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おととい発表会が終わった。夜だったので、とにかく長い1日だった。途中で「まだ終わってない。」と何度も思った。
今回はエレジーが2週間前倒しになるということを9日前に告げられるという想定外のことがすでに起こっていたけれど、まだその場に行って何があるかはわからないと言い聞かせていた。いろいろあるだろうけど動揺しないようにしようと思った。すでにリハーサルがないことは教えていただいていたし、完璧はありえない、練習通りに弾けないのは当たり前と事前に自分に言い聞かせた。不思議なことに会の間はほんとうに予定通りに事が進められた。予定外だったのは会の後、打ち上げに行って遅くなり帰り道に地下で案内通りに駅に行こうとするとシャッターが閉まっていたり扉が閉まっていて進めなくなっていて、地上に出て見知らぬビルを見上げ、暗い中で時たま見つかる地図をにらみ、人に何度も尋ねながら、終電を気にして重い荷物を持って歩き回り、駅に着いた時には汗だくになっていたことくらいだった。 ホールがちょっと寒いと思ったらちょうど暖房をあげていただいて、私が舞台に上がった時は舞台はライトの熱も加わり南国のように暖かだった。その温かさに寄りかかるように弾けばよいと思った。弾いている間はリラックスすることをこころがけて、あまり細かいことを気にしないようにした。暑さのせいか、不思議とほとんど緊張していないと感じた。でもやっぱりいつもより弓がかすれる感じもして、ここらへんだけで向こうのほうに音が行っていないような感じがした。向こうに行って返ってくる音があまり聞こえないような感じがした。たぶん自分ではそうは感じていなかったけどやはり緊張して右手がこわばっていたのだと思う。左手も細かい動きが硬直して音がくっついちゃったりゆがんだりしているのはわかった。音程もいい加減になっている感じがした。でもとにかくあんまり気にしないでとにかく音楽を進めることに集中するように努力した。 大きな事故もなく終わった。一番最後のほうで左手が脱線して音をはずしてしまったのはもうすぐ終わりだなんて思ったからだ。最後の和音も一番上の音がかすれ気味で残念。もう終わりだなんて思わないようにしないと。 終ったあと、終わったという喜びもあまりなく悔いもあまり感じなかった。なんか変な感じ。なんでだろうと昨日、今日と考えていた。今日は何べんも録音を聴いた。たぶん失敗もしなかったけど成功でもないことがそのぼんやりとした感じを残したのかもしれない。いろんなフレーズで頂点にいったときに張りのある音で十分に響かせたいと思ってその練習もしていたけれど、その感触を得るところまで1か所も弾けていなかったこと、録音を聴いていてもやっぱりもっと欲しいと思うことが、今の自分でももう少しはできたのではないかと思う点だろうか。あとは、ビブラートとか、音のつながりが悪く切れ切れになることとか、音の立ち上がりが遅くてあとから来ること、細かい音がはっきりしないこと、音程が悪いこと、私の合図が悪くてピアノと合っていないことなどがある。これらはまだ練習でもできていないので本番でできるようになるにはまだ意識改革や練習時間が必要だ。そんな個人的な諸問題もまとまってきたけれど、それとは別にほかの人の演奏を聴いていろいろ思うこともあって、そちらはまだ考えがまとまらない。これは今始まったことではないけどこの点についてはまだ考えがまとまらないのだ。発表会では受験生も弾くというより、そもそも受験生のためにこの時期に発表会があるのだけど、こういう若い人たちはテクニックもよくて音の処理もきれいで伸びもよくつながりもあって惹きこんでいく。これからもいっぱい勉強してもっともっと伸びていくのだろう。私にもこんな風に弾ける日が来るのだろうか(たぶん無理)、私は何をやっているのか、これからどう進めていったらいいのか、別に今気がついたわけではないのだけど、いつまでも今の生活が続けられるわけではないので、この貴重な時間を今後少しでも満足のいくように使うためにもちょっと立ち止まっている感じだ。いつもは発表会終ってもすぐにまたしゃんしゃんケチくさく練習し始めるのだけど、なんかそんなにがつがつしていない。ちょっと空気入れて、もう少しなんというかビジョンを整理する時間を持ったほうがよさそうだ。そんなに上手になれるとも考えられないけどこの程度と折り合いをつけて続けていくこともできない、それが私のかかえる問題なんだと思う。何を目指すのか、その目標を考えるだけで一生が終わりそうだけど、納得のいく目標でないとモチベーションにならないし、しかたない。 そう、会が始まる前に1人だけ合わせをしてないひとのリハーサルを聴いたり、少しだけ会場でみんなが音を出しているときから始まって人の演奏を聴いているときもずっと「ああ、チェロってほんといい楽器だなあ。」と改めて思った。正直言ってそんなにいつもは心から感じていないことだった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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