東京出張日記(その1)
土曜日、とある製薬メ-カ-主催の治療研究会出席の為、朝からのぞみに乗って東京に向かった。当然2時間半の内2時間は音楽を聴きながらの爆睡である。東京駅到着後、丸の内線に乗り換え、赤坂見附で降りて、港区紀尾井町にある会場を目指した。紀尾井町と言えば、赤坂プリンスをはじめ、セレブな雰囲気の一帯である。私は、回りの雰囲気も手伝ってか、ス-ツ姿で颯爽と闊歩する自分が、まるでデキるエグゼクティブサラリ-マンであるかの様な錯覚にしばし酔いつつ、会場を目指した。10分ほどで会場到着。時間は待ち合わせ通り12:30である。既に上司と同僚が到着しており、すぐに本日会うべきDrについて申し合わせと、製薬メ-カ-の人達と挨拶&情報交換をしてる間に、研究会が始まった。研究会の内容は、チンプンカンプンなので、割愛しますが、要は、製薬メ-カ-が販売しているとある薬がこんな症例に効いたとか効かなかったとかを、DRが次々と発表して行くものである。聞いててもサッパリな内容を、延々5時間に渡って聞かされると、どんな人間でも睡魔が襲って来るものである。隣に座っていた上司が寝ているのを横目に、私も半分夢心地で、一つの演題が終わるたびに、ヨダレフキフキ&おあいそ拍手を繰り返していた。演題もラストとなり、閉会の辞が行われ、とっても偉そうなおじいちゃんDRがはじめようとした瞬間、会場の床が何者かに突き上げられる様な感覚に襲われた。揺れは徐々に大きくなり、それが地震と分かるまでにはそれほど時間を要しなかった。若干の悲鳴により、会場は緊張感に包まれ、その場の雰囲気は凍りついた。頭上の照明は大きく揺らぎ、照明の真下いる人達は今にも逃げ出しそうな勢いである。もちろんおじいちゃんDRは、マイクを持って固まっている。閉会の辞どころではない。揺れは約1分間続いたが、揺れが完全に止まってからも、おじいちゃんDRはまだビビッている様子で、時折自分の真上の照明に目をやり、震える声で何とか閉会の辞を終える事ができ、こちらもほっとした。終了後は、DR達の懇親会が下のフロアで催されるのだが、ここからが本番とばかり、私達(製薬会社の人達も含む)はまるで取り巻きの様に少し離れた場所から、狙いを定めてあのDRこのDRへと挨拶を繰り返し、やがてお目当てのDRが居なくなったのを確認してから、会場を後にした。外は、既に真っ暗、そして冷たい風も吹いている。その上とっても空腹である。せっかくの土曜日の大半を睡魔と格闘&挨拶回りと、何だか良く分からん仕事に費やしてしまったのに、このまま大阪に帰るのはもったいない!と思い、そうだ、どこか宿を探して、東京をエンジョイしようと思い立った。とにかく新宿に行く事にし、再び丸の内線に乗って一路新宿三丁目に向かった。新宿は、過去2年間ほど職場であったし、東京に住んでいた頃はしょっちゅう買い物に来ていたので馴染み深い街だ。時間的にまだ伊勢丹が開いていたので、しばしメンズ館を蛍の光が流れるまでウロチョロした後、忘れていた空腹感が蘇り、無性にラ-メンが食いたくなった。よし!あのラ-メン屋に行こうと決め、よく行ってた秘密のラ-メン屋に行き、ようやくお腹も落ち着かせる事ができた。その後、ふと映画館の前を通り過ぎようとした所、先行レイトショ-の看板が目に入った。あのトム・クル-ズ主演の「コラテラル」である。せっかくだから観て行こう!と決め、早速チケット購入。上映時間まであと15分とタイミングもバッチリであった。映画の感想までココで書いてしまうと、とても長くなりそうなので、再び割愛しますが、とにかく良かった。何がって、トムがとにかくカッコ良かったのと、スト-リ-展開が素晴らしかった。レイトショ-だったので、¥1,200で観られたし、何だかとってもトクをした気持ちになった。5点満点評価で言えば、4.5はあげられるだろうか。映画が終わって外に出ると、新宿三丁目一帯はもうすっかり、夜の街と化していた。そこら中に酔っ払った若者や、オッサンが歩き回っていた。寒さもひとしきり強くなって来ている。ふと時計を見ると、23時30分を回っていた。そろそろ今晩の宿を探さないとヤバイ!宿は大体見当が付いていた。ただかなり怪しい場所にあるのが難点である。その場所とは、ホモ街で有名な新宿二丁目の真ん中にある。目当てのビジホは過去に友人(ホモダチではない)に場所を聞いていたし、値段も安く大概空室があるとの確実な情報だった。よし!ここは賭けである。空室がある事を信じて冒険だ!とハラをくくるのと同時に、何故だか分からんがお尻にも力を入れ、その一帯に潜入した。土曜日の夜、ス-ツ姿のサラリ-マンがこの街を歩く事は非常に勇気のいる事である。大丈夫さ!堂々としていりゃ誰も声なんか掛けて来やしないさッ!なるべく周りを見ないで、とにかく競歩状態でそのビジホを目指した。しかし、やはりコワイ街である。町並みは少し薄暗く、路地からは低いコソコソ声と熱い視線が感じられた。途中、何やら男同士のアエギ声の様なモノを聞いたので、その瞬間だけは、背筋凍りつく様な感覚を覚えたのと同時に、まるで幽霊に遭遇した時の様に、ココロの中で絶叫しながら、身体は無意識にダッシュしていた。。。死にそうな思いで、宿に到着。フロントのおじさんの視線も何故だかコワかったが、何とか空室にありつけた。部屋はとっても狭い。まるで渋谷のラブホ並み。値段も¥4800。ま、野宿よりましである。しかし、今日は、地震に襲われたりホモに狙われたりと、いつもとは違う緊張感に満ちた一日であったと思い返し、明日もとにかくエンジョイしようと心に決め、床についた。 ちなみに明日の予定は、もう既に決まっているのだ。 明日に続く。。。。