看取り 泊り3日目
日曜日朝、看護助手さんがおしぼりをもってきてくれる。「されませんか?」と言われる。私に、母の顔拭きをしないかという事。ちょっと恥かしい気もしたが、前日、看護助手さんがしたような感じ見様見真似で、母の顔を拭いた。気持ち良さそうな顔をする母「気持ち良い?」と聞くと 「うん」と静かに言ってうなずいた。長女の持ってきたたい焼きがあり「ちょっと食べる?」と母に聞くと「うん」と言って 一口食べる。「美味しい?」と聞くと 「うん」と答える母。栄養食品のアイスやゼリーは1口~2口食べる程度。すっかり痩せた母だった。一週間前とは全然違う。一週間前は会話もできていたのに。母の妹、みいさんが来てくれた。みいさんは、痛いという母の身体を優しくさすっていた。母が珍しく「お風呂に入りたい」と言った。とてもびっくりして正直 とても嬉しい気持ちにもなった。ここ、約1か月 そんな事言うことなかった。逆に、「その言葉に深い意味があるの?」とも思った。最後に綺麗にして・・・・・・なのか?と母の想いを尊重したいと思って母に「今日は急に言っても、準備とかできてなくて無理かもしれないから聞いてみるね」と言った。母は 「うん」とほほ笑んで答えた。痛いと訴え、私は身体をさする。薬が少しずつ増える。しばらくすると、母は スースーと寝息を立て休んでいく。長女が来た時 みいさんは「私も泊まれる日は泊まるから、皆で交替しよう」 と言ってくれた。が、姉は、きっぱり 「いいよ、大丈夫、私も明日は泊まれるし、次女も泊まれる日は泊まって私達で交替して泊まるから・・・」と言った。私は、正直 みいさんの好意に甘えてもいいんじゃない?みいさんだってそうしたいんじゃない?と思ったが、姉がそうゆう想いなら、それが良いのかも と、言葉を飲んだ。病棟には、家族が泊まれる部屋があったが、そこは随分寂しくてそこで、休む気にはなれなかった。私は、デイルームