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私は虫が嫌いだ。カブトムシとかクワガタとかバッタとかはまだいい。でもブンブン飛び回る系もダメだし、たとえ動きがのろくても見た目が気持ち悪いのは絶対NGなのだ。
だから部屋に1匹虫がいるだけで体中の全神経がすべてその虫に集中してしまう。たとえそいつがじっとして滅多に動かなくても「凝視」。 絶対自分のほうまでは動いてこないと分かっていても、突然虫のやつが「なんか調子出てきたぞ~」とかってもんのすごいスピードで動いて攻撃してくるかもしれないという考えをぬぐいきれないのである。 困るのが電車に乗っているとき。特に夏なんかハエだかアブだかわからないけど、一瞬「ハチ?!」と誰もが心の中で恐怖を感じるような紛らわしいやつが、大きい羽音を立てて飛び回ることがある。 車両の中の人々は表面的には「虫1匹ど~ってことないですよ」ってな顔をしてクールに座っている。だから私も「虫が怖くてビビッテいる自分」を乗客の皆さんに悟られるのが大人として恥ずかしいので、心拍数は150を超えながらも平静を装う。が、視線は虫から1秒たりとも離してはならないのだ。 そのうちブンブン飛んでいた虫が自分のほうに向かってくる。一人のサラリーマンのオジサンの頭をかすめるが、オジサンは軽く手で振り払って何でもないような顔をしている。絶対に内心は「あ~こえ~よ~。刺されなくてよかった・・」と思っているに違いないのに。 いっそのこと隣の車両に移りたい!と切に思うが「あの人虫が怖いから移動したんだよ。弱虫だね~」と思われたくないという変なプライドが邪魔をするのだ。 だから自分の降りる駅につくまで心臓バクバクで虫に「こっちに絶対来るなよ」という念を真剣に送り続けるしかないのである。 私の人生で一番の緊迫の瞬間はこんな時ぐらいである。 これってある意味すごくのん気?! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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