借りたのは、〈唐招提寺スマートガイド〉というもの。貸出料金は500円。
音声と映像でガイドしてくれる機器で、大きさはA5サイズくらい。
耳にイヤホンをつけ、首からこれをぶらさげると、、、ちょっとダサい。
写真を撮らないなら、それこそスマートに歩けるが、カメラもとなると、持ち物だらけでゴチャゴチャしてしまった。
でも便利だったのは確かで、耳から情報が入るのはいいな。
(映像がいるかというところが微妙かなぁ)
これをぶら下げてひとりでふらふら歩いていると、“熱心に見ているヤツ”と誤解されるようで、2度もスタッフのおじさんからお声をがかかり、丁寧な説明を受けることになった。
わたし、へいぜいは知らぬ人から声がかかるということがほとんどありませんの。
どうも、とっつきにくい印象があるらしくて、、、
きっと顔が笑ってなくて、“寄るな”オーラが出ているんだと思う。
唐招提寺は759年に唐出身の僧、鑑真によって創建。
有名な鑑真和上坐像(国宝)は御影堂に納められていて、毎年6月6日の前後3日間だけ公開される。
このお方にお会いできるのは、1年に3日しか機会がございません。
さぞかし激混みだろうな。
ぐるっと全体を巡って金堂前に戻ってくると、金堂の屋根の隅を指差しながらスタッフのおじ様が近づいてきた。
金堂〈国宝〉 奈良時代(8世紀後半)
「あそこ見てください!鬼がいますよ。隅鬼といいます。」
えっ どこどこ~?
あっ!いた。 なんか必死で屋根を支えてる。
もし唐招提寺に行かれるなら、オペラグラス持参がいいかも。
この西南の角の隅鬼クンは江戸時代のもので、他の4つの奈良時代作のとは顔が違うらしい。
「次はあの鐘を見てね。裏にまわって字を見てください。〈南都 左京〉と刻まれているけれど、ここは〈南都 右京〉なんです。間違えてしまったようです。」
一度真横を通った鐘楼へUターン。
確かに〈南都 左京〉とある。
梵鐘(重要文化財)は平安時代のものなので、その頃の職人さんのミステイクということなら、えらい長いこと仕事のミスをさらされちゃってるのね。
鐘の向こうに見えるのは鼓楼(国宝)、鎌倉時代のもので、毎年5月19日には楼上からハート型の宝扇(うちわ)がまかれる。
関西の人間なら、大勢の人々が争奪戦を繰り広げる〈うちわまき会式〉を、季節のニュースとして見たことがあるだろう。
そのうちわがハート型
で、鼓楼には“かくれハート”がたくさん存在すると、別のおじ様から教えていただいた。
釘隠しがハート
ハートがいっぱいで、まるで“愛の神殿”のように見えなくもない。
西洋からハートのマークが伝わる以前に唐招提寺に存在していたと考えられるハートたち。
ちょっとミステリー