針仕事
お洗濯お掃除お方付け。手まめにこなしてさえいれば、ココロもすさまず、精神衛生上かなり良い。ゆとりしゃくしゃく、胡桃とチョコチップのクッキーなんか焼きましょう。胚芽米ごはん炊いて、あとは簡単、とろ~りあんかけ中華飯&プーアール茶。このところ熟読しているのは、故有吉佐和子氏の「複合汚染」。三十年くらい前の著作が、どんなホラーストーリーよりも、現実的に恐ろしい。こんなに大人になる前に、こわっぱのうちから、知識として読んでおくべきだった。「花とゆめ」とか「ぶ~け」とか、漫画ばっかり貪り読んでいた、日本でのあの頃が悔やまれる。翌日。「コスメティクスを買ってさしあげましょう」と、アナタが自ら言うのなら、たとえどんな裏があろうとも、あたしゃ御機嫌様でついて行く。即決セフォラ直行。(コスメ詳細は、後日に追い追いとね)そして、北海道物産展に行き当たり、「帆立の燻製」と姐やんは目が合ってしまった。左手でわしっ!とそれを掴み、いつのまにか、右手にもがしっ!と久保田を握り締めながら「…あぅあぅあぅ…!(←No matter what, I gotta get these !と心のうちで叫んでいる)」和訳すると「…わたえはわたえは(私は)、なんじょしてにも、これを買うて頂かさしてのし…!(和歌山県地方の、由緒ある方言らしい)」姐やん、どんな原語も、にわかに肉声にはならず。ああ今日も、シロキヤで取り乱しながら踊ってしまった。お寿司セットや栗おこわ、蕗の煮付け、がんもどきの含め煮、唐揚げやお弁当なんか、各種購買してみる。心の中は「お酒だお酒だお酒だよぉ~」と、踊り続けている。姐やんは、コスメもお酒も、同じくらい両方嬉しい。その晩は、気がはやってお燗もつけず冷やでいき、あとは良い子で早寝する。(良い子って酔い子よ)翌日。獣医さんのアドバイスに従い、産褥期の母うさぎの介護&お世話&経口で栄養剤の投与など。母うさぎの体調を慮り、遠巻きに静かに看視を続ける。手持ち無沙汰を埋めるため、生成りのシーチング生地に、刺繍なんかちまちま施し始める。レゼーデージステッチで、小花の花びらを。フレンチナッツステッチで、小粒な花芯を丹念に。針仕事してると、「無」になれる「空」にもなれる。姐やんは、チクチクしながら、そのうちきっと悟りの境地に至るだろう。ストレスめいたものは、すぅ~っと消えて無くなるし針仕事に臨んでいる姿を、異性にそれとな~く見せつけると、意外なほどとてつもなくウケがよろしい。姐やんの、独自のルートの統計筋の話では、日本国内においても国外においても、とかくウケがよろしい。つまらない諍いごとも、黙々と針仕事に夢中になっている間に、向こうからあっけなく、折れてきたりすることも多々ある。こっち側としては、国際的に幅広く、いろんな意味で一挙両得の果報である。シンプルなことだ。ありがたいことだ。何故ここまで、あまりにもウケが良いのだろう。「珍獣が、檻の中でおとなしくしているように見える」からだろうか?それとも「珍獣が、呑んだくれて、お酒臭いよりははるかにマシ」なんだろうか?珍獣には、いつまでも謎が多い。その謎を突き詰めることなく、いつもあるがまま、曖昧に流しておくのが得策だ。だから、女ならみんな、自分に見栄張って格好つけて、針を持つところから始めよう。もし、こちら側の静かな努力が、伝わらないような鈍い異性なら「針供養~!」とか言って、お豆腐の代わりに、ザスザス意地悪く、尖った針で突いてやれ。ちょいと、危険思想を孕ませたような一行を書いてみた姐やんだけれどもうどん玉に、お出汁利かせた卵液。大鉢に、優しいお味の、具沢山な小田巻き蒸しをつくったの。糸寒天、赤とさか、茎わかめ、青野菜、梅紫蘇ノンオイルドレッシングで、海草サラダもちゃちゃっとね。口直しには、パイナップルに西瓜にメロン。あっさりしすぎて物足りないのか、サラミとチーズのトーストサンドを、子等は追加で食べていた。有吉佐和子氏によると、サラミもチーズもちょっと恐い。問題なのは、姐やん香辛料の利いたしょっぱいサラミが、とってもとっても好きなのよぅ~。ああサラミ。姐やんはアナタがとっても好きなのよ。チョウアイサラミダ。アナタの子を、サラニハラミサラミ。………それでも。こんなんでも。わたえのことだけは、わたえのことだけは、針で刺さんで頂かしてのし!