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リュウちゃんの懐メロ人生

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2021年06月14日
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カテゴリ:時事問題
​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​
新型コロナ禍の収束が見通せないまま
開催されようとしている東京五輪、
本当に開催していいのか? それとも?



新型コロナ禍のため、一年延期された東京五輪の開催が、いよいよ来月(7月23日)に迫ってきました。しかし、新型コロナの猛威は、直近2週間くらいは少し下降気味であるものの、まだまだ予断を許せない状況にあります。

​​現在、東京都、大阪府、京都府、兵庫県、愛知県、福岡県、北海道、岡山県、広島県、沖縄県の一都2府6県に、6月20日まで「緊急事態宣言」が発令されています。また、緊急事態宣言に準じる「まん延防止等重点措置」は、首都圏であり埼玉県、千葉県、神奈川県など、8県に発令されています。
​​
​先月(2021年5月)に実施された新聞の世論調査では、朝日新聞が「中止」が43%、「再延期」が40%、「今夏に開催」が14%、毎日新聞では「中止」が40%、「再延期」が23%、読売新聞では「中止」が59%、「開催」は、「観客数を制限して」が16%、「無観客」が23%、計39%となっています。

2021年5月時点の世論調査では、
中止・再延期が約70%、
世論は圧倒的に中止・延期なのだ!

<IOC幹部の発言>

このように、日本国内で中止・延期の世論が高まる中、IOC幹部の発言が、日本人の心を逆撫でしました。

​<5月21日、IOCのジョン・コーツ副会長の発言>
​​「緊急事態烏宣言が出ていてもオリンピックは開催出来るのか?」という問いに対し、「絶対出来る(absolutely yes)」と答えました。


(ジョン・コーツIOC副会長)

​​
​<5月24日のIOC・トーマス・バッハ会長の発言>
​​​ビデオ・メッセージで、「東京大会を実現するために、我々はいくつかの犠牲(sacrifice)を払わなければならない」と述べました。また、それに先立つ5月5日の米国ワシントン・ポスト紙は、バッハ会長のことを「地方行脚で小麦を食べ尽くす王族のように開催国を食い物にする悪い癖がある。多額の大会経費を開催国に押し付けている」として、​「ぼったくり男爵​(Baron of the Rag)」と表現しました。


(トーマス・バッハIOC会長)
​​また、IOCの最古参委員であるディック・パウンド氏は、5月25日の英国「イブニング・スタンダード」紙の電子版で、「菅首相が中止を求めたとしても、それは個人的な意見に過ぎない。前例のないアルマゲドンに見舞われない限り、東京五輪は計画通りに進むだろう」と、持論を表明しました。


(ディック・パウンド元IOC副会長)
​トーマス・バッハ氏、ジョン・コーツ氏、ディック・パウンド氏、3人のIOCの重鎮の一連の発言は、「日本がどんなに危機的な状況にあろうとも、それには関係なく、オリンピックは開催する。そのことによって日本に新型コロナの感染大爆発が起きたとしても、それは日本の責任で、IOCには責任が無い」ということになります。
何という傲慢な発言!
何という差別的な発言!
何という無責任な発言!
一日本人として、強い怒りを覚える!

​以上のような一連の「日本の主権を侵害するような不規則発言」に対し、菅義偉首相や小池百合子都知事、橋本聖子東京オリ・パラ組織委員会会長、山下泰裕JOC会長、丸川珠代東京オリ・パラ担当大臣などの政治家・五輪責任者などは、ほとんど反論をしていません。
IOCの幹部たちの
日本人を侮蔑するような差別的発言に対し、
一言も反論しない日本の為政者達、
情けない限りだ!
日本はIOCの属国になり果てたのか?

​<菅首相「私自身は主催者ではない」>
​​
​​菅首相は、6月7日の参議院決算委員会で、立憲民主党の水岡俊一氏の「五輪開催・延期・中止の3つの選択肢の内、どれを選択するのか?」という質問に対し、「私自身は主催者ではない。私自身は国民の安心・安全を守る、そうした使命感がある」「逃げの答弁」をしました。
​​
確かに菅首相は主催者ではない。
しかし、日本の首相として、
IOCに、場合によれば「開催No」を提言することは
出来る筈だし、それが一国の首相に責任の筈だ。
それをしないのは、
IOC幹部の「暴言」に屈したということだ。
菅首相はIOCの「使用人」なのか?


