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村松克哉

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2024年11月
2024年02月18日
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カテゴリ:ラグビー



 2015年のWorld Cup England大会で南アフリカを破るなど、それまで負け続けていた日本代表を転換させたエディー・ジョーンズ氏が二度目のヘッドコーチとなり、日本ラグビーのビジョンを語っていました。前回、主将に任命され、エディー・ジョーンズ氏の信頼も厚い廣瀬俊朗氏がモデレーターとなって対談しています。どうすればこれからの日本を差別化できるか、エディー・ジョーンズ氏は「超速ラグビー」というキーワードを掲げています。日本人選手は、体は大きくないが、もっと速くなれるし、もっと速く考えることもできる。試合の流れを変えることができる。日本のラグビーは、海外のラグビーと比べてとても速い。素早くプレーし、勝つチャンスを得ることに長けている。エディー・ジョーンズ氏は、日本ラグビーのアイデンティティーは速さにあると考えています。行動が速いというだけでなく、個人の思考が速い、集団的思考も速い。明確な方向性を持ち、相手よりも速く実行することを意味しています。発展させたいのは、日本らしい速さで相手を上回ると言っています。クイック・リスタートなど判断の速いプレー、プレーが途切れた後の判断、局面打開に仕掛けがありそうだと感じました。
 平均的な選手、良い選手、偉大な選手を分けるものは、フィジカルではなくメンタリティにある。試合のすべての瞬間に参加し、このプレーを終えたら次に何をするかを考えている。チェスリン・コルビ、クワッガ・スミス、リッチー・モウンガは日本人と身体サイズは同じくらいだが、彼らのメンタリティ、試合のプレーに違いがある。それこそが日本人選手が培わなければならないところと看破しています。ラグビーは複雑なスポーツで、プレーヤーのゲームだ。試合をリードするのは選手たちだ。だからこそ、より優れたリーダーを作らなければならない。柔軟性と適応力を備えたリーダーシップ・グループを作ることに懸命に取り組まなければならない。チームのリーダーシップがチームを前進させる。強いリーダーシップで結束が固いと試合で負けにくい。結束が弱いと試合に負けやすくなる。かつてと違い、プロ化し、ラグビーを仕事とする選手が増えてきた。仕事以外にラグビーの話をしたくないようではダメだ。ラグビーは複雑なゲームだからそれについて話し合い、試合だってたくさん見る必要がある。自由時間にラグビーについて語り合う環境にできるか。ニュージーランドもそうしてきたが、私たちがいつも心がけていることのひとつは少人数のグループを作り、そこで試合について話し合うことが重要だ。
 やはり、世界一になるという願望を持ってベストな選手になると決意すること。野球の大谷選手が良い例だ。若い選手が海外に行ってプレーし、ゲームをコントロールする方法を学ぶのは素晴らしい経験だ。オールブラックスで95キャップを持っているサム・ケインは日本に来てボール・キャリア―になりたがっている。彼自身は試合の流れを変えたがっている。どんな選手にとっても海外経験を積むことで学ぶ道が開けることは間違いないと思う。学習の意欲が広がる、文化的理解が深まる。他人と違うことをする勇気は日本ラグビーの大きな課題である。五郎丸はいい例だと思う。おそらく入団したての頃は早稲田大で一番になることしか考えていなかっただろう。海外でプレーすることなど考えもしなかった。それからヤマハに行き、ヤマハで最高の選手になった。彼が初めて日本代表に来た時のことを思い出してほしい。決して最も熱心な選手ではなかった。でも変わった。何かが変わった。そしてワールドカップに出場しベスト15選手に入るプレーをした。おそらく海外に行くことを望んでいなかったであろう、この男がフランスとオーストラリアでプレーする。一人の選手が成し遂げたこととしてすごいことだ。
 この世に魔法は存在しないと思う。常に計画、準備、練習に尽きる。だから、計画に関しては特に今、スタッフの質がとても重要だ。スタッフは1人や2人だけではない。選手が活躍できる最高の環境を提供するためには20人のスタッフがチームとして協力する必要がある。それから、準備という点では日本は特にテクノロジーの活用に目をむけなければならないと思う。それがスタートラインだ。それで私たちは世界の他の国とも競い合える。選手たちの実質的な学習のためテクノロジーを活用していくことも考えている。だから今、様々なパートナーとテクノロジーの活用について話し合っている最中だ。そして3つ目は練習だ。大きなポイントはどれだけハードに練習するかではない。どのようにトレーニングに打ち込むかだ。さらに上を目指して上手くなるためにトレーニングに臨む。そしてトレーニングのたびに上手くなっていく。これは簡単なことではない。最も難しいことだ。その努力によってより精神的な集中力は上がり、精神面でもチームで協力しあえるようになる。これはイングランド代表のとき、私が最も努力してきた点でもある。リーグワンはトップレベルの大会として世界中で見られている。これはクラブとJRFUの間の計画であり、一丸となってやる必要があるのだが、私たちはこのレベルの高い競争をこれからも上げ続け、素晴らしい外国人選手を獲得する必要があると同時に日本人選手も発掘し、レベルを高めていく必要がある。現時点でのバランスは外国人選手の誘致に傾いているが、より日本人選手の発掘・育成にも力を入れていくべきだと考えている。そのためには戦略的な計画が必要だ。日本ラグビーのユニークなところは、全員が協力し、クラブチームとJRFU(協会)、そして代表チームの監督が協力して責任を分かち合い、ゲームの開発にかかわっていかなければいけない。
【JRFU】廣瀬俊朗&エディー・ジョーンズ 「超速ラグビー」~速さとは何か~





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最終更新日  2024年02月18日 09時16分38秒
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