大飯原発差し止め判決に対し、日本原子力学会から批判が出た。
とんでもない陳腐な批判だ!
福井地裁の大飯原発差し止め判決が出た一週間後の5月27日、原発を推進する立場にある「日本原子力学会」がこの判決を批判する声明文(プレスリリース)を出しました。
http://blog.goo.ne.jp/harumi-s_2005/e/69f045b6e4c3058af7f834b0a016329b
★関西電力大飯原発差止め裁判の判決に関する見解/日本原子力学会
2014 年5 月21 日、福井地方裁判所において、関西電力大飯原発運転差止請求訴訟同発電所3 号機と4 号機の運転差止請求を認める判決が出ました。
本会は、判決に対し直接コメントする立場にはありませんが、福島第一原子力発電所事故後に初めて出された原子力発電所の運転に関する判決であり、国民の皆様に原子力発電所の新しい安全対策に重大な誤解を生じさせる懸念があると考え、原子力技術の専門家の立場からの見解を表明します
第一は、事故原因が究明されていないとの指摘は事実誤認であります(以下省略。下段のリュウちゃんの再批判をご覧下さい)
第二に、ゼロリスクを求める考え方は科学技術に対する裁判所の判断として不適切です(以下省略)
第三に、工学的な安全対策を否定する考え方は不適切です(以下省略)
。
リュウちゃん、この日本原子力学会の判決批判のプレスリリースを一読して、怒りが込上げてくるのを禁じ得ませんでした。
何という不遜かつインチキな見解、!!!
こんな連中が日本の原発を支配している、恐ろしいことだ!
以下はリュウちゃんのプレスリリースの批判に対する再批判です。
★日本原子力学会のプレスリリースに対するリュウちゃんの再批判
(1)
(日本原子力学会)第一に、事故原因が究明されていないとの指摘は事実誤認、
本会は一昨年から学会を挙げて事故調査に取り組み、本年3 月、最終報告書を取り纏め、直接原因のみならず、根本原因まで明らかにした。
(リュウちゃん)日本原子力学会の事故調査の最終報告は以下です。
http://www.aesj.or.jp/jikocho/jikochohokoku20140308.pdf
この最終報告で、フクイチ事故の直接原因として、以下のように書かれています。
(1) 不十分だった津波対策、
(2) 不十分だった過酷事故対策
(3) 不十分だった緊急時対策、事故後対策及び種々の緩和・回復策、
また。フクイチ事故の「根本原因」として、以下のように書かれています。
(根本原因分析の目的)
2章から5章において事故の進展過程など実態の把握を行い,その結果を踏まえ,6章において福島第一事故においてどこに問題があったかの分析評価を行った。
また,7章においては事故の背景となった原子力安全体制の分析を行った。
このような分析評価の目的は,今回の事故の根本原因に迫り,そこから導かれる教訓を最大限に引き出して内外の原子力関係者に必要な提言を行うことにより,将来にわたる原子力災害の防止につなげることである。
皆様、以上の原子力学会の最終報告を読まれてどうお感じになられたでしょうか?
リュウちゃんはこの文章を一読して、唖然としました。
これでは、「根本原因」はおろか、「直接原因」に関しても、何も究明しているとは云えない、正に小学生以下の駄文だ!