(菅 義偉首相)

​<尾身 茂氏「パンデミックの中での五輪開催は普通ではない」>
​​6月3日の参議院の厚生労働委員会で、政府の新型コロナウィルス感染症対策分科会の会長である尾身 茂氏は、政府が推進しようとしている東京五輪に関して、​「本来はパンデミックの中で開催するということは普通でない。それを開催しようとしているわけで、開催するのであれば、政府もオリンピック委員会も、かなり厳しい責任を果たさないと、一般の市民のついて来れないのではないか。開催するなら、そういう強い覚悟でやってもらう必要がある」​と語りました。
​​
この提言に対し、政府側の反応は、
​​​菅首相「黙らせろ、専門家の立場を踏み越えて勘違いしている。首相にでもなったつもりなんじゃないのか!」激怒

​​
田村厚労大臣:「自主的な研究だ」​
丸川五輪担当大臣:「全く別の地平から見た言葉、通じません」
と、冷ややかなものでした。

業を煮やした尾身氏は、
「政府に言ってもIOCに届かなければ意味がない。どこに我々の考えを述べたらいいのか検討している」と発言、これが政府にショックを与えているのです。


(尾身 茂氏)
<東京五輪、海外からの来場者
​菅首相や橋本聖子・東京五輪組織委員会会長の会見などを総合しますと、例え海外からの一般観客をゼロで開催しても、以下のような「海外からの来場者」があるようです、
★参加アスリート:15000人、★審判員、コーチ、スポンサーなどの関係者:7万5千人、計約9万人(内、「オリ・パラファミリー」:5000人、各国オリンピック委員会(NOC)」:2万人、メディア関係者:2万8000人)
​​<海外からのメディア関係者28000人の行動管理>
6月8日、橋本聖子オリ:パラ組織委員会会長は、海外から来るメディア関係者約28000人に対し、

★入国後、14日間の外出先を限定。
★GPSを利用し、行動管理する。事前に登録があった外出先以外に外出したメディア関係者に対しては、強い措置をとる。
★宿泊先も組織委員会が監督する150のホテルに限定する。

と、行動管理を徹底することを表明しました。

まるで北朝鮮のような
行動監視と行動制限だ!
日本は何時から
北朝鮮になってしまったのか?


​​本来、メディアは自由に行動して取材することが、自由主義の国では、「メディアのメディアたる所以」です。テレビプロデューサーのディーブ・スペクター氏は「海外メディアが行動ルールを守る訳ないだろう」とツイートしましたが、リュウちゃんの同感です。
​​
橋本聖子殿、
貴女は何時から
共産主義者になったのですか?


​(橋本聖子・オリ・パラ組織委員会会長)

​​<オリンピック・ファミリー(五輪貴族)問題>
​​
​​海外からの来場者の中で、特に問題となるのが、「オリンピック・ファミリー」約3000人です。
​​
​​「オリンピック・ファミリー」とは、IOCの役員・委員と、その家族の総称です。王族や貴族が多く、開催都市選挙の投票権も持っており、特権意識が強く、オリンピックの開催期間中、高級ホテルに泊まり、連日、パーティを繰り広げることから「五輪貴族」と呼ばれています。​​
​2017年12月23日付けの朝日新聞の「IOCのセレブ体質」という記事には、以下のような驚くべきことが書かれています。この記事の全文は後でURLを貼り付けますが、以下に抜粋した部分を文字起こししてみます。
「例えばIOC、国際競技連盟(TF)、各国のオリンピック委員会(NOC)の幹部らの大会中の宿泊だ。IOCは開催都市契約に付属する要件で、「四つ星=五つ星のホテルを1600室、33泊確保すること」を義務付ける。東京側は立候補ファイルで、「ホテルオークラ東京」、「ANAインターコンチネンタルホテル東京」、「「ザ・プリンスパークタワー東京」、「グランドハイアット東京」の四つの五つ星ホテルの全室をIOC関係者に提供することを保証した。
さらにIOCなどの宿泊料の負担額の上限は、スイートのようなどんなに高い部屋でも一般客室でも、一律1泊400ドル(約4万4千円)、実際の宿泊料との差額は、当時の招致委員会が「(招致後に出来る組織委が保証する)と記したため、組織委が負担することになっている。招致を勝ち取るための「大盤振る舞い」が、今の組織委を苦しめている」


オリンピックは
「五輪貴族」の
贅沢三昧の場になっている!
まるで幕末の
「日米友好通商条約」
のような不平等条約だ!
看過出来ない!

(米)2021年6月11日の朝日新聞によれば、IOCはオリンピック。ファミリーの宿泊費を全額負担することになったようです、まあ当たり前のことですね。

仮に、「無観客」で開催するとしても、「オリンピックファミリー」の3000人は来賓として会場で観戦する筈です。5万人のキャパシティのオリンピックスタジアムに3000人の「五輪貴族」と日本政府の要人だけの観客、

異様過ぎる!
NBCにとっては、「絵」にならない。「無観客」で開催するのであれば、
「オリンピックファミリー」も排除すべきだ!


