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「古典推し」という番組がNHKで始まった。第一回が「平家物語」。私の大好きな古典なので、録画して見た。いきなり、「尊い」という言葉が出てきた。「素晴らしい」という意味のようだ。「推しが尊い」といった使われ方が番組の中では出てきた。 こういう運び方は、若い人たちに向けて「古典の良さを見直してみよう」系の番組をNHKが作ろうとしているのかなと思ってみていると、「扇の的」が出てきた。陸にいる源氏の武士たちに向かって漕ぎ出してきた平家の船には竿の先に扇がつけてある。「この扇を射抜ける者がいたらやってみろ」という挑発かなと思いきや、扇の的の横に立っている女性は巫女のような姿。つまり、この扇の的を射抜けたら源氏の勝ち、平家の負けを占うためのものなんだという解釈が出てきた。 手元にあるのが角川文庫版。そのような解釈は載っていない。 与一がみごとに扇の要際を射切ると、「沖には、平家舷(ふなばた)を叩いて感じたり、陸(くが)には源氏箙(えびら)を叩いてどよめきけり」とある。与一が扇を射切ってしまうという事が平家にとっての凶兆ならば平家の武士たちは「舷を叩いて感じ」るのだろうか?また平家の軍船の間から扇の的を立てた船が漕ぎ出してきたときに、義経が「あれはいかに」と側近に問うと、「射てみよというのでしょう。ただし、義経様が美人をご覧になろうと矢の射程距離内に入られますと射殺せよとのことでしょう。しかし、あの扇は射落とさねばならんでしょう」(拙訳)と答えていることから考えるに、「占い」説はやや無理があると思う。 他の本にそのような解釈があるかどうか調べてみたい。
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Last updated
2024.03.28 20:13:26
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