進撃の巨人 Season 3 第48話 傍観者
進撃の巨人 3 #48 (3期11話) 『 傍観者 』 ☆前のお話は → 「第38話~第47話 あらすじまとめ」★1期 → 「進撃の巨人 第 1話~第25話」★2期 → 「進撃の巨人 第26話~第37話」 「王冠かぶったのが2か月前か...今じゃ孤児院の院長のほうが板に付いてきてる」「巷で何て言われてるか知ってる? 牛飼いの女神様だって。もちろん親しみを込めてね」 「いよいよ神様になっちまったな。これじゃトロスト区を塞いだやつのことなんか誰も覚えてねえよ、オイ」 「ヒストリアが女王になるって決意した理由のひとつはこれをやるためだ」 「地下街から壁の端まで孤児や困窮者を集めて面倒を見る。これには地下街出身の兵長の後押しもあったらしい」 「困っている人がいたら、どこにいたって見つけ出し助けに行くって言ってた。これがヒストリアのやりたいことなんだ」 「硬質化の実験はうまくいってるんだってね」「ああ。でも急がねえと...またやつらが来ちまう」 「どうしたいの? ライナーとベルトルトともう一度会うことになるとしたら...」「やつらは殺さなきゃ...ならない」 「早くわかるといいね...この世界が何でこうなっているのか。私たちのしたこと後悔するわけにはいかないから」 「最近は地下街にいた子たちも笑うようになったの。これが間違ってるはずなんてないよ」「ああ。お前は立派だよ...あの時は人類なんか滅べばいいとか言ってたのにな」「あ、あれは、勢い余っただけだから...」 「貸して。エレンは実験で疲れてる」「そうだね...ごめん、ミカサ」「だから、俺を年寄りみたいに扱うのはやめろ」 『兵団の粛清によって中枢にあたる人材を多く失った人類だったが、地下空間で発見された光る鉱石など、得た物も多かった。そして、エレンの硬質化の能力は、とある対巨人兵器を誕生させた』 「おお、うなじに当たったぞ。今度こそは...やったぞ、12m級撃破!」 「いいぞ。これなら兵士が戦わなくても巨人を倒していける。日中フル稼働で巨人伐採しまくりの地獄の処刑人の誕生だ~やったなエレン」 「おそらく巨人の力を酷使しすぎたんだろ。このところ硬質化の実験ばかりだったからな」「すまない、エレン...」 「謝らないでくださいよハンジさん。俺が疲れたくらい何だっていうんですか。早く...武器を揃えて行きましょう。シガンシナ区に」 「勝てる...勝てるぞ。新兵器があれば巨人なんぞ紙くず同然だ」 「ったく、はしゃぎやがって。何がうれしくて今さら調査兵なんかになったんだか」「そうですよ。ヒッチに止められたりしなかったんですか」「ヒッチが? なぜだ?」 「なぜって、ふたりは...ブフフ...じゃないですか~」 「よくわからないが、ヒッチには『向いてない』だとか『イキがるな』だとか散々なじられたよ。挙句に『このまま憲兵にいればうまい汁が吸える』とか...少しは見直してたんだがな...『見損なった』って言ってやったよ」 ジャン:「クソが」 アルミン:「マルロはバカなの?」 サシャ:「こいつは、おかっぱ野郎ですね」 エレン:「なんだよ、マルロは間違ってないだろ」 ジャン:「とにかく、はしゃいでんのは、お前と同じ実戦経験ゼロの編入の連中だけなんだよ」 フロック:「おいおい、お前らすっかり歴戦の猛者か?...ひでえな、同じ104期だろ...それに俺たちだけじゃねえぜ。世間全体がウォール・マリア奪還をって盛り上がってんだ...」 「でも、確かにお前ら変わったよな。面構えっていうか...一体何があったんだ?...」 コニー:「じゃあ俺、先に行くぞ...明日は調整日だから朝から俺の村に帰ろうと思って...また何かわかるかもしれないしな」 サシャ:「コニーのお母さんを元に戻す方法、決して無いわけじゃないんですよね」アルミン:「うん。これから巨人の解明が進んでいけば、いつかは...」 (リヴァイ:「巨人の正体は人間かもしれねえ...て話だ」 ユミル:「60年ぐらいだ。