴訟は、殆ど全ての原発で行われて来ましたが、ことごとく原告側の敗訴に終わっています。僅かに、1999年に提起された「志賀原発2号機差し止め訴訟」で、一審の金沢地裁の井戸謙一裁判長が今回の判決と同じ、
<主文:被告は、志賀原子力発電所2号原子炉を運転してはならない>
という判決を2006年3月24日に下しましたが、2009年の控訴審で原告逆転敗訴となりました。
「志賀原発2号機差し止め訴訟」で画期的な原告勝訴の判決を下した井戸謙一・現弁護士は、今回の大飯原発訴訟の判決文を書いた金沢地裁の樋口英明裁判長に対し、以下のような賛辞を送りました。・
「ひとことで言えば、司法の矜持(きょうじ)を示した判決だ。
われわれに続く第二の判決が、3・11後にとうとう出てきた」
http://takumiuna.makusta.jp/e250187.html
しかし、被告の関西電力は、この判決を受けた翌日(5月22日)、上級審である名古屋高等裁判所に控訴しました。
http://www.fukuishimbun.co.jp/localnews/npp_restart/50575.html
報道によれば、このような民事裁判では、判決が最高裁で確定するまで原発を稼働することは可能であるとの事、このような裁判の通例では、少なくとも控訴審結審までに数年を要するとの事です。
これでは、今回の判決は、被告の関西電力にとりましては、実質的に何の痛痒もないことになります。
一審の差し止め判決にも拘わらず、あと数年は稼働が可能、
実に理不尽だ!
現時点で大飯原発を止める為には、裁判所から「差し止めの仮処分命令」が下される必要があります。今回の裁判と並行して、「おおい原発止めよう裁判の会」という別の原告団が大阪地裁で「大飯原発差し止め仮処分裁判」を闘ってきましたが、大阪地裁はこの申請を却下しました。
http://www.greenaction-japan.org/modules/wordpress/index.php?p=647
かくして、本裁判の進行中に大飯原発の運転を停止することは、原子力規制委員会による安全審査に委ねられた訳です。
しかし、原子力規制委員会で電力会社に対して厳しい姿勢で臨んできた島崎邦彦委員長代理は退任させられることになり、代わりに原発推進派の田中知(さとる)氏が任命されようとしています。
http://saigaijyouhou.com/blog-entry-2677.html
原発の再稼働を審査する規制委員会に於いて、慎重派の島崎氏を外し、新たに推進派の田中氏を任命する、
これは原発推進を標榜する安倍内閣の露骨な原発推進人事だ!
リュウちゃんは反・原発の立場の人間の一人として、今回の判決に強い共感を覚えました。次回のブログからは、今回の判決文要旨を謙虚に読んで行きたいと考えています。
(以下、「大飯原発運転差し止め判決(2)~判決文を読む(1)」に続きます)