昔話
15年ほど昔、私には夫という人がいまして、アルコール依存症の末期になっておりました。絶望と情報不足の中、たどり着いたのは精神病院での治療でした。たしか、同じ日に入院したのは4人。3ヶ月ほどのお酒を断った入院で、みるみるまともになっていきました。退院後は断酒会に入会し、毎日行われる会合に、名古屋中を来る日も来る日も回りました。(結局は暫らくお酒を断って少しまともにしてから、お酒を飲む暇を与えないように引きずり回すというものです。)夫の入院の前後に入院された方々の中には、入院中、入院後に離婚された方、自殺された方、病死された方等、様々な悲惨といわれる人生の見本市のようでした。断酒会にいた頃はほぼ、月に一度はお葬式に行きました。結局私の夫と言う人は、その後再飲し、産みのお母さんの所に逃げ込み、私はそれから、アルコール依存症とも、断酒会とも縁のない生活をしてきたわけですが、今年の年賀状の中に、当時の同期の方の年賀状がありまして、ご主人が亡くなったと書き添えてありました。、10年以上も前のことで、日々の生活の中、思い出すこともなくなった近年でしたが、私は捨ててしまったあの、大変だった日々を10年以上も継続していた現実があるのだと、切ない感情がわきました。