もう、ずっと...終わらない悪夢を見ているようだったよ」)エレン:「悪夢か。いろいろあって有耶無耶になってたけど...俺たちが戦っている敵は何なんだろうな...つまり巨人てのは、悪夢にうなされ続ける人間...てことなのか? 俺も一時はそんな巨人に...」ミカサ:「エレン! まだパンとスープが残ってるでしょ。おしゃべりは食べ終わってからにしなさい」 「たくよぉ、エレン。お前最近そればっかだぞ。ひとりでブツブツと...お前が思い出さなきゃいけねえのは、あの男だろ」 「見たんだろ。洞窟で記憶を掘り返されたとき、親父さんと会っていた調査兵団の男ってやつを」 「ああ。あの日、あの状況で父さんと会っていたんだ。必ず何かを知っているはず...そもそも、あの男は俺もどっかで見たことあるはずなんだ...」「頭をどこかにぶつけてみては?」「教官の頭突きでも食らえばいいんだよ」「それで思い出せるなら...あれ?...」 「訓練兵団教官...キース・シャーディス !」皆で訓練所を訪ねる。ハンジ:「彼はエルヴィンのひとつ前、12代調査兵団の団長だよ。私たちも会うのは久しぶりだ」★前にキースが出てきたのはこちら→ 「1期3話 絶望の中で鈍く光る」 「シャーデイス教官」「あれから、たった数か月。みんな見違えるように変わった」 「シャーディス団長。...いえ教官殿。ウォール・マリア奪還を目前に控えた我々が、今ここに詰め寄る理由を察しておいででしょうか」「エレン...お前は母親とよく似ているな。だが、その瞳の奥に宿す牙は父親そのものだ」「話してください。知ってることすべて」「何も知らない。結論から言えばな。だが人類の利にはなり得ない話でよければ聞いてくれ。傍観者にすぎない私の思い出話を...」 20年前。ウォール・マリア、シガンシナ区壁門の目前に彼はいた。 「おい、あんた。ここで何をしている。どうやって壁を越えて来た?」「あなたたちこそ壁の外で何を...まさか、戦っているのか?」本当か嘘か彼はなぜ壁の外にいるのか覚えていなかった。記憶を一切なくしていたのだ。グリシャ・イェーガーという名前以外」 「無許可で巨人領域に足を踏み入れた罪とはねえ。わざわざ壁の外をうろつくバカがお前ら調査兵団以外にいるわけねえのによぉ」「勤務中に酒をやるバカを牢の中にぶち込む法はないか。ハンネス」「とにかく被害者がいるわけでもねえし、上への報告はなしだ。いいな」「ああ」 「そこで、ここからどこに帰るつもりだ。グリシャ・イェーガー」「名前以外にも覚えていることがある。私は医者だ。病院を紹介してくれ。できる仕事があるはずだ。そして私に教えてくれないか。この世界のことや、調査兵団...あなたたちのことを...」 彼は本当に何も知らなかった。この世界のことを何も。「そうか、貧富の差こそあれど、この壁の中は平和なんだな...少なくとも巨人に怯えて生きているわけではない...よかった」「『よかった』か。あんたもそう思うのか。この狭い壁の中で飯と酒にありつければそれで満足な部類の人間らしい。世界がどんだけ広いかなんて考えたこともない...」「あなたが壁の外へ出て行く理由はそれか? それが調査兵団?」「そうだ。バカみたいか?」「そんなわけないだろ。あなたたちはこの壁の誰よりも賢く勇気がある。その存在は魂が自由であることを示す。人類の誇りそのものだ」「誇り? 我々が...?」 「ちょっとキースさん。また調査兵団の勧誘かい?」「違うぞカルラ。私は...」「いやあ、私なんぞに務まるものではないでしょう。調査兵団はもっと特別な...選ばれし者でないと」選ばれし者。そんなことを言われたのは初めてだった。確かに壁の中は私には狭すぎた。調査兵団は損害を出し続け壁外拠点も作れていなかった。私が団長になれば成果は出せる。凡人どもの微量な脳ミソでも理解できるほどの偉業を突きつければ、やがて皆が(カルラも)私を認めると思った。 「グリシャ、カルラも例の伝染病だ。