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カテゴリ:歴史・社会
この展覧会では神社への奉納品が沢山展示されていますが、最初に目にするのは、鎧と刀。昔、友人と瀬戸内海・大三島の大山祇神社に行ったことがあります。山、海の神、戦いの神として歴代の朝廷や武将たちから尊崇を集めた同神社には多くの奉納された鎧が展示されてましたが、友人は「人殺しの道具でしょ」と嫌悪感を示し来た事を後悔していました(その友人とは今でも付き合ってますが、価値観を共有できないと思い、自分から旅を共にすることはなくなりました)。
確かに鎧や刀は戦(いくさ)の為に作られ、人殺しの道具にもなるものです。でも、私は、戦という「死」と向かい合わせの極限状況にあるモノだからこそ、ある種の美しさを感じるのです。「緊張感を伴う美」の素晴らしさというか、死が近い状況だからこそ最高の美しさ・芸術品を求めたのか。鎧や刀には独特の怪しい美が見られます... 日本は敗戦国の哀しさか、鎧や刀は国立博物館でも暗く狭い展示室しか与えられていませんが、ニューヨークのメトロポリタン美術館では「ARMS」という広い展示室があって、中世ドイツの騎馬隊が列をなしています。 厳島神社の鎧や刀も奉納品が多いですが、足利尊氏が所有していた刀もあり、「ん~尊氏が持っていたのかー」と中世史を少し勉強したことがある私には感慨深いです。是非、現物を見にいくことをおススメします。 今、中国の反日政策・運動で、靖国神社参拝云々が取り沙汰されていますが、日本人でも実際に靖国神社を訪れたことがある人はどの位いるでしょうか??靖国神社の明治以降の沿革・歴史を知っている人は??神社内の戦争・軍事を中心とした歴史博物館「遊就館」をきちんと見学した人は???実際に訪れると、靖国神社ほど平和を願っている場所はなく、また平和を祈る気持ちにさせる場所はない、と私は感じます。 私が初めて靖国神社を訪れたのは、茶会の催しでした(靖国神社の庭には素晴らしい茶室がいくつかあります)。私が習っている裏千家の先代家元は特攻隊の生き残りで、死者を弔い平和を祈る気持ちから「献茶」の儀式を続けています。能舞台での茶席の後、時間があったので着物姿のまま何気なく資料館の「遊就館」に入りましたが、驚きました。実際に行ってみれば理解して頂けると思うのですが、非常に客観的な展示だったのです。 そして特別展示では「姉さま人形」が沢山並んでいました。未婚のまま(女性を知ることなく)戦地に向かい若くして亡くなった息子や弟のために、母親や姉が姉さま人形を靖国神社に奉納、せめてあの世で花嫁さんになってもらい幸せな結婚生活を営んで欲しい、との願いが込められていました。一つ一つの人形に添えられた手紙は涙なしには読めませんでした。 政治的なプログではないのでこれ以上靖国神社に関するコメントは控えますが、まずは実際に自分の目で確かめ、なるべく正確な事実を知ること(できれば第一次資料を中心に)が大事だと思います。勿論、何が真実かは難しい問題ですが、先入観を持つことなく幅広く見聞を広め、深めていけば、自ずから物事の姿が見えて来るのではないでしょうか。私もまだまだ勉強不足ですが、自分の国(日本)の歴史や文化を知らない人が多過ぎると考えています。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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