負けない命
暑い夏。その少し前の梅雨の始まりのころ母のお兄さん、おじさんですね・・・がうちに遊びに来ました。まぁ用事があって、父や母に会いに来たんでしょうけどね、ホントは。晴れた空の下で、並べた椅子に父や母と並んで座って談笑していたのに私も加わってね。そうして帰るとき、そのおじさんの車にちょっと気になるところがあって、私がチェックしてそれからおじさんの、この軽自動車の武勇伝を聞いて笑って送り出したんだけど、今、そのおじさんは病気で手術して入院しています。もう結構長い間・・・・集中治療室に・・・・今も居るんです。今日は日曜でしたけど父と母が見舞いに行くと言うので私が連れて行くことにしました。車でいつもウロウロしている私にはなんてこと無い距離ですがもう80歳となった父には、運転も大変なはず。私が連れていけるときには、そうしたいなって思ったんです。というか、私がおじさんに会いたかったからなんですけどね。病院に着いて集中治療室独特の手順を踏んで、中に入ります。整然とした大きな部屋の中に、沢山のスタッフの方が働かれていて私たちに挨拶してくださいます。歩み進んでいくとそこにおじさんが居るはず・・・・なんですがうまく見つけられません。おじさんの風貌が見当たらない・・・・と思ったんですが、真ん前のベッドに寝ている人がおじさんでした。小さい・・・・そう、この前あった時に比べてずいぶん小さく感じるんです。痩せてる・・・・そうか・・・・こんなに酷いのか・・・・想像以上の変化だったのですが目はしっかり開いていて私たちを認識してくれていました。いろんな点滴のチューブが繋がれてるおじさんに、母が話しかけて、そうして`今日はしょうちゃんもきたんよ~’って言うと私を見て、うんうんって頷いてくれます。そこで分かりました。おじさん、体はこんなに辛いことになってるんだけど頭は大丈夫なんだ、しっかりしている。そう分かったとたんに私はもう、どうしていいか・・・辛くてたまらなくなりました。頭がしっかりしているのに体が痛んでいる・・・・・つまり・・・常に非常に痛い・・苦しい・・・想像を絶する苦痛が続いているってことなんです。少し声を出して話したらおじさんはもう、目をギュッと瞑って、ハァハァ・・・と苦しそうな呼吸をしています。おいちゃん、もうしゃべらなくていいよ、黙ってる方が楽じゃないか・・・・その姿を見ていて、おじさんと歳が同じ父はもう見ていられないようで・・・・・・・もうダメだって・・・・・誰が言うってんだ???ダメじゃ無い。おいちゃんは、諦めた顔じゃ無い。戦ってる。目を閉じた苦痛の顔はただ辛い、って顔じゃ無かった。負けないって顔をしてた。病院の方々の手厚い看護はもちろんだけどこの本人の意思で、きっとまた戻ってくる。思い出になんか、絶対ならない。`しょうちゃん、本当のそうめん好きっていうのは、噛んだりしないでそのまま飲み込むんだよ!’小さい頃、そうおじさんが教えてくれてから若い頃はずっと、飲み込んでいたんだよ。いろんなことを、父と違った視点で教えてくれてそして何かの時には私に頼ってくれて。・・・・失いたくない。だから、おいちゃん頑張れ!!神や仏にすがるんじゃない。おいちゃんが負けなきゃいいんだろ!?頑張れ、頑張れ、頑張れ、頑張れ、頑張れ、頑張れ、頑張れ、頑張れ、頑張れ、頑張れ・・・・・・こうして応援するしか俺、出来ないんだよ。ごめんね、おいちゃん・・・だから・・・頑張れ!おいちゃん!!!・・・・・・・・・・・・・追伸8月2日の早朝3時おいちゃんは、天国へ旅立ちました。おいちゃん、疲れたね。ゆっくり休んでください。