この最終報告では、暗に想定以上の津波だけが事故の直接原因だと示唆していて、地震の揺れも大きな「直接原因」だったという説は最初から排除されています。これでは「直接原因のみならず、根本原因まで明らかにした」とは到底云えないことは明らかです。
(2)
(原子力学会)第二に、ゼロリスクを求める考え方は科学技術に対する裁判所の判断として不適切。
いかなる科学・技術も人間や環境に対してリスクをもたらしますが、科学技術によってリスクを十分に低減させた上で、その恩恵とのバランスで社会はそのリスクを受容しています。
本会は津波対策、重大事故対策および事故時対策を適切に行えば、福島第一原子力発電所事故の再発防止は可能であり、かかる意味において、原子力利用は人格権を犯すものではないと考えます。
(リュウちゃん)たしかに、自動車・電車・航空機などの発達で人類の生活は格段に向上しました、自動車の発達に付随しての交通事故の多発、日航ジャンボ機の墜落、JR福知山線の脱線事故、今年4月の韓国フェリー船転覆事故などの大事故があったからといって、ただちに自動車や航空機の開発を止めろというつもりはありません。これらの開発に「ゼロリスク」を求めるつもりはリュウちゃんもありません。
しかし、こと原発になると、話は全く別問題だとリュウちゃんは思っています。
原発の過酷事故は、広大な周辺住民の生活に壊滅的な影響を及ぼします。
フクイチの大事故で、未だに15万人に及ぶ周辺住民が住み慣れた故郷を追われ、ダラシネ(根なし草)の生活を余儀なくされています。
万一、大飯原発で過酷事故が起こったら、人命被害は別にしても、近畿の水がめである琵琶湖の放射能汚染が強く懸念されています。琵琶湖の水が使えなくなったら、それこそ近畿地方は終りなのです。
「他の科学技術にゼロリスクまでは求めないが、こと原発に関してだけは「ゼロリスク」でなくてはならない。科学技術に「ゼロリスク」は無い。だから原発は一刻も早く廃止しなければいけない」
、
以上がリュウちゃんの結論であり。原子力学会の批判に対する再批判なのです。
(3)
(原子力学会)、第三に、工学的な安全対策を否定する考え方は不適切。
現代社会は様々な形で科学技術の恩恵に浴しているが、それらの科学技術のほとんど全てに工学的な安全対策が用いられている。
原子力発電所のみ、工学的安全対策を認めないと言う考え方は公平性を旨とする裁判所の判断として不適切だと考える。
(リュウちゃん)この批判も、(2)の原発のみはゼロリスクを求めるのが国民の常識であるとすれば、こと原発のみは究極の安全対策が何処にも無いという意味で、裁判所が原発のみに工学的安全対策を認めないという判決は極めて適切だと思います。
ここでも、
「原発の究極的な工学的安全対策は、原発をゼロにすることだ」
と、この批判を再批判します。
国民は自動車。飛行機などの事故リスクに備えて、保険を掛けますが、
こと原発に関しては事故リスクに備えた保険が無い!
この点から考えても、原発はゼロリスクであり、工学的安全対策を認めない今回の判決は極めて適切だと思います。
少し古いサイトですが、以下に「原発と保険」(1)(2)というサイトを貼り付けます(リュウちゃん、これを読んで改めて原発の恐ろしさを感じました)
http://trust.watsystems.net/matuo/matuo9.html
http://trust.watsystems.net/matuo/matuo11.html
このプレスリリースの批判のよって立つ「日本原子力学会の事故調査の最終報告」は、当時この学会の会長であった田中知(さとる)氏によって報告されました。
その田中知氏が、今回の国会同意人事により、事もあろうに原発を規制する「原子力規制委員会委員」に選任されました。
http://www.iza.ne.jp/kiji/politics/news/140611/plt14061112150006-n1.html
(田中知氏)
正に泥縄、泥棒が自分を捕える縄を作るようなとんでもない人事だ!
安倍首相は、松井秀喜氏・長嶋茂雄氏の国民栄誉賞で読売新聞の渡辺恒雄オーナーに愁眉を送り、NHK経営委員会に「お友達」である百田尚樹氏、長谷川三千子氏、本田勝彦氏などを送り込み、これまた「お友達グループ」の安保法制懇を使い集団的自衛権の容認と憲法解釈の「捻じ曲げ」を行おうとしています。今回の原子力規制委員会の人事も同一線上にある、「国民の安全」よりも「大企業の目先の利益優先」の政策だと思われます。
大飯原発差し止め判決を、原子力学会の陳腐な批判によって空洞化されてはいけません。
これからの裁判の動向を注視して行きたいと強く思う次第です。
(以下 、「大飯原発運転差し止め判決(3)~判決文を読む(1)に続きます)