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カテゴリ:出会い・縁・本(漫画)
江川達也さんは「日露戦争物語」と並行して「源氏物語」も描いています。
「源氏物語」はご存知の通り、紫式部による世界最古の(恋愛)小説と言われていますが、すごくよく出来た話ですよね。多くの人が指摘している通り、私も源氏物語は、源氏の最愛の女(ひと)でありながら、子を成すことが出来ず(低い身分ながら僅かな逢瀬で国母になる娘を産む明石の上にその役目をとられてしまいます)、正妻としての地位も得られず(皇女の女三の宮の後塵を拝す)、望んだ出家もかなわないまま若くして命を落とす「紫の上」の悲劇を通して、女性の哀しさや世の無常を描いていると考えます。亡くなった作家の田中澄江さんが小気味よく切ってましたが、全く光源氏は女心がわからない自分勝手な男です!!(笑) 現代語訳では、与謝野晶子が訳した源氏物語が一番良いと思います。高校時代、谷崎潤一郎など様々な文豪による源氏物語の現代語訳に挑戦しましたが、退屈でどれも途中で挫折、唯一最後まで読み切ることが出来たのが与謝野晶子による源氏物語(角川文庫で三巻)でした。紫の上を「女王」と表現するところだけは少し違和感がありますが、さすが歌人、物語に出てくる多くの歌を上手く地の文と組み合わせ、全体の流れを妨げない現代語訳になっています。好きな方がいたら悪いのですが、世間で流行っている瀬戸内寂聴さんによる現代語訳はひどいと思います。歌をあんなに長くだらだらと解釈していたら、原文の風合いがなくなってしまいます。瀬戸内さんは話が面白いですし好きな小説もありますが、源氏物語はいけません(笑)。 漫画の源氏物語では、大和和紀さんの「あさきゆめみし」も物語の内容をよく把握されていると感心します。特に後の方になるほど、読みが深くなっていって味わい深い物語に仕上がっていると思います。 江川達也さんの源氏物語は。。。実は。。。一見するとほとんどポルノ漫画です。これを好きな漫画に挙げるのは私自身の趣味が誤解される恐れなきにしもあらず、と躊躇するほど凄いです(笑)。確かに「性」という源氏物語の一面しか捉えていない、勝手な解釈が多い、などの批判は当たっていると思いますが、源氏物語の性の問題に正面切って取り組んだのは評価できるのではないでしょうか。平安時代の政治は如何に有利な形で自分の娘を入内させ、親王を生ませ、自分が国父になることが重要な権力闘争だったのですから。それに原文を全て漫画の中に書き込む、というのも面白い趣向です。本当は原文が一番面白いのですから当然といえば当然なのですが。 江川達也さんの源氏物語は賛否両論多いかもしれませんが、江川さんが描く六条御息所(源氏の正妻・葵上に物の怪となってとり憑き、命を奪ってしまう)は、私のイメージに一番近いです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2005年03月14日 02時35分22秒
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