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日常のニュースからひも解く自らの視点

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村松克哉

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 日本の元凶は政治家と官僚の利権構造である。政治家は金権政治から脱却できず、現在の公務員制度は、明治時代から120年以上も続く古い制度である。その最大の特徴は、官僚たちの「中立性」を重視していることだ。現行制度ができるまで、明治政府では、それぞれの大臣が自分たちのお抱え人材を政治任用して行政を取り仕切ってきたが、内閣が代わるだびに人材が入れ替わり、行政の一貫性が保たれないことが問題視されるようになった。そこで、山県有朋が第二次山縣政権時代(1898年11月~1900年10月)の1899年に文官任用令を改正して政治任用を禁止。以後、政治家とかかわりのない官僚が中立的な立場で行政を取り仕切るようになった。行政の一貫性が保たれたのはいいが、中立であるということは、裏を返せば官僚が政治家の言うことを聞かなくなることを意味する。その結果、官僚は自分の利権ばかりを追い求め、民意を反映しない行政が行われることになってしまった。
 この状況を打破するため、政治主導の行政を実現するしかない。国民は自民党の金権政治に飽きて、大臣にある程度の政治任用権限を与え、省益に染まった官僚だけでなく、民間や学術界などの人材も広く登用する制度に政権交代で変えていこうとしたが、結果的に政治家と官僚が癒着する構造になってしまった。世界では日本のように、政権スタッフの政治任用が原則として認められていない国は非常に珍しく、欧米など海外では当たり前のことである。米国では、大統領が代わる度にホワイトハウスのスタッフもがらりと入れ替わる。対照的に日本では、大臣を補佐する事務次官には必ず官僚のトップが就く。政権が代わっても事務次官は代わらないことが多いので、行政の一貫性は保たれるが、省益を代表する事務次官が壁となっている。政治家は稼業となり、世襲議員ばかりとなった。政治資金規正法は政治家本人の責任まで及ばず、国庫から多額の資金を受けていながら企業・団体からの献金を受け、政治パーティを開いて、寄付に比べて氏名等の公開基準が緩いパーティ券収入で支出が不明、企業ぐるみの政治家応援のため、国民の選挙権侵害も現実に起こっています。政治家や官僚が民意や国益よりも自分たちの利権を重視していることのひとつが、政策を立てるときに、官僚は必ずといっていいほど自分たちの天下り先を確保していることです。官僚は政策を立てるたびに官僚の天下り先をつくり、天下りポストを増やしていく。国のため、国民のためではなく、あくまで自分たちの利益ために政策作りを行っているのが官僚たちの本当の姿なのです。国の歳出には、官僚たちの天下り先である特殊法人や独立行政法人などへの補助金が相当多く含まれています。それらの天下り先を民営化するだけでも、財政支出は大幅に改善され、民間に売却して得た利益で国の借金を減らすこともできるにもかかわらず、日本はいつの間にか低福祉高負担国家になってしまいました。米国や英国のような低福祉低負担国とフランスや北欧のような高福祉高負担国の中間に日本はありますが、少子高齢化が進む日本においては高負担は避けられない道にあると思います。



