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ルビー来たれど山河あり(1)今までお世話になっていたペットショップの店長から電話を受けた 『どお?そろそろ落ち着いた?』 落ち着く訳はなかったけれど、どうにか生活らしきものは始まった。 まずは冷蔵庫・洗濯機・食器棚・食卓のテーブルが必要だった。 掃除機・炊飯器は友人・親戚から寄付された。 食器はいくつかアメリカから持ち帰ったまま段ボールに入れていて 冷蔵庫の裏の部屋に置いてあったので助かっていた 火の廻り方の問題だ 群馬や近くに住んでいる高校時代の友人たちが駆け付けてくれ 『今からヨーカドーに行こう』 と、半ば強引に連れて行かれた 鍋・包丁・まな板・箸・しゃもじ・お玉・・・・・ 食事に関する物を買いまくってくれた 『そんなにいいの?』 『何言ってるのよ。こんな時に』 有難かった。 助かった洋服類は洗って墨を落とさなければならなかった。 フルーツ洗剤のポポラが威力を発揮 床下収納に入れてあり難を逃れた洗剤だった 3度の漬け込み後、洗濯機で普通に洗ったら匂いも消えた。 助かった写真も一枚一枚洗った 近所の方々からの支援物資の整理も始めた 新品や古着ですごく助かる衣類やタオルもあるが 古着でサイズが合わなくて着られない物も沢山あった 食器も同様 中には茶渋だらけの物や脂がこびり付いている鍋もあった 浸けこんで洗い直して使用可能にしなくてはならない 手間が増えた それでも無いよりはましだった 割りばしや海苔が異様な数あった。 折角集めて下さった物を 捨てるに捨てられなくて使えない物は箱に詰めた。 毎日がこの繰り返しだった。 さすがだったのは おまわりさんとだ。 『奥さーん。奥さん達のサイズに会う服を持って来たよ~』 その時の衣類は今も大事に着ている。 おまわりさんにはかなりお世話になった。 火事の後、夜中 懐中電灯で照らし 助かった荷物が無いか探していた その時 突然声を掛けられ 心臓が飛び出るほど驚いた 『何故 ここに?』 『いや~嫌な話だけれど、火事場泥棒が出るんだよ』 はっとした もうすでに 唯一助かった父のゴルフ道具が鞄ごと無くなっていたのだ 両親の部屋は火元の真上にあったので燃え方が激しく 父の物はほとんど何も残ってなかった そんな中、店長から貰った電話に飛びついた 『前に話していた子 もし良かったら』 『今日会える?』 その子は わが家にテデイとボビー2が来て ショップに挨拶に行った時 『うちにも居たからあげたのに』 と言われた子 その子は何故か売れ残り ショップで育ち 一歳三か月になっていた 当時は旨くわが家になついてくれるか自信が無かったので 断っていた子だった 今回はそんなこと気にもならなかった。すぐ会いたかった 娘が帰宅して 家にいる時間帯に連れて来てくれるように頼んだ 夕方 ショップのお姉さんが連れて来てくれた なにも知らなかった娘はビックリ仰天。 『え~犬がいるの?』 当時娘は小学4年生。 キャリーボックスに飛びついた しかし・・・ボックスの戸を開けても出て来ない 仕方が無いので ボックスを縦に立てて 入口を下にして振った でも出て来ない 『どうなってんの~?』 娘はしびれを切らしておもむろに手を突っ込んだ 犬の前足を握り 引きずり出した。 『ワ―かわいい~!』 ボトリ??? 『ギャー!!』『ウ ? チ!だ~』 『初めての挨拶がボトリ~?』 家族中が大爆笑した それほどボックスの中で踏ん張ったのだ
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