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カテゴリ:クライミング&ボルダリング
一昨日だったか、テレビで長野県警の山岳警備隊のことをやっていた。私は山岳警備隊にお世話になったことはないが、遭難救助の場に出くわしたことはある。
6年ほど前、南アの北岳バットレス四尾根に登りに行った。御池小屋にテントを張って、早朝出発。その日は見事なくらいの快晴で、朝焼けに照らされて四尾根は見事なモルゲンロート。あんなに見事なモルゲンを見たのは、生まれて初めてだった。 縦走路から外れて、下部岩壁への道をたどるうちに、十字クラックが見えてくる。既に先行パーティがいくつか、取り付いている。下部岩壁の少し手前で、小休止して先行パーティが登るのを眺める。ルート図を取り出して、あそこがCガリー、あそこがピラミッドフェースへの取り付き、あそこが5尾根などと見ている内に、どうも良く分からないルートを登っているパーティがいる。 ルートを新たに作っているのかと思ったけど、それにしてはモタモタしていて、下手そう。そしたら、トップで登っていたのが、ドサッと下に落ちた。高さはおよそ5メートルくらいだったか。 岩から落ちるときは、ポーンと落ちるイメージがあるので、ドサッと落ちたその時はダサい、下手くそ、くらいにしか思わなかったのだが、急に先行パーティ全部が騒がしくなる。どうやら全員同じ山岳会のようだ。 ケガの程度を聞く声や、動けるのかどうかなどを聞く声が、岩壁を行き交う。それでようやくこちらも、大層なことになりそうだと感じた。 取りあえず、こちらのパーティにいた若い女の子を、近くの山小屋に救援要請に行かせる。先行パーティの連中に話を聞くと、落ちた人は骨折していて動けそうにないので、ヘリの要請もさせる。 そこから山小屋までは歩いて1時間程度かかるので、おぶって降りるのは難しいし、山小屋から車が入れるところまでは、さらに2時間以上かかる。ヘリを呼ぶしかない。 待つこと1時間半程度だったか。プロペラの音が聞こえたかと思うと、あっと言う間にヘリが現場の上空に到着。山梨県警のヘリだった。ヘリから県警救助隊の人が一人ワイヤーで下げられて降りてくる。一昨日テレビで映っていたそのまんまの光景。 下に降りると、遭難者の所に行き、声をかけながらテキパキと応急処置。そのパーティのリーダーらしき人と話をした後、ワイヤーを遭難者に固定して、ヘリに引き上げる。遭難者の回収が終わると、またワイヤーが降りてきて今度は自分が上がっていく。そして、またあっと言う間に、ヘリは来た方向に消えていった。この間約20分程度。 側で見ていて、いやあカッコイイのなんの。思わず惚れそうになったよ(^_^;)本当にもう、全く無駄な動きが無くて、テキパキという言葉は、こんなことを言うんだと実感した位。 でまた、空の彼方から現れて空の彼方に消えていく、というのが、こんなにカッコイイとは思わなかった。そういう体験は、まずウルトラマンとかの世界でない限り味わえないと思うんだけど、ウルトラマンがヒーローになるのがとてもよく分かった(笑 ところがその後うちのパーティは、このことがきっかけでとても大変なことになったのだけど、それはまた別の機会に。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021年10月07日 20時12分15秒
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