 私は日本の政治は米国や英国を見るのではなく、北欧のような高福祉国家の統治を見るべきだと思っています。少子高齢化でこれから様々な問題が噴き出す日本においては北欧を参考にすべきだと考えます。理由は、北欧のような地方自治、基礎自治体への地方分権が進んでおり、高福祉高負担の福祉国家は、議員構成が非常に多様だからです。ノルウェーでは首相は女性。閣僚の約半数が女性です。性別だけでなく年齢も幅広い。18歳になる年から議員になれるので、地方議会には高校生の議員もいます。北欧では「議会の風景は、社会を反映する鏡でなければいけない」と言われます。日本は議員の大半が高齢の男性。若者や女性の求めていることが、政治に反映されにくい構造になっています。日本の若者の投票率の低さがよく問題視されますが、私は当たり前だと思います。日本人は自分の1票で何かを変えられると思っている人が少ない。それは「おじさん」以外の人が、物事を決めるテーブルに座ってなかったからです。国会など政治の意思決定の場のほとんどを高齢の男性が占めている。自分たちが何を求めたとしても、決めるのは「おじさん」。それでは自信も自覚も持てないと思います。政治が他人事になります。比喩的に言うと、北欧の「決定のテーブル」は丸く、日本は長方形なんです。日本は上座と下座があって、上座に座る偉い人の意見ばかりが通る。北欧は丸いテーブルで、座った人みんなに発言権があるイメージです。丸いテーブルにいろいろな人が座れたら、「選挙に行こう」と言わなくても、自然と投票に行くようになります。「自分の力で政治が動く」と思えるようになるからです。
 世代によって関心の高い政策テーマは違います。たとえば若者は環境政策に敏感です。ノルウェーは今、世界でもっとも電気自動車が普及していますが、それも若者の政治参加が影響していると思います。日本の義務教育は暗記ばかりで、自分の政治的な意見を求められることはまずありませんでした。でもノルウェーでは積極的に議論をします。小学校や中学校でも政治家を招き、政策の違いを語らせます。学校で政治の議論をする練習ができています。高校ではより本格的に、政党を選ぶ模擬選挙も行います。各政党に所属する10代、20代の青年が教育や環境問題を取り上げ、自党の政策をわかりやすい言葉で伝えます。時には政党の代表も参加し、高校生の質問に答えます。全国の高校で実施し、その結果は全国ニュースで報じられるほど注目を浴びます。数年内に実際に投票に行く世代なので、この世代の考えを知ることは重要なのです。日本では「中立的」であることをいつも求められます。政治的なことを言うと「偏っている」と非難されがちです。私はそれは他人の発言を封じる「呪いの言葉」だと思います。政治に関心をもっているのは自分の日常生活、暮らしに関心をもっているのとイコールです。政治的な意見がないというのは、自分の暮らしに意見がないのと同じことです。ノルウェーでは地方選挙でも、有権者は政党に1票を投じ、勝った政党が知事や市長を選びます。投票日の約1カ月前になると、駅前には各政党の「選挙小屋」が並びます。投票先を迷っている人はそこに行き、政党のパンフレットを集めたり、政党のスタッフと話をして情報を集めたりすることができます。活気があって、お祭りのような雰囲気になります。北欧には選挙カーはありません。反対に日本に選挙小屋がないことをこちらで話すと、「どうやって政治の話をするの?」「どうやって選挙を盛り上げるの?」と不思議がられます。候補者の違いを伝えるという意味では、報道機関の役割も重要です。ノルウェーの新聞は、各候補者の政策アンケートの回答を紙面でグラフィカルに示すほか、ウェブサイトで「ボートマッチ」を実施します。ボートマッチとは、サイト上で数十の質問に答えると、自分の考えに近い政党や候補者を教えてくれるもので、ゲームのような感覚で楽しめます。選挙のたびにいつも利用されています。北欧の小さい町はすごい元気です。小さくても世界のモデルになれるという自信がすごい。
 日本は少子高齢化が進んでいます。少子高齢化で人口減少、国内市場も縮小します。それは課題だが、チャンスでもあります。地方は今後ますます高齢化や過疎化は進むのだから、新しいチャレンジでほかの自治体、世界のモデルになれる。思い込みを捨てて、新しいアイデアに取り組んでほしいです。地方分権から地方主権に進んで自律的な政治を地方が行う。道州制がいいのか、藩体制に戻るのがいいのか、議論はあると思いますが、中央集権から地方主権に舵を切るべきときではないでしょうか。そこに手をつけずに増税だけ実施するのは、いかにも政治家や官僚だけに都合のいい、国民を愚弄した政策だと思いませんか。このままでは日本は本当に危機的な状況から抜け出せなくなります。心ある市民社会が声をあげるべきだと思います。
このブログでは日々のニュースを自分の視点でひも解いていきます。
※北欧の政治事情については、ノルウェーで10年以上暮らす秋田市出身のジャーナリスト鐙麻樹(あぶみあさき)さん(36)に北欧の選挙事情をインタビューした朝日新聞デジタルの2021年3月22日の記事から引用しました。
2024年07月05日
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カテゴリ:経済



