カテゴリ:本
<江戸・天明年間、シケに遭って黒潮に乗ってしまった男たちは、不気味な沈黙をたもつ絶海の火山島に漂着した。水も湧かず、生活の手段とてない無人の島で、仲間の男たちは次々と倒れていったが、土佐の船乗り長平はただひとり生き残って、12年に及ぶ苦闘の末、ついに生還する。その存在の秘密と、壮絶な生き様を巨細に描いて圧倒的感動を呼ぶ、話題の長編ドキュメンタリー小説>
凄い人がいたもんだ。人間ってここまで強くなれるんだ。 江戸時代、土佐の千石船が嵐に遭遇。 舵を失い、帆柱を切り倒した漂流船になって、命からがら無人島にたどり着く。 それだけでも波乱万丈のドラマですが、その後の12年間、あほうどりを捕まえ、卵の殻に雨水を貯め、時に絶望感に打ちのめされながら、強靭な精神力と創意工夫によって、生還を果たす長平。 木も生えぬ火山の島で、後に流れ着いた大阪と鹿児島の漂流者たちと力を合わせ、何年間もかかって流木を拾い集め、錨を溶かして釘を作り、海までの道を作る。 生きようという強い力・希望が、ついに成し遂げさせた奇跡。 これは史実に基づくドキュメンタリーだそうですが、緻密に調べ上げた著者の熱意と、感情を抑えた筆致に、より共感させられました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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