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日常のニュースからひも解く自らの視点

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村松克哉

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2024年11月
2006年08月04日
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カテゴリ:スポーツ
久々に感動しました。日経でのサッカー記事からの抜粋です。

ある日の試合でGKが大きな声を出した。私はその瞬間ハッピーになった。無口な彼もついにコーチングをするようになったのだ。それで通訳に『彼は何と言ったのか』と聞いた。答えに絶望した。彼は『頑張ろう』と言ったと。それじゃ客席のオヤジだ。サッカーにはもっと重要な言葉がたくさんあるはずなのに」
 オシム語録、と一見思うが、そうではない。発言の主は日本サッカーの父、デットマール・クラマー。40年前にこんな言葉を吐いた指導者がいたと教えてくれたのは長沼健・日本サッカー協会最高顧問である。
 長沼は言う。「いや、だから、すごく似ているんだよ、オシムとクラマーが。言うこと一つ一つに含蓄があって哲学的だ。やっていることも日本サッカー全体への提言であり、今、またクラマーが来た印象だ」
 日本代表監督就任後、オシムは積極的に選手の視察に動いた。同時に、チームを取り巻く過密日程について日本サッカー協会への苦言も忘れない。初戦となったトリニダード・トバゴ戦で当初選んだのはたったの13人。「私がもっと早く監督に就任していたらこの試合は断っていた」と発言。協会にとって代表戦はドル箱である。しかし、意味の無い試合を組み、過密日程で選手を消耗させるのでは本末転倒である。
 九月の中東遠征も出発当日のメンバー発表および招集となった。メディアはオシムに協会が振り回されているとあおったが、これもJリーグの試合前にメンバー発表することで選手のモチベーションに温度差が生まれるのを防ぐため。さらに、サッカーくじへの影響まで考慮してのこと。
ある意味で間接的なレジスタンスともいえる。協会に対する異議申し立ては前々任者のフィリップ・トルシエも頻繁だったが、コーチだった山本昌邦はアプローチが全く違うという。
 「トルシエは自己顕示欲も絡んでただテーブルをひっくり返すようなやり方。オシムさんは一緒に考えようというやり方で、老練だし、言われた方も聞く耳を持つ。私はこの4年で協会も色々と学んで、変わるのではと期待しています」
 オシムは24時間サッカーのことを考えている。自宅のテレビは欧州、南米、J2に至るまで、つけっ放しでサッカーが流れている。カネには全く無頓着だ。仕事上の信頼関係を何よりも重視し、一緒にやると決めたら契約金や年俸の額も見ない。監督業以外の報酬、例えば取材謝礼や本の印税などは中身も見ずに全額ボスニア難民のために寄付してしまう。代表戦が終わっても、年末いっぱい日本に残って視察をすると明言する。65歳のボスニア人は惜しみなく最大の情熱を日本サッカーにささげる。
 妻のアシマが最後になぜ日本代表監督を引き受けたのか、教えてくれた。
 「何より日本が好き、そして日本のサッカースタイルが好きなの。そしてそのスタイルを、自分ならもっとうまく引き出せる自信があると言ったのです」=敬称略
(ノンフィクション作家木村元彦)
オシムの言葉
オシム監督を心から応援したい。目先の1勝にこだわることなく、そして日本サッカーの輝く未来に対して。





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最終更新日  2006年09月01日 19時21分08秒
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