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ブリュッセルにいて、帰るときに、事務所のアンヌが夕食に招待してくれた。アンヌのうちにはその前にタッパウエアの会に1度行ったけど、そのあと2度目だったと思う。
タッパウエアの会でいただいた野菜スティックにつけたディップがおいしかったのであれはどうしたの?とあとで聞いたら、瓶に入って売ってる既製品でスーパーで売ってるよと言っていた。でも「○○」と言うブランドのでないとダメと若くてもベルギー人らしくがんこなこだわりをみせていた。 そのお別れのディナーのお料理はオーブンで焼いた鴨だったと思う。鴨大好き。ワインは1970年代位のブルゴーニュの赤で、くすんだルビー色をしていて、とてもおいしかった。いままでに飲んだワインの中で一番おいしかった。それでも全部飲めなくて残してしまってとても悲しかった。食べ物はどんなでも食べきれるのだけど、ワインはちょっとどんなにおいしくても飲めなくなってしまうのです。それ以来、私は安いワインでも赤はブルゴーニュのほうがおいしいと信じている。 アンヌの旦那さんはパトリックといって、フラマン系の会社に勤めていると言っていた。ベルギーにはフランス語をしゃべるワロン系とオランダ語の方言のフラマン語をしゃべるフラマン系といて、基本的にフラマン系の会社ではフラマン語がつかわれているらしく、パトリックはワロン系のフランス語の人だけどフラマン系の会社でフラマン語をしゃべって働いているとそういうことだった。 パトリックは音楽をよく知っていた。私が大げさなのはあんまりと言ったら、ワグナーのトリスタンとイゾルデの中の曲とか聞かせてくれて、ワグナーでもいいのもあることを教えてくれた。録音したカセットテープをもらった。今もあの大量のカセットテープ箱の中のどこかにあると思う。 パトリックが日本語でパトリックってどう言うの?と訊いた。日本語でもパトリックだよと思って「パトリック」と言ったら、その「リ」ってどういう発音?なんかちっちゃいもんが入っている、そのちっちゃいのがすごいいい、と言うのだ。もう一回言って、もう一回言ってと言われて、何度も「パトリック」と言った。私にとっては「り」は外国語にするとRiとLiがあって、日本語の「り」はLiと同じと思っているのだけど、そうじゃないらしい。パトリックはその「り」をすごく気に入ったようで、私にはそれがとても新鮮だった。どんなふうに聴こえるのだろうと。 チェロを弾いていて、弾きはじめの弓と弦が摩擦する瞬間は、言葉の初めの子音の音のように最近感じるときがある。この子音がうまく入ると何となく音が心地良く進むような感触がある。意味が理解できない外国語がそのいろんな形の子音をちりばめた音色でささやかれていて、それに聞き耳をたてるような。 この「パトリックのリ」を思う。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2011.01.20 15:28:46
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