|
カテゴリ:カテゴリ未分類
六時間目。
我が校体育館で行われているバレーの大会見学をさせられた。 熱気、歓声、ボールの音、汗のにおい 顧問が審判をやっていた。見慣れた審判のユニフォーム。 息ができない。 ギャラリーにいさえすれば自由位置観戦だったので、沸き立つクラスメートから1人離れようとする。 そのときうしろから 『審判おわったよー』 と顧問の声。わいわいと顧問に話しかける生徒。 一瞬足が止まったあたしは後ろを振り向けなくて、早足で立ち去る。 熱気、歓声、ボールの音、汗のにおい しゃがみこむ。各校を応援しているチームや親たちが不思議な顔であたしを見る。 見るな。 私はチームからつまはじきにされた人間だという思いだけが頭をまわり、たまらずギャラリーをおりる。 廊下のトーナメント表をみているふりをしながら壁によりかかる。 クラスメートも顧問もギャラリーにいるからここにはこない。 色とりどりのユニフォーム姿の選手たちが泣いたり笑ったりしながらあたしの目の前を行き来する。 しばらくそこに立っていた。 あるヒトが近づいてきて、あたしの顔の前で大丈夫と問うように手をひらひらさせた。 軽く頭をさげるあたし。 『試合みないの?』 『ああ、いま…、トーナメント表みにきたんです』 『……。そう』 きっと、あたしがずっとそこにいて、しかもトーナメント表なんか見てもいないことに彼は気づいていたのだろう。 彼もあたしの隣にならんだ。 あたしは、何か言った方がいいのかと思った。そして、彼もそう思っていることがわかった。 あたしたちは黙ってトーナメント表をみつめていた。 とそこへ、クラスメート二人がとおりかかる。そしてあたしたちに話しかける彼女ら。 彼女らはもちろんなにもしていないが、あたしはその瞬間に彼女たちからものすごく遠い場所にいるような気がして、めまいがした。 彼女たちがトーナメント表に目を取られたすきに、あたしはなにも言わずに逃げた。彼のほうは振り返らなかった。 やっとチャイムがなり、あたしは教室にもどった。 苦しい。苦しい。 泣き場所はなかった。教室にも体育館にも。 あたしはダメな人間だ。 彼はあたしのことをどう思ったろうか?もう授業はうけもたれていないから話す機会も滅多にない。 授業を休んで保健室に行けば会えるかな。 …会って何を言う気だ? あたしはただの落ちこぼれで汚い生徒だというのに。 彼はあたしを軽蔑しているかもしれない。 だれにもあいたくない。 今日は思い切り鬱に浸り泣きたい気分だ。 どうして涙がでないんだろう。 > > > > > お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006年06月15日 20時25分20秒
コメント(0) | コメントを書く |
|