なんとかならないか」「奥のベッドに」「イェーガー先生...私の...両親も...」 「大丈夫。みんな助かるよ」 「イェーガー先生、家内が起き上がりました」伝染病にかかっていたハンネスの妻、カルラと両親もみんな元気になった。 「おめでとう。調査兵団団長に任命する」 「おめでとう。イェーガー先生」 「あの突破するしか能のない団長、また自分だけ生き延びたのかい」 「でもエルヴィンの分隊はまだ死人を出してないんだって。団長代えちまえばいいのにねえ」 「カルラ、この子は...」「エレン。男の子です。やっぱり便りは届いてなかったんですね。夫も心配してました...このまま...死ぬまで続けるつもりですか? もうこんなことは...」「なぜ凡人は何もせず死ぬまで生きていられるかわかるか。まず想像力に乏しいからだ。その結果何も成し得ずただクソを垂らしただけの人生を恥じることもない。偉業を成し遂げること、いや理解することすら不可能だろう...手当たり次第、男に愛想を振りまき酒を注いで回るしか取り柄のない者なんぞには...」 そう...凡人は何も成し遂げなかった。「エルヴィン...団長をやってくれるか?」 特別な人間はいる。ただそれが自分ではなかったというだけのこと。たったそれだけのことに、どうして気づけなかったのか... 「ウォール・マリアが破られた!」「シガンシナ区が壊滅したらしい...」「このトロスト区も危ないぞ...」 「キース!」ああ、思い出した。お前だったな。 「父さん...母さんが...巨人に...食われた...」 「エレン...母さんの仇を討て。お前にはできる...行くぞ」 「待て。どこへ行く」「ついて来ないでくれ」「待て、お前が討てばいいだろう。カルラの仇を。なんせお前は特別だからな。私と違って...」 「その子も違うんじゃないのか。選ばれし者じゃないかもしれないぞ...なあ、また人に呪いをかけるのか?」「この子はあんたとは違う。私の子だ。どうか頼む...関わらないでくれ」 雷?... 私は気絶していたお前を避難所の寝床に戻した。それが私の知るすべてだ。 エレン:「それだけ...ですか」 ハンジ:「あなたが退いた本当の理由がわかりました。死んでいった部下へのしょく罪ではなく、自分が特別じゃないとかどうとかいった...そんな幼稚な理由でここにいる」リヴァイ:「よせ、ハンジ」 ハンジ:「あなたの劣等感なんかどうでもいい...現実から逃げるな。公に心臓を捧げるとはそういうことだろ!」 エレン:「やめてください、ハンジさん。教官の言う通り...俺は特別でも何でもなかった。ただ...特別な父親の息子だった。それだけだったんです」 キース:「お前のお母さんは...カルラはこう言っていた」 『特別じゃなきゃ、いけないんですか? 私はそうは思いませんよ。少なくともこの子は...偉大になんてならなくてもいい。人より優れていなくたって...だって、見てくださいよ。こんなにかわいい。だからこの子はもう偉いんです。この世に生まれてきてくれたんだから』 『お前は父親が願ったように自らの命を燃やし壁の外で燃え尽きるのだろう』 『私は...何も...何ひとつ変えることはできない...』 『ただの傍観者だ...』 ★次回 「奪還作戦の夜」【感想】おお、傍観者ってキースだったのか。それとエルヴィンの前の団長で「何の成果も得られませんでした」の人とは気づかなかったわ。髪の毛のせいか? 前に出て来た訓練兵のころの話は1期でかなり前なので途中にリンク付けたけど「あれから数か月」なのか。それもビックリ。5年くらい経っているかとw そう、放送されたのが5年半くらい前だからね。で、そのときの感想に書いたけど、キースは最後に『グリシャ、今日おまえの息子が兵士になったぞ』って言ってた。エレンの父と知り合いみたいだなと思ったきりだったけど、そういうことだったんだね。で、装置に細工したのは教官だったというのも判明。いろいろわかってよかったけど、少し辛い話だったな。私も間違いなく凡人だし。