<選手村の問題>
​​
​​アスリート約15500人が集う「東京五輪選手村」は、「バブル方式」と呼ばれる、アスリートと外部との接触を遮断する方法で運営されようとしています。
​​
しかし、下記のコラムにより、驚くべきことが判明しました。
以下、上記コラムの一部を書き起こしてみます。

「オリ・パラでは毎回、選手村や大会競技施設でコンドーム(男性用避妊具)が無料で配布される。それも大量に。2016年のリオデジャネイロ大会では、約45万個が配られている。過去に最多の無償配布だったが、元々はHIV感染予防が目的で、1988年のソウル大会から始まった。それでも当時は約8500個だったが、2000年のシドニーでは12万個、2008年の北京でも10万個が配られた。2012年のロンドンも10万個、前回のリオデジャネイロでは現地でのジカ熱の流行もあって、大幅に増えた。日本で開催された1998年の長野冬季オリンピックでも配布されている。この時は国内企業各社がそれぞれ、2~5万個づつ寄付している。2003年の平昌大会では、選手村や競技会場のトイレ、洗面所、医務室、プレスセンターなどで箱やかごに入れられて、冬季大会史上最多の11万個が配布されたという」
「本来ならば、東京大会では新種目による選手の増員で、前回のリオ大会を上回る数のコンドームが無料配布される予定だった。しかし、新型コロナウィルスの感染拡大による1年の延期と、なんとしても感染を防ぐ「安全・安心のオリンピック」を目指すために、「バブル方式」と呼ばれる選手の行動を隔離して一般市民との接触を避ける対策を講じることや、新型コロナウィルス感染対策を示した「プレーブック」では、選手・コーチに毎日のPCR検査を義務付けていることから、よもやコンドームの配布はないものと思っていた。現状を鑑みれば、誰だってそう思うはずだ」

「予定より減少したとはいえ、16万個のコンドームを無償配布すり意図は?」

「ところが、一部報道によると、菅義偉首相が「やる」と言い張る今夏の東京大会でも、約16万個が選手村に無償配布されるという。それを大会組織委員会も認めている、といううのだ。しかも、選手村では酒類の提供、販売はしないものの、選手たちの交流を目的として、酒類の持ち込みは許されるという。大会組織委員会の担当者は、「選手は自己管理にたけていると思うので、節度を持って行動してくれるはず」と言及している。

​もはや呆れるしかない。
​​
「オリンピックでコンドームが無償配布されるのは、倫理観や不貞よりも感染症対策を優先した結果だ。むしろ、配布しておかないと感染症が広まることを意識してのことだ。言い換えれば、節度がないことを前提としている。そこでは、日本人の持つ貞操観念も意味をなさない」
​​「まるで、​「濃厚接触推奨」​のような行為、現在の日本は新型コロナの「第4波」に襲われている。そこでは、人との接触を避けることが優先され、「3密」の回避や人流の停止が呼びかけられている。それを、「ご自由にお使いください」とばかりに選手村でコンドームを無償配布するとなれば、「究極の濃密接触」を推奨しているようなものだ。まして、東京都などの飲食店では、時短営業どころか、酒類の提供すら自粛を求められている。路上飲みも事実上の禁止。それだけ、アルコールが入ると、わかっていても節操を見失ないがちだからだ。飲酒運転が無くならないことからも説明がつく。それを、選手は違う、という根拠はどこにもない。希望的観測に過ぎない。むしろ、節度が無いことは、コンドームの配布の理由が示すとおりだ。もっとも、選手はワクチンも接種していて、毎日PCR検査も受ける。市中とも隔絶される。だから感染リスクは殆ど無く、それこそ「安心・安全」な人々の集まりなのだから、お互いに交わっても支障はない、​​
​というのであれば事情も変わって来る。かえって酒池肉林の空間と化しても不思議はない」​
​​「そんな選手、関係者のために、これまで以上の医療体制を整えなければならない。それも感染拡大に苦しむ東京と首都圏を舞台にして。まだ先のこととは言え、そこに異様な不快感を覚えるのは、どこか一般市民とオリンピック参加者とを隔てる選民思想に似たものを感じ取るからだろう。オリンピック憲章の平等の精神にも値しない
​​
選手村は酒池肉林、
選手村は慰安所なのか?
女性アスリートは慰安婦なのか?
女性アスリートにピル(経口避妊薬)は
何故配布されないのか?
明らかに女性蔑視だ!

<ブラック・ボランティア問題>

東京五輪の日本人の参加者は以下のようになっています。
​★参加する日本のアスリート数:約500人、★ボランティアの数:約8万人(内、1万人が辞退)★必要な医療従事者:約5000人(内、報酬が支払われるのは、各会場の責任者50人のみ、あとはボランティア)
以上、合計8万5500人の内、何と、アスリート、各会場の医療責任者計550人を除き、全員がボランティアの参加者です。

本当にボランティアでいいのか?
何か問題はないのか?

と思って、ネット検索をしましたところ、ノンフィクション作家の本間 ​龍氏の「ブラックボランティア」(角川新書)という本がることを知りました。




(本間 龍氏)

現時点でリュウちゃんはこの本を読んでいないのですが、ネットで、この本の内容に関する格好の紹介文を見つけました。
それが、以下のサイトです。
​​​<東京五輪「ブラックボランティア」中身をみたらこんなにヒドかった>(2018年8月4日、角川書店編集部)>
このサイトは、著者の本間氏と、出版社編集部のQ&Aで構成されています。

​​例によりまして、ポイントとなる部分を文字起こししてみます尚、このサイトは新型コロナ禍の発生する前のQ&Aですので、東京五輪は2020年に開催されるという前提で進められています)

​Q:編集部)020年の東京オリンピックに向けて、ボランティアの募集が始まります。この「無償ボランティア」には大きな問題がある、ということですが
​​​​(A:本間氏)問題は多岐にわたるのですが、大きく二つあります。一つが東京オリンピックは巨大な商業イベントだ、ということです。すでに4000憶円以上のスポンサー収入があったと推定されています。超巨大イベントにもかかわらず、なぜイベントを支えるスタッフは無償なのでしょうか。たとえば、プロ野球やJリーグ、アーティストのライブやコンサートは有償スタッフが現場を切り盛りしていますよね。同じボランティアといっても、災害ボランティアと五輪ボランティアは、「ボランティア」という言葉でよく混同されてしまうのですが、全く異なるものです。突発的な災害に対し、被災地で多くの手助けが必要なのは当然ですし、それが無償で行われることに対して、私も異議はありません。公共の福祉、公益に貢献していますし、利潤追求を目的としていませんよね。​​​​
​​​一方で五輪は商業イベントです。スポンサーのために利益をどう生み出すか、どう最大化するか、というのが目的です。これで莫大な利潤を上げているのが組織委員会であり、スポンサーを取り仕切る広告代理店・・・つまり電通です。公共の福祉も公益も殆どありません。
​​​
もう一つが日本特有の暑さです。東京オリンピックは真夏に開催されます。この酷暑の中で働くのは、他でもない無償ボランティアたちです。組織委員会は、組織委の負担で熱中症や怪我などに対応するボランティア保険に入れる、と言っていますが、そういう問題でしょうか? 万が一、重症になってしまった場合、誰が責任を取るのでしょうか? 誰も取らないでしょう。

​​(Q)暑さは大きな問題ですね。今年(2018年)は7月も上旬から40℃に迫る暑さと尋常ではありません。残念ながら熱中症で命を落とす高齢者や子供もいて胸が痛みます。本当に東京でオリンピックを開催するのか、と思ってしまいます。
​​
A)もちろん、します(笑)。一度決めたことですから、役所が決める公共事業と同じで、後戻りなど出来ません。
この酷暑については対策が出来ませんから組織委も頭を痛めていると思います。例えば、マラソンについては朝7時にスタートさせるようですね。ボランティアは事前の準備などありますから、始発でも間に合わないかも知れません。
マラソンコースのアスファルトを熱吸収のものに張り替えるという案も浮上しています。たった一度のマラソン競技のためにアスファルトを張り替えるなんて、いったい幾らのお金が掛るのでしょうか? 組織委もスポンサーを取り仕切る電通も、自分たちの懐は痛まないわけですから、こういう発想が出るのです。

(Q)1964年の東京オリンピックでは、暑さの問題は大丈夫だったのでしょうか。
(A)これは若い世代には誤解されているのですが、1964年の東京五輪は10月に開催されたのですよ。この時の公式報告書を見ると「会期の決定」の項にこんな風に書かれています。

​​<盛夏の時期は、比較的長期に渡って晴天が期待できるが、気温、湿度ともに極めて高く、選手にとって最も条件が悪いうえに、多数の観客を入れる室内競技場のことを考えると、最も不適当という結論に達した>(「964年第18回オリンピック競技大会公式報告書」より)
​​
​​すでに半世紀も前に、​真夏の開催を「選手にとって最も条件が悪い」​「最も不適当」と、強い言葉で否定しているのです。これは私にとっても驚きでした。
​​
​(Q)素朴な美問なのですが、本間さんはボランティアが無償であることに異議を唱えていますが、ボランティアといえばイコール「タダ」ではないのでしょうか。
​​​​​A)いえいえ、ボランティアに「無償」という意味はありません。ボランティアは英語で「志願兵」という意味で、自ら志願することを意味しているのです。実際、有償のボランティアもあります。よく知られたところでは、青年海外協力隊です。一般の給料と比べれば低いのですが、外国での生活費は支給されますし、国内でも一定程度のお金が積み立てられます。ちなみに1964年の東京オリンピックでは、通訳などは有償でした。普通のアルバイトに比べてもかなりの高額が支給されたようです。日本では、公官庁が「公園整備」など、さまざまな無償ボランティアを展開して来ました。そのため、知らない人達の中に、「ボランティア=タダ」という概念が刷り込まれてしまったのではないでしょうか。
​​​​​
​ちなみにボランティアは労働基準法の管轄外となります。労働基準法では、一日の労働時間や休憩時間、交通費のルール、最低時給などが細かく定められていますが、ボランティアはその枠内でないこともお伝えしておきたいですね
(Q)なるほど、法の枠外で酷暑のもと、タダではたらくわけですか。
ここでお話の最初にも出て来ましたが、このイベントを取り仕切っている「電通」についても、関連する点を聞きたいと思います。彼らが天4000憶円以上ものスポンサー収入を集めているのに、何故、組織委はボランティアを無償にするのでしょうか?

(A)これは電通に限ったことではありませんが、広告代理店の使命はスポンサーのために最大利益を生み出すことです。
​単純に計算してみましょう。五輪期間中、一人10日働くとし、日給を1万円、10万人のボランティウアに支給した場合、掛る経費は100憶円です。全体の協賛金4000憶円からすれば微々たる額ですが、払わなければそのまま全て利益になる、という訳です。分かりやすいですよね。​
電通は17年度の連結売上高は5兆円を超え、世界一の広告代理店です。
今回、電通は、より多くの金をかき集めるため、これまでのオリンピックにあった「一業種1社」というスポンサーへの規制を取り払いました。
もちろん、これは電通だけで決めたことではないのですが、それによって前回のリオ五輪から倍以上の20社(2018年7月現在)という史上最大のスポンサー数、収入になりました。先日はパソナが名乗りを上げましたね。

​(Q)それにしても、この問題は新聞やテレビで、あまり見かけないですね。
​​​A)新聞は全国紙5紙すべてがオリンピックのスポンサーになってしまっており、テレビと新聞はクロスオーナーシップという制度で結ばれていますから、当然こうした問題を深く追求出来ません。無償ボランティア問題を扱うということは、これまで概観してきたように、組織委員会や電通の核心的利益にメスを入れることになります。無償だからいい、悪い、交通費を払え、という単純な話ではすまない。だから大手メディアはこの問題を避けて通り、国民になかなか真実が伝わらないのです。無償ボランティアには、オリンピックにまつわる様々な問題が絡んでいるのです。
​​​
巨大な商業イベントに
9万人近い無償ボランティア、
組織委や電通の利益のために
酷暑にこき使われる無償ボランティア、
まさに異常事態だ!

<何故、オリンピックは酷暑に開催されることになったのか?>

​​​上掲の「ブラックボランティア」の項でもお判りのように、1964年の東京オリンピックは、後に「体育の日」に制定された10月10日から10月24日の15日間に行われました。10月21日にはマラソンが行われ、エチオピアのアベベ・ビキラが2時間12分11秒2という当時の世界最高記録で優勝しました。この日の東京の最高気温は22,3℃、これでも当時、「マラソンには暑過ぎる」といわれていた記憶があります。
​​​
​1964年の東京オリンピックの「公式報告書」で、真夏の五輪開催は、「最も不適当」と断じられたにも拘わらず、何故、今年の東京五輪は酷暑に開催されることになったのでしょうか。
​それはIOCの最大のスポンサーであるアメリカの放送局であるNBC(National Broadcasting Company、全国放送会社)の意向のようなのです。



​NBCは1964年の東京オリンピックで始めて放映権を獲得しました。現在では、2032年の冬季オリンピックまでアメリカ国内の独占放映権を獲得していて、IOCに支払う放映権料は1兆円近くに及び、これはIOCの収益の40%にも及ぶようです。そのためにNBCはIOCに対して、絶大な発言力をもっていて、五輪開催の時期もNBCの意向が最優先されます。我々日本人がオリンピック開催に一番ふさわしいと誰もが考える9~10月は、アメリカはナショナルフットボール(NFL)のシーズン開幕や大リーグ(MLB)のプレーオフなどの大きなスポーツイベントが重なる「ゴールデンタイム」なのです。
​​<この「ゴールデンタイム」にオリンピックを開催するとなると、アメリカでのオリンピック独占中継は国内の人気スポーツ中継に視聴率を奪われてしまう>
​​
​以上が、最も不適当な酷暑(南半球では極寒)にオリンピックが開催される理由です。1976年のモントリオール大会以降、夏期五輪の殆どは「最も不適当」な7・8月に開催されています。
NBCの都合により、
最も不適当な酷暑に開催されることに
なってしまったオリンピック、
アスリートファーストよりNBCファースト、

オリンピックは過度な商業主義により、
地獄に落ちてしまっった!

<東京五輪招致活動の軌跡>

(1) 「立候補ファイル」提出

​​​2013年1月7日、「東京オリンピック招致委員会」(会長:竹田 恆和)は、IOCに「立候補ファイル」を提出しました。この「立候補ファイル」の「日程」の項には、以下のような「嘘八百」が書かれました。
​​​
2020年東京大会の理想的な日程
東京での2020年オリンピック競技大会は、7月24日(金曜日)の開会式に続いて、7月25日(土曜日)から8月9日(日曜日)までの16日間で開催し、閉会式は8月9日(日曜日)に予定する。また、パラリンピック競技大会は、8月25日(火曜日)から9月6日(日曜日)までの開催を予定する。
​​​​この時期の天候は晴れる日が多く、且つ温暖であるため、アスリートが最高の状態でパフォーマンスを発揮できる理想的な気候である。また夏季休暇に該当するため、公共交通機関や道路が混雑せず、ボランティアや子供たちなど多くの人々が参加しやすい。さらに、この時期は日本全国で伝統的な祭が多く開催される時期であることから、祝祭ムードが漂っている。また、重要な点として、この開催期間は他の大規模な国際競技大会とのスケジュールと重複しておらず、東京においても大会開催に影響を及ぼすような大規模イベントの開催を予定していない(開催中の東京の平均気温:26~29℃)

東京の7・8月は
アスリートにとって理想的​な気候???
よくもこんな「嘘八百」がつけたものだ!
怒りを通り越して
呆れるばかりだ。

(2)オリンピック評価委員の来日と視察
​​
​2013年3月4日~7日にかけて、IOCの評価委員14名が来日、東京がオリンピック開催にふさわしいかどうかの視察を行いました。具体的には「立候補ファイル」に書かれたことを実地検証することが視察の主な目的であった筈ですが、実際に開催される7~8月ではなく、3月の視察になりました。これじゃ、開催される酷暑の7~8月の天候は実感できる筈もなく、単なる特権的な「大名旅行」と言わざるを得ませんね。
​​​<五輪蹴落とし合戦「4日間で6億円の“接待費”」>(アサヒ芸能2013年4月4日号)
​​​
​五輪招致には当然、莫大なカネがかかる。開催地として東京を選んでもらうために、IOC評価委員には、印象をよくしてもらうための「接待」が行われた。過去の五輪開催を巡っては、裏金疑惑や裏接待の存在が取りざたされたこともあるのだが‥‥。前出の招致委スタッフが内情を暴露する。
​「3月6日に赤坂迎賓館で開かれた安倍晋三総理主催の豪勢な公式晩餐会の費用だけは総理官邸持ち。それ以外は招致委員の経費でしたが、IOC評価委員全員が宿泊先のパレスホテル東京から一歩も出歩きませんでした。IOC委員の滞在中、招致委員会が最も恐れていたのは、ヤミ接待があったと勘ぐられること。スペインやトルコの記者にいかがわしい現場の写真でも撮られたら一巻の終わりですからね。ただ、ホテルの中で何があったかについては緘口令が敷かれ、簡単にうかがい知ることができませんでした」​
​ 招致委員会がIOC評価委員14人の「接待」に、4日間で使った金額は約6億円に上ったという。招致経費が全体で75億円だから、全体のおよそ8%である。​
 今回のIOC視察には皇太子も応待しているが、実はこの件を巡っては、ひと悶着あったのだという。招致委スタッフが続ける。
「皇太子にはいわゆる政治活動をさせてはいけない、というお達しが宮内庁からあり、招致委員会との間でモメたようです。しかし、結局は、国際親善の一環として、という名目で押し切り、皇太子は評価委員と接見されました」
 前出の澤、吉田の他にも、卓球・福原愛(24)、体操・内村航平(24)、フェンシング・太田雄貴(27)、柔道女子・松本薫(25)、重量挙げ女子・三宅宏美(27)ら、そうそうたるオリンピアンがプレゼンターとして動員されたうえ、皇太子までもが担ぎ出されたのである。さらには前述した晩餐会接待の安倍総理、トヨタ自動車の張富士夫会長ら政財界の大物が後押しするなど、各界の協力はリオデジャネイロに敗れた16年五輪招致の時とは比較にならないくらい手厚いものだった。

IOC評価委員14人の4日間の接待費が
6憶円!
しかも安倍総理主催の迎賓館での
豪華な「お・も・て・な・し」、
呆れてしまうばかりだ!

(3)安倍首相の五輪招致のプレゼンテーション演説

2013年9月7日、2020年のオリンピック開催都市を決めるためのIOC総会がリオデジャネイロで開催されました。
その席上で、東京オリンピック招致委員会の最高顧問である安倍晋三首相は、招致のためのプレゼンテーション演説を英語で行いました。



​安倍の演説に先立ち、タレントの滝川クリステルによる「お・も・て・な・し」が話題を集めました。


(滝川クリステル「お・も・て・な・し」)
安倍首相のプレゼンのポイントは以下の部分です。

​​「・・・フクシマの事を心配される方もいらっしゃるでしょう。ご安心ください。状況は制御(under control.)されています。東京への影響はこれまでになく、またこれからもありません。さらに申し上げます。他にはない新しいスタジアムから、すでに確保された財政まで、東京オリンピックは確実な実行を保証します・・・」
​​
​​​現在の目からみると、福島第一原発は、「under control.」どころか、全く制御不能(Out of control)の状態になっていますね。特に流出する汚染水の処理は、当初予定されていた「凍土壁による遮断」に失敗して、現在では960基もの貯蔵タンクに115万トンもの「処理水」が貯蔵されています。


(福島第一原発、処理水貯蔵タンク)

この貯蔵タンクの処理水は今でも際限なく増え続け、2023年の夏には、限界を迎えようとしています。

​2021年4月、菅政権は、トリチウムを含む処理水を薄めて海洋放出するという方針を発表しました。​
「処理水に含まれるトリチウムは安全な核種、どこの国でもやっている」という訳です。
しかし、福島県の漁連は風評被害を恐れて猛反対しています。
​リュウちゃんは「トリチウムは安全な核」というのは、世界の「原子力ムラ」だけに通じる手前勝手な屁理屈だと思っています。「原発はクリーンで安全なエネルギー」という屁理屈と同じ迷理屈ですね。
招致プレゼンテーションのあと、開催国を決めるプレゼンテーションが行われ、日本開催が決定しました。



​2013年3月のIOC評価委員への常識外れの「お・も・て・なし」も、開催都市の猪瀬​​​​知事を押しのけて、安倍首相が主導、そして9月のプレゼンテーションも猪瀬都知事を押しのけて安倍首相が演説、こうして安倍首相は、2020年の東京オリンピック招致を成功させた「立役者」になったのです。
​​​
何かおかしい?
何故、猪瀬都知事ではなく、
安倍首相がしゃしゃり出てきたのだ?

常識外れの「お・も・て・なし」や
IOC委員への買収で、プレゼン以前に、
東京招致が
極秘に決定していたのではないのか?

​2018年12月、フランス捜査当局は東京五輪招致をめぐる贈収賄容疑でJOC会長の竹田恒和氏を容疑者とする捜査を開始しました。竹田会長は疑惑を否定していますが、JOC会長は、2019年6月に退任しました。尚、フランス当局の捜査は現在も継続しています。
2020年の東京五輪招致活動に関しましては、私達のような一般庶民の与り知らないところで、キナ臭い話がいっぱいあるようです。以下に、もう2つだけ、キナ臭い話の記事を挙げておきます。興味のある方は記事のタイトルをクリックして読んでみて下さいね。

​<まとめ>
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​菅首相や橋本聖子組織委員会会長は、新型コロナによる緊急事態宣言が出ているにも関わらず、オリンピック・パラリンピックの開催を強行しようとしています。菅首相は13日に閉幕した「主要7カ国首脳会議」(G’)」で、「全首脳から大変力強い支持をいただいた」と、大ミエをきりました。
「ここのところ、新型コロナウィルスの新規感染者も大幅に減少している、ワクチン接種も順調だ」という訳です。​
​しかし、「イギリス型変異株」に代わって「インド型変異株」が不気味に増え始めました。。ワクチン接種率が50%を超えたイギリスでも、最近、インド型ウィルスの感染の拡大で、一時下火になった感染者が再び急拡大しています。​
​ワクチン接種の先進国のイギリスでも、こんな状況です。ましてや、ワクチン接種後進国の日本で、ワクチン接種による集団免疫が出来るのは、早くても今年の秋です。現状では、日本では緊急事態宣言を解除したとたんに、第4次感染のピークを遥かに上回る第5次感染に見舞われる恐れが充分にあるとリュウちゃんは思っています。尾身 茂氏の「パンデミックの中での五輪開催は普通ではない」、という発言は、重く捉える必要があると思うのです。
​新型コロナ感染というアクシデントのために、これまで一般人には見えていなかった「オリンピックの問題点」が徐々に見えて来ました。
★なぜ、オリンピックは、スポーツイベントには最も不適当な酷暑に開催されるのか?
★何故、IOCの幹部やオリンピック・ファミリーの連中は傲慢なのか?
★何故、オリンピックの運営に、10万人近くの「ブラックボランティア」が動員されるのか?
★何故、選手村は酒池肉林の場になってしまったのか?
★何故、1都市開催のオリンピック招致に、首相がしゃしゃり出てくるのか?
★何故、オリンピック招致のために買収汚職が起こるのか? 買収しないと、オリンピックは招致出来ないのか?
★何故、「簡素なオリンピック」と謳いながら、経費は際限もなく膨張するのか?
・・・・
​これらの無数の「何故?」の正体をおぼろげながら知った今、暗澹たる気持ちを禁じ得ないリュウちゃんなのです。
​リュウちゃんの結論>
現代のオリンピックは、
過度な商業主義に蝕まれている。
アスリートファーストではなく、
NBC・ICOファーストだ!
金満国家ファーストに歪められている。
パンデミックの状況に拘わらず、一旦中止して、
創成期のオリンピック精神に立ち戻り、
清新な大会を模索すべきだ!

長いブログになってしまいましたが、最後に、朝日新聞の社説と、朝日新聞の「声」欄に投稿された作家・赤川次郎氏の意見を掲載します。

​​<(社説)夏の東京五輪 中止の決断を首相に求める>(朝日新聞、5月26日)
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新型コロナウイルスの感染拡大は止まらず、東京都などに出されている緊急事態宣言の再延長は避けられない情勢だ。
 この夏にその東京で五輪・パラリンピックを開くことが理にかなうとはとても思えない。人々の当然の疑問や懸念に向き合おうとせず、突き進む政府、都、五輪関係者らに対する不信と反発は広がるばかりだ。
 冷静に、客観的に周囲の状況を見極め、今夏の開催の中止を決断するよう菅首相に求める。
生命・健康が最優先

 驚くべき発言があった。
 国際オリンピック委員会(IOC)のコーツ副会長が先週、宣言下でも五輪は開けるとの認識を記者会見で述べた。
 だが、ただ競技が無事成立すればよいという話ではない。国民の感覚とのずれは明らかで、明確な根拠を示さないまま「イエス」と言い切るその様子は、IOCの独善的な体質を改めて印象づける形となった。
 選手をはじめ、五輪を目標に努力し、様々な準備をしてきた多くの人を考えれば、中止はむろん避けたい。だが何より大切なのは、市民の生命であり、日々のくらしを支え、成り立たせる基盤を維持することだ。五輪によってそれが脅かされるような事態を招いてはならない。
 まず恐れるのは、言うまでもない、健康への脅威だ。
 この先、感染の拡大が落ち着く保証はなく、むしろ変異株の出現で警戒の度は強まっている。一般へのワクチン接種が始まったものの対象は高齢者に限られ、集団免疫の状態をつくり出せるとしてもかなり先だ。
 そこに選手と関係者で9万を超す人が入国する。無観客にしたとしても、ボランティアを含めると十数万規模の人間が集まり、活動し、終わればそれぞれの国や地元に戻る。世界からウイルスが入りこみ、また各地に散っていく可能性は拭えない。
 IOCや組織委員会は「検査と隔離」で対応するといい、この方式で多くの国際大会が開かれてきた実績を強調する。しかし五輪は規模がまるで違う。
「賭け」は許されない
 選手や競技役員らの行動は、おおむねコントロールできるかもしれない。だが、それ以外の人たちについては自制に頼らざるを得ない部分が多い。
 順守すべき行動ルールも詳細まで決まっておらず、このままではぶっつけ本番で大会を迎えることになる。当初から不安視されてきた酷暑対策との両立も容易な話ではない。
 組織委は医療従事者を確保するめどがつきつつあると言う。では、いざという場合の病床はどうか。医療の逼迫(ひっぱく)に悩む東京近隣の各知事は、五輪関係者だからといって優遇することはできないと表明している。県民を守る首長として当然の判断だ。
 誰もが安全・安心を確信できる状況にはほど遠い。残念ながらそれが現実ではないか。
 もちろんうまくいく可能性がないわけではない。しかしリスクへの備えを幾重にも張り巡らせ、それが機能して初めて成り立つのが五輪だ。十全ではないとわかっているのに踏み切って問題が起きたら、誰が責任をとるのか、とれるのか。「賭け」は許されないと知るべきだ。
 こうした認識は多くの市民が共有するところだ。今月の小紙の世論調査で、この夏の開催を支持する答えは14%にとどまった。背景には、五輪を開催する意義そのものへの疑念が深まっていることもうかがえる。
 五輪は単に世界一を決める場ではない。肥大化やゆきすぎた商業主義など数々の問題を指摘されながらも支持をつなぎとめてきたのは、掲げる理想への共感があったからだ。五輪憲章は機会の平等と友情、連帯、フェアプレー、相互理解を求め、人間の尊厳を保つことに重きを置く社会の確立をうたう。
憲章の理念はどこへ

 ところが現状はどうか。
 コロナ禍で、競技によっては予選に出られなかった選手がいる。ワクチン普及が進む国とそうでない国とで厳然たる格差が生じ、それは練習やプレーにも当然影響する。選手村での行動は管理され、事前合宿地などに手を挙げた自治体が期待した、各国選手と住民との交流も難しい。憲章が空文化しているのは明らかではないか。
 人々が活動を制限され困難を強いられるなか、それでも五輪を開く意義はどこにあるのか。社説は、政府、都、組織委に説明するよう重ねて訴えたが、腑(ふ)に落ちる答えはなかった。
 それどころか誘致時に唱えた復興五輪・コンパクト五輪のめっきがはがれ、「コロナに打ち勝った証し」も消えた今、五輪は政権を維持し、選挙に臨むための道具になりつつある。国民の声がどうあろうが、首相は開催する意向だと伝えられる。
 そもそも五輪とは何か。社会に分断を残し、万人に祝福されない祭典を強行したとき、何を得て、何を失うのか。首相はよくよく考えねばならない。小池百合子都知事や橋本聖子会長ら組織委の幹部も同様である。


​​五輪中止、それしか道はない>(赤川次郎、2021年6月6日、朝日新聞、「声」への投稿文)

想像してみよう。恋人たちが身を寄せ合って夜の川辺を歩く姿を。孫の誕生日に集まった3世代の家族が互いに抱き合う光景を。今、私達が求めているのは、そんな「日常」が戻った世界であるはずだ。しかし今、日本はそれに逆行する「とんでもない国」になろうとしている。新型コロナの感染拡大が続く緊急事態宣言下で五輪パラリンピックを開催? 他の国のことなら「何てひどい国だ!」と呆れるだろう。国の指導者の第一の任務は「人の命を守ること」。いまだウィルスの正体が分からないのに、9万人もの人間が出入国するとしたら、どうやって感染拡大を防ぐことができるのだろうか。むしろ、ここを起点に、さらに新たなパンデミックが世界を襲うかも知れない。一日も早く、五輪中止を決断するしか道はない。賠償金を払わなければならないのなら払えばいい。経済は取り戻せても、人の命は取り戻せないのだ。医療も報道も、それぞれ良識と良心をかけて、五輪開催反対の声を上げる時である。利権に目のくらんだ人々には、「馬の耳に念仏」だろうか。そう言っては馬に失礼かもしれないが。


(赤川次郎氏)
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最終更新日  2021年06月27日 13時05分29秒
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