春日山原始林の奥にある樹齢1000年、根元直径4mの
「幻の巨大杉」、
原始林の何処にあるのか? 辿りつけるのか?
(この写真はネットから拝借しました)
2016年12月25日(昨年のクリスマス当日)、かねてから行ってみたいと思っていました「春日奥山遊歩道一周コース」を散策して来ました。
以下の写真は、この「散策コース」の案内図です。
上記案内図の右下にあります「柳生街道(滝坂の道)」から高円山ドライブウェイ(パーキングマークのある所)まで山を登り、そこから「春日奥山遊歩道」をひたすら左側に歩き、若草山山頂を経て若草山の麓に至るという全長12,5キロのハイキングコースです。
全長12,5キロとはいえ、
奈良駅から歩き途中寄り道すれば20キロ位になるぞ、
ちょっとしんどい!
という訳で、JR奈良駅から「滝坂の道」の手前までは、奈良市循環バスで行き、そこから全て徒歩で散策することにしました。
例によりまして女房殿お手製のおにぎり弁当とリュウちゃんお手製の(?)缶ビール(2缶)をリュックに詰め、午前8時法隆寺出発、午前9時、「滝坂の道」入り口のほど近い「割石町」バス停で下車、
下の写真は、奈良県指定有形文化財に指定されている「志賀直哉旧居」のすぐ近くの原始林です。春日山原始林はこの辺りから始まっているのです。
「志賀直哉旧居」から10分程、坂を上りますと「滝坂の道」への道標が見えてきました。
ここから柳生までは約16キロだ!
いつか柳生まで歩いて行くぞ!
「滝坂の道」は平安時代から鎌倉時代にかけて、南都七大寺の僧たちの「修行の場」だったようです。
江戸時代には柳生道場を目指す剣豪たちが歩いた道でもあります。
柳生十兵衛、荒木又右エ門、宮本武蔵もこの道を辿ったのかな?
道標から10分位歩きますと本格的な「滝坂の道」に入ります。
山道の横には、ずっと小さい渓流は道連れです。渓流は所々で小さい滝になっています。
この渓流の小滝が「滝坂の道」の名称の由来なのかな?
「本格的な滝坂の道」に入ってから約30分で「夕日観音」の標識に辿りつきました。
しかし、標識の周辺を見回しても、それらしき石仏は見当たらない??
「夕日観音」の地点から石畳の山道を更に上りました。この辺りは渓流の水音の他には物音一つしない静かな山道なのです。
暫く行きますと、道の右手に「朝日観音」が見えて来ました。
標識の横には、「朝日観音」の由来を書いた立て札がありました。
文永2年といえば鎌倉時代の中期、蒙古襲来の「文永の役」はこの石仏の年号の9年後に起きました。
「朝日観音」「夕日観音」を彫ったのは興福寺の僧なのかな?
「朝日観音」の少し上の山道の正面に、巨樹が見えてきました。
この巨樹、イチイガシなのかな?
「滝坂の道」を上りきる少し手前に、首が切られ赤いよだれかけをつけた石の地蔵様があります。これが「滝坂の道」で一番有名な「首切り地蔵」です。
伝説によれば、江戸時代初期の剣豪で、伊賀の「鍵谷の辻の決闘」で有名な荒木又右エ門が、柳生に向かう途中、この地蔵の首を「試し切り」したと云われていますが罰当たりな話ですね。荒木又右エ門は仏教を信仰していなかったのですかね?
「首切り地蔵」の周辺には、数本の「杉の巨樹」が生えています。下の写真は「首切り地蔵」のすぐ脇の「杉の巨樹」です。
★「地獄谷石窟仏」(聖人窟)
「首切り地蔵」から春日山の尾根を横断している「高円山ドライブウェイ」に出て、1キロほど歩き、ドライブウェイの右手の山道を500m位入った通称「地獄谷」に
「地獄谷石窟仏」があります。
「地獄谷」というおどろおどろしい地名から、どんな険しい谷なのだろうと少々怖気着いたリュウちゃんでしたが、行ってみると何の変哲もない普通の緩やかな山道、
なぁ~んだ、これじゃ「地獄谷」じゃなく「天国谷」だ!
<史跡「地獄谷石窟仏」(聖人窟)の説明パネル>
(1) 年代:不詳(奈良時代?)
(2) 作者:不詳
(3) 仏像
★凝灰岩僧を春日くり抜いた石窟で、側面に仏像が線彫りされている。聖(ひじり)が住んでいたという伝承があり、聖人窟とも呼ばれる。
★向かって右側壁:妙見菩薩坐像、
★奥壁右:十一面観音像、
★中央:廬舎那仏、
★左:薬師如来
中央の廬舎那仏は薬師如来だという説もある。
中央の廬舎那仏、まだ赤い絵の具が残っていて、かなり鮮明だ!
★「春日山石窟仏」
「地獄谷」から「首切り地蔵」から500m程上がった所にある「芳山交番所」まで戻ってきました。この交番の近くに春日奥山第2の石窟「春日山石窟仏」があります。
<史跡「春日山石窟仏」説明文>
(1) 年代:平安末期久寿2年(1155年)
(2) 作者:今如房願意と刻銘あるも伝不詳
(3) 仏像
東西2つの凝灰岩質の石窟(「東窟」、「西窟」)から成る。
「東窟」は下部四面に仏像を彫り出した石柱を中央にして、更に「第1洞」と「第2洞」に分かれる(以下略、)「西窟」には大日如来を中心とした「金剛界5仏」が残されている。
う~ん、春日奥山の2大石窟仏、凄い史跡だ!
「春日山石窟仏」から若草山に向かう道のい途中に「藪椿」(多分?)発見!
「首切り地蔵」の赤いよだれかけと赤い藪椿、
2つの「赤色」は、モノトーンの世界のオアシスだ!
いけない、もう午後1時だ、お腹が空いた。
で、「鶯の滝」への分岐点にある「大原橋休憩所」で遅い昼食、
プファ~、ビールが旨い!
初冬の冷風が心地よい!
★「春日奥山最大の山桜」
「大原橋休憩所」から若草山へ向かう途上にあります。
桜の季節に訪れたい!
午後3時、若草山頂到着、午後4時過ぎ、JR奈良駅到着、7時間に及ぶ「春日奥山散策は無事終了しました。
しかし、冒頭の写真の「直径4mの巨大杉」は何処にあるのか、全く掴むことが出来ませんでした(残念!)
この「巨大杉」実は奈良在住の女性映画監督、河瀬直美さんが2007年に発表した映画「殯(もがり)の森」のラストに登場する春日山原始林最大の巨木です。
(下記、「殯の森」の予告編の1分38秒あたりに一瞬登場します)
https://www.youtube.com/watch?v=3QGWJBriULI
リュウちゃん、この巨木につきましては「殯の森」を観て初めて知り、余りの威容に圧倒させられました。その後、この映画に主演したうだしげきさんと親しくなり、何度かこの巨木について質問しましたが、どうも要領を得ません。
判ったことは、
「この木は春日奥山遊歩道から道の無い急斜面を100m程登ったところにあり、遊歩道からは全く見ることが出来ない。また春日山原始林を管理している春日大社でも、この巨木の場所は「立ち入り禁止」にしており、巨木の近くにある場所の表示も全く無く、「秘密の場所」にしている」ということです。
「秘密の場所」にある幻の巨大杉」、
立ち入り禁止でも行って見たい!
ネットで探しましたところ、以下の「萌殯火の写真紀行」さんの「殯の森ロケ地探訪」というブログに出逢いました。
http://330.cocolog-nifty.com/blog/2013/03/post-c8c6.html
萌殯火さんは、幾多の困難を乗り越えて、
単独でこの巨木辿りついた、凄い!
(上の写真は、上記、萌殯火さんのブログより転載させて頂きました)
しかし、奈良の巨樹巨木の愛好団体の「グリーンあすなろ巨樹巨木の会」のHPには、この「大杉」の観察会の写真が掲載されている!
https://www.kyoboku.jp/
この巨樹を観るのには、「グリーンあすなろ巨樹巨木の会」に入会するのがベストのようだ。
よし、近々「グリーンあすなろ巨樹巨木の会」に入会しよう!
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(おまけ)
2017年2月9日、
リュウちゃんの住んでいる斑鳩町も初積雪、
近所の法隆寺も雪が積もりました。
リュウちゃんの家の水仙、山茶花にも積雪、終わり掛けの山茶花も雪化粧です。