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村松克哉

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2024年10月
2024年06月29日
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カテゴリ:経済



 高金利が続く中、個人消費が底堅い米国経済を支えているのはリッチシニアです。米国勢調査局によると米国の人口に65歳以上が占める割合は2023年8月に17.7%となりました。65歳以上が占める割合は1920年以降で最大となり2010年の13%から急上昇しています。シニア層は数が多いだけでなく、財務状況は比較的健全で住宅購入などでの借り入れの必要性が低く他の世代より解雇リスクが低いのが特徴です。
 そのため、シニア層の消費力は侮れなくなってきています。米労働省が発表した消費者支出調査によると2022年の支出に65歳以上が占めた割合は22%で1972年の統計開始以降で最大となりました。2010年は15%に過ぎませんでしたがシニア層の消費力は急上昇しています。
 米国の家計純資産は2000年から2018年まで年平均4.8%の伸びでしたが、2019年から2023年は年平均8.3%と大幅に伸びています。米国の場合は株式投資が多いため、米国株式の上昇と連動した伸びとなっています。70歳以上の家計純資産が米国の家計純資産に占める割合は2018年には25%でしたが、2023年に30%に達しています。このように米国は資産効果から消費に回ることになり、消費先はレストラン・旅行・エンターテインメントが主となっています。
 リッチシニアの消費として注目されるのがクルーズ船です。2022年に約76億7000万米ドルの市場規模で2023年から2030年にかけては11.5%以上の成長率で成長すると予測されています。コロナ禍からクルーズ業界の回復が進み、2022年には229隻のクルーズ船がロサンゼルス港に寄港し、2008年以来で最多となっています。2026年までにより多くの乗客を運ぶ大型船も含め、推定250隻に増加すると予想されています。
 旅行の中でクルーズ船利用が占める割合は2%に過ぎないのですが、過去2年で初めてクルーズ船を利用したと回答した割合が27%も占めており、クルーズ船利用者のすそ野は急速に広がっています。また、ホテル宿泊費用が上昇しており、クルーズ旅行は宿泊費を考えると30%超も安く値ごろ感が出ているのもクルーズ船人気のひとつの理由となっています。
 クルーズ船の大型化は乗客一人当たりのコスト低下につながり、乗りやすい価格を提供することが可能になりました。値ごろ感のあるパッケージはリッチ層だけでなく幅広い層までクルーズ船旅行を利用できるようになり、市場規模拡大に寄与しています。しかし、環境保護意識の高まりもあり、巨大クルーズ船に対して否定的な見方をする人もいます。
 地政学リスクもあります。世界で紛争地域の影響を受け、旅行先に制約があります。原油価格の高騰でコストを増加させることもあります。これらのリスクを踏まえてクルーズ船による旅行市場がどこまで拡大するのかを見なければなりません。日本は円安の影響もあり、インバウンド客が増加しており、クルーズ船の寄港数も増加しています。日本の港に海外のクルーズ船がより多く寄港すれば更なるインバウンド客の増加が見込めます。
 しかし、日米の65歳以上の消費を比較検討すると大きな差があります。米国は資産効果が働いて消費が活発です。日本は現金資産が中心なので長らくゼロ金利に置かれていたため消費は低調です。低所得に甘んじる高齢者も多く、年金だけでは暮らしていけない実態から消費も生活費(食料・光熱費・水道)のウエイトが高いです。逆に米国は消費でも外食のウエイトが高いです。
 日米で個人消費に違いがあるのは高齢者の資産効果と消費の違いに起因するところが大きいことがわかりました。日本の政治は65歳以上の高齢者次第と言っても過言ではない状況ですが、必ずしも高齢者の幸せにつながる政治とはなっていないのではないでしょうか。企業の儲けは海外直接投資に回り、国内の環境は劣化し社会を不平等にし、活力が衰退している中で企業は繁栄できません。実際に日本企業の稼ぐ力は欧米企業に比べ低いこと考えれば、社会の健全化への投資(国内投資)がなければなりません。





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最終更新日  2024年06月29日 09時08分19秒
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