息子の再出発
今日も妻と二人で、川沿いの道を散歩に出かけました。いつも言い出すのは妻の方です。妻はこの散歩道が気に入っているようです。だから、近くの駐車場まで妻が車を運転します。大分運転に慣れた来たようですが、時々少し心配です。 真っ赤な彼岸花が姿を消して、いつの間にか両側の川岸が、一面に黄色い花で覆い尽くされていました。先週も所々に咲いていましたが、こんなに一面に咲くなんて驚きです。風にウェーブするように揺れています。帰ってネットで調べてみると[セイタカアワダチソウ]というキク科の植物だそうです。秋風を受けてススキも揺れています。 道沿いの木立から黄色や少し赤く色づいた葉がひらひらとこぼれて私たちの足元をカサカサと転がって行きます。前から小さな男の子がよちよちと歩いて寄って来ました。ひらひらとこぼれる落ち葉を見て「葉っぱいっぱい」と指差しました。「かわいいね」と妻が言うと若いパパが嬉しそうに笑いました。「もう秋だな、今年の紅葉はどうだろうね」と妻と話しながらまわりを見渡すとずいぶん稲刈りも終わり農家の人たちは最後の追い込みのようです。ほら所々にコスモスが目に付きます。 息子は、昨日家を出て行きました。新しい会社が決まり、そこの独身寮へ移ったのです。勤め先は2時間ぐらいのところなので、時々は帰ってきます。息子は前の会社では期待されていました。そしてとても頼られていました。人より先に朝早くから出勤して、夜遅くまでがんばりました。人手不足の中、当然休日も不定期でした。日曜日や祭日に休める日はほとんど無かったのです。まして年末年始等は休めるわけがありませんでした。いつもクタクタでしたがよくがんばっていました。 こんな生活では家庭が持てないと気づいていたのです。子供や家族と同じ日に休める会社に勤めたいと考えていたのです。行き違いの生活ではいけないと思っていたのです。だから以前から転職先を探していましたが勤めながらでは、なかなか上手く出来ませんでした。 そんな時、息子は又一つ重要なポストに転勤が決まりました。それでも息子は近じかその会社を辞める事を、こころの中で決めていたようです。転勤した後に、仕事が起動にのった頃に会社を辞める事になれば、結局みんなにも迷惑をかける事になるし、決心がつかなくなる。息子は思い切って会社を辞めました。 息子は無職になりました。いつまでも無職で親に心配かける事はできません。かといって何度も転職するようでは意味がありません。出来れば一生勤められるような、ちゃんとした会社が理想でした。息子はインターネットを屈指して勤め先を探していました。1月程のパソコンとの格闘でした。その合間に説明会や面接にでかけました。そしてやっと自分がやって行けそうな理想の会社にたどり着きました。知名度もあるしっかりとした会社です。東京へ何度か試験や面接に出かけ、採用が決まったのです。わたした妻もやっと安心しました。 息子は明日から、1週間東京の本社で研修を受けた後、帰って来て関西の工場で6ヶ月の現場の教育を受けます。そしてその後、配属が決まります。またそこでも定期的に研修があるようです。配属先は、本社なのか支店なのか、どこへ行くのか、まだ決まっていません。息子は張切っているようです。きっと充実しているのでしょう。将来をにらんでの決断でした。だから、先日彼女を会わせようと思ったのでしょう。 先週は、秋祭りの太鼓の音を聞きながら歩いていましたが、今は祭りも終わり、本格的な秋の最中です。あちらこちらで、白鷺の家族が餌を取っています。合鴨の家族を見つけて、妻が指をさしました。こんなに野鳥がいる事に、わたしと妻は気が付きました。そして、自然の中にいると、なんだか心が落ち着きます。 今日は少し早足で歩いたので、うっすらと汗をかいていい運動になりました。