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幸せな投資家の徒然記

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2006年01月19日
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カテゴリ:資産運用一般
こんばんは♪ 今回の取引停止騒ぎ・・前代未聞です。既に多くの方々が言及されていますが、個人的な感慨を少し綴ってみます。(あくまでも個人的な意見です)

☆ 取引が出来ない「取引所」って・・・??? 

ヘラクレスの約定報告などが遅すぎる大阪証券取引所同様、東京証券取引所もお粗末過ぎます。流動性を確保すべき取引所が機能不全とは・・・世界的にみても、本当に恥ずかしいです。ネット証券を通じた個人投資家の増加及び煩雑な取引、ヘッジファンド等の意図的な小口大量注文・・数年前から既に明らかな状況ですよね。銀行と同じく、取引所の最重要機能である「決済」を一方的に停止するなんて本当に信じられません。一刻も早い改善措置を願います。

実際、私も被害を受けました(苦笑)。4314ダヴィンチをストップ安で買えたのは良かったのですが、更に買い増しを狙っていた8868アーバンが上昇したので代わりに他の銘柄(同じくストップ安の8902パシフィックM、8789フィンテックGなど)を買い増そうと思ってアーバンの買い注文を取り消したら・・・全然取り消し処理が進まない・・・「取り消し中」のまま午後2時40分を迎え、「取引停止」(涙)。取り消し中のまま資金が拘束されたので、他市場の銘柄も買えず・・・。パシフィックM、19日は朝からストップ高でした・・(涙)。私は怒っているゾ!!

[2006年1月19日付け日経新聞記事より引用(太字は筆者による)]
「ライブドア株、信用取引での担保除外に「困惑」・金融相」
 与謝野馨経済財政・金融担当相は19日の閣議後の記者会見で、マネックス証券がライブドア株の信用取引での担保価値をゼロにすると17日に投資家に通知したことについて「投資家にとって困惑の極み」との見方を示した。同社の措置が「市場の混乱に拍車をかけたとの疑いを(投資家が)持つことは当然だ」と述べ、東京証券取引所の売買全面停止の一因に担保価値の引き下げ問題があると、暗に批判した。
 金融相は「事態が落ち着いてから市場関係者で議論がなされることを期待している」として、証券界が信用取引の担保価値の設定などのルール作りに取り組むべきだとの考えを示した。
 東証の売買停止については「取引ができない取引所は存在価値すら疑われると、東証はよく自覚していただきたい」と注文をつけた。谷垣禎一財務相も閣議後の記者会見で「システム能力の限界から自主的に取引を停止したというのは非常に残念な事態」と述べた。安倍晋三官房長官も記者会見で「東証および日本証券クリアリング機構は適切な対応をとり、しっかりと国際的な信用を確保してもらいたい」と述べた。


☆ マネックス証券の対応について

上記の記事にも出てきたマネックス証券のライブドア関連5社の信用担保掛目を0%にした対応ですが、多くの人々が言及している如く、私も拙速な対応だったと考えています。

一部報道では「金融庁、掛け目変更でマネックス証券に事情聴取・松本マネックス社長は反発の姿勢」(1月19日20:19 テクノバーン)、マネックス証券側は「金融庁が事情聴取を行った事実はない」と情報が錯綜していますが、私は、マネックス証券が「ライブドア関連企業5社の信用評価掛目をいきなりゼロにしたこと」と「場中(17日11時過ぎ)に突然発表したこと」が問題だと考えています。

1月19日の同社プレス・リリース「与謝野金融担当相の発言に関して」にあるように、「代用有価証券としての担保価値の評価が困難になったと総合的に判断される場合に、その担保掛目を下げることは、経営の選択肢の一つ」かもしれません。でもその判断にライブドア関連企業5社を担保にして信用取引をしている投資家、及びその判断が及ぼす影響についての配慮があったでしょうか? 

証券会社がいきなり担保掛目を下げなくても、株価が下落しているのですから、事実上の担保掛目は既に下がっている訳です。確かに値がつかない状況では担保掛目を下げる措置も選択肢でしょうが、最低でも発表は、場が終わった午後3時半以降にすべきでした。

場中に顧客にメールも流し、「個人投資家の利益を守る為に、早期の注意喚起を行うことは、証券会社としての責務」だと考えたといっても、仕事を持つ兼業投資家のうち何人がマネックス証券からのメールを見られたでしょうか? 場中に担保掛目変更の情報を知りえたでしょうか?またライブドアの取引は専業投資家が多く場中でも変更に気づけた、という見方もあるかもしれませんが、場中にいきなり「掛目が0%になる」との情報が流れては混乱するのも当然です。