 国際決済銀行(BIS)は円の国際的な価値を指数で示す「実質実効為替レート」(2020年=100)が5月は68.65となり過去最低を更新したと発表しました。海外と比べ物価や賃金の伸びが鈍いことと長引く円安が要因とされています。1970年代前半より低く、ピーク時の1995年4月の193から約3分の1まで低下しました。ドルやユーロ、人民元との差も拡大し、円の主要通貨としての地位が揺らいでいます。5月の米国ドルは109.58、欧州のユーロは102.11、中国の人民元は91.12でした。
 実質実効為替レートは外国為替市場でドルや円が取引される一般的な為替レートとは異なり主要国の物価上昇率や貿易額といった経済指標を考慮して通貨の総合的な実力を表しています。円通貨の実質実効為替レートの下落は円の価値が減価することを意味しています。円安・ドル高になれば米国の商品を購入するのにそれだけ多くの円が必要になり円の購買力は低下します。米国の物価が上昇すれば米国の商品を購入するのにそれだけ多くの円が必要になり円の購買力は低下します。
 円の購買力低下の背景には海外との物価格差や賃金格差があります。日本の物価や労働者賃金は米国やドイツと比較してこの約30年間ほとんど上昇していません。米国の物価は約2倍になっているため、本来、円の価値が2倍に上昇して初めて購買力が維持されます。しかしこうした通貨価値の調整は近年では起こりにくい状況です。
 昔は円安で輸出企業の売上が増えていましたが、今は企業の海外移転が進み必ずしも円安になっても輸出量は伸びません。また日本が海外に保有する資産から生み出される収益も海外で内部留保され、海外企業の買収など直接投資が増えているため昔に比べれば外貨を円に交換する需要はあまり生じません。
 物価や賃金が諸外国に比べて低い伸びを続けてきたことが実質実効為替レート低迷の背景にあります。円安進行は物価高を受けて金融を引き締める米欧と2%物価目標が未達として超金融緩和を続ける日銀の金融政策の違いが起因となっています。円安が続く背景には金融政策の違いだけでなく貿易赤字、円買い圧力に直結しない第1次所得収支の黒字、恒常的なデジタル赤字など明らかに構造的な要素があります。
 円の需要はインバウンド客の増加がカギです。コロナ禍から回復しているインバウンド客増加により旅行収支の黒字が円転需要の増加に寄与すると思われます。一方、企業の海外直接投資によって円を投資用の外貨に交換する「円投需要」が増加したことが円の下落要因になっています。企業がより成長の見込める海外へ生産や販売拠点をシフトさせたことに加え、原油価格の高止まりで円の実需が減少しています。
 欧米との比較でいえば賃金低迷は日本企業の稼ぐ力が欧米企業に比べて低いことに起因しています。賃金の原資となる企業の稼ぎである付加価値が伸び悩んでいることが最大要因です。人件費が増加しても当然、付加価値の増加率より低く抑えられています。日本企業は労働分配率を低下させ、その分を配当や社内留保率の上昇にあてています。
 日本経済にとって最も求められているのは賃金の上昇です。企業が生産性を高めて付加価値を増加させ、従業員に適切な利益増加分の還元を行えば実質賃金のプラスが持続的となるでしょう。賃金の持続的上昇が確認されれば経済の好循環が起こり予想物価上昇率の上昇や需給ギャップの改善を通じて物価上昇率も底上げされます。持続的な物価上昇と賃金上昇を受けて日銀や金融緩和の出口戦略を開始すれば実質実効為替レートの持ち直すことが期待されますが、根本的な課題は日本企業の稼ぐ力を持続的に高めることです。





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最終更新日  2024年07月05日 08時25分32秒
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