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2011年12月08日
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ルビー来たれど山河あり(3)

建設の打ち合わせが続く中 ルビーは夜の散歩が多かった

それでも大喜びで付いてくる

草むらに気を取られ鼻を突っ込んで夢中になっているルビーから

そっと離れて先に歩いて見る

約一分後に気が付いて 慌てて全力疾走で追いかけてくる

その姿が いとおしく可愛かった

今まで成犬体重6キロの子を飼っていたので 

2キロ半のルビーは ものすごく小さく感じた

夜の公園はほとんど人通りがなかったのでそっとリードを離してみたが

自由に歩こうとしない それどころかベンチの陰に隠れてしまう

リードに慣れているからなのか 怖がりなのか…

 

消防署の事情徴収から数週間後 

火事発見から通報までの経緯がまとまり

内用の確認と火事原因の説明がなされた

発火してから燃え広がるまでの猶予は約5分との事

それまでに逃げ出すなり助けるなり

重要な荷物は持ち出さなくてはならない

漏電の場合 ブレーカーが落ちて発火を防ぐはずなのだが

何故落ちなかったのか

ブレーカーの燃え方がひど過ぎて理由は分からなかった

定期的に点検しておく必要があったのだろう

もう一つ どうしても確認したい事があった

母の様子だ

母を助けに再度玄関より濡れタオルで鼻と口を塞ぎ

2階に駆け上がった時

煙に巻かれてタオルが何の役にも立たず 

母の所まで行きつく事が出来なかった

大声で『逃げて-!』と何度も叫んだ

しかし 何の返事もなかった

何故なのか…

私が帰宅して母の部屋を軽く覗き

『寝てるの?』

と 声を掛けたのが最後だった

何故あの時出て来なかったのか 何をしていたのか 

大騒ぎしていたのに 何故母は気付かなかったのか

降霊術師にお願いしてでも聞きたかった

その気持ちを消防署の方にぶつけてみた

分かった事は すでに煙に巻かれ気を失っていただろう事だった

以後届いた検死解剖の報告書もそう書かれていた

なにも解らず逝った

その事がせめてもの心の救いとなった

 

設計が進む中 知り合いに建築技師がいたので

様々相談に乗ってもらった

火事の様子も話した 母を助けられなかった事も

彼女に言われた事は

煙に巻かれた場合濡れタオルは役に立たない事

ビニールに足元のきれい目の空気を入れ口と鼻にあてがう事

では 側に火がある時は?

ビニールを濡れタオルでくるむといいのだろうか?

それは確認し忘れた

真下が火元の場合 戸を開けなくて良かった事

もし開けていたら 

爆発が起きて あなたも大変な事になっていただろう事

これはもしかして バック ドラフトの事を指しているのか

無理にも部屋に行こうとした時 『飛び降りろ―』

と叫び声が聞こえ はっとして頭お持ち上げた拍子に階段を踏み外し

数段落ちた話をしたら それは『お母様があなたを止めたのよ』

『行かなくて良かった』と 強く言われた。

しかし、私は思った。

もしこれがホテルだったら

火元の確認などしてなくて 家族と一目散に逃げただろう

娘を逃がしたように 母とテデイ―とボビー2を連れて

何故 そうできなかったのか

それは 自分の(実際は両親のだが)家だったから

どうにか消せるのではないか 消さなければと思ったからだ

一番大事なのは 『命』 なのに それだけが悔やまれる

様々な手続きは 罹災証明書 があれば出来るのだから

 

ルビーは 布団の上を走り回り

家族とプロレスまがいの事をするのが好きだった

おもちゃではあまり遊ばない

その内 家で一匹で留守番をすると下痢をするようになった

その年の冬 クリスマスにフランスに一時帰国した

主人の両親もかなり心配しショックを受けていたからだ

元気な孫の姿をみたいに決まっている

費用は会社から出た

ルビーは父では世話が無理なので獣医に預けた

3日後ルビーの様子を知るために獣医に電話した

この日から下痢が始まったという 

まただ

帰国後 ルビーが育っていたショップの店長に

ルビーがどんな生活をしていたのかを確認した

ルビーの母犬はショップに勤めている人ので

娘を一匹取り 仕事中はその子を母犬と共に店に連れて来て

仕事が終わると二匹を連れて帰宅した

ルビーは店の犬であるラブラド―ルのメスと生活していて

ラブの餌を横取りしたりするいたずら坊主だった

普段は店の中を走り回っていて楽しく生活していた

しかし常に人かラブが側にいて

一人になった事は無かったのだ

 






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最終更新日  2011年12月13日 01時52分44秒
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