厳しい言い方かもしれませんが、とても全ての個人投資家の利益を守る判断とは思えません。

私個人は、マネックス証券という証券会社は、比較的個人投資家の立場に立った経営を行っていると考えています。また、松本大社長も人の話を聞く耳を持った非常に優秀な方です。私自身は、投資信託の取引のみですが(株は手数料が高い)、今回の「マネックス・ショック」で口座を解約する気は全くありません。

ただ、松本社長始め、マネックス証券を創業した元ゴールドマン・サックス証券(東京支店)の人々は皆、「債券部」出身なのです。ご存知の方もいるかもしれませんが、私が勤務していた(外資系)証券会社(投資銀行)では、債券部の人々は一般に株式部の人々を「低く見る」傾向がありました(勿論、例外もあります)。胡散臭い、品が無い、頭が悪くても営業できる等等(苦笑)。松本社長以下、債券部出身のマネックス社幹部にそういう意識は無いかもしれませんが、「債券」は「理詰め」の世界です。でも株式は多少違います。勿論、株式市場にも「理」はありますが(株価は最終的には業績に収斂する等)、理屈だけでは通らない、「心理的影響」が比較的大きいのが株式市場です。特に個々の銘柄の値動きについては、債券市場より多様な要素が働いていると思います。理詰め指向の世界で生きてきた松本社長以下、優秀な債券部出身の幹部が多様な投資家が参加する「微妙な株式市場のアヤ=影響」を読み取れなかったのはある意味、仕方無いかもしれません。

松本社長自身、「プロ」の厳しさを知っている故に、個人投資家に信用取引を薦めるのを最期まで躊躇していたのはよく知られている通りです。確かに株式投資を始めて間もない、実績・経験も少ない個人投資家が資産的に大きなリスクを背負う可能性もある信用取引が余りにも簡単に出来る状況は私も問題があると思いますが、当時業績が低迷していたマネックス証券は、顧客からの要望に応えるという意味でも、信用取引導入を決断せざるを得ない状況となりました。

今回は、マネックス証券の長所でもある「真面目さ」「正論」が株式市場という「世間」では通用しなかった、ということかもしれません。「代用有価証券としての担保価値の評価が困難になった」との判断は正論かもしれません。でも「(書生の如く)正論を通すことが多くの人々の困惑を招く」ことは世間一般でよく見られる現象ですね。

「担保掛目の評価を下げる」のは必要な措置なのかもしれませんが、今回のマネックス証券の措置は、実施時間、方法において拙速だったといわざるをえません。


☆ ライブドア問題:エンロンの時も同じ。

今後、ライブドア問題がどのような展開になるのか判りませんが、粉飾決算などの問題が他の企業にも波及して市場全体の問題にならない限り、一IT企業の不祥事にすぎず、影響は一時的だと思います。自分がライブドア株を持っておらず他人事だから言えることかもしれませんが、ライブドアが仮に上場廃止・経営困難に追い込まれても、関連企業・投資家は困るでしょうが、日本経済全体では困らないからです。厳しい酷な言い方かもしれませんが、事実だと思います。これがトヨタ自動車などの日本の中核企業で発生した問題だったら深刻な事態になる可能性もありますが、今回はそうした事態とは違うと思います。

思えば、破綻して米国市場を混乱させたエンロンも同じように、一時期「エネルギー業界に革命を起す有力新興企業」として随分もてはやされていました。当時、私はエネルギー関連の仕事をしていたので、業界紙である電気新聞で「エンロンの挑戦」云々という特集記事などを覚えています。日本の商社の中にはエンロンと合弁企業を作った会社もあったと記憶しています。勿論、ライブドアがエンロンと同じ運命を辿るということではなく、また例外もありますが、マスコミというのは「目立つ企業(人)を持ち上げては落とす」ものなのかもしれません(苦笑)。

***************

世の中で一番簡単なことは何だと思いますか? 「人(やモノ、出来事)の批判をすること」だと私は考えています(苦笑)。いわゆる「言うは易し、行うは難し」ですね。上記は私の手前勝手な批判に過ぎませんが、今年最初の株式市場を騒がした事態についての感慨を残すべく書いてみました。

結局、私たち個人投資家に出来ることは、如何なる事態になっても大丈夫なようにリスク管理を徹底すること、そして自分で出来る限り事実を確認してマスコミ報道に惑わされないこと、かもしれませんね♪

☆ 本日の五天王(+アセットI)[終値は1月19日の数字です]





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最終更新日  2006年01月20日 06時48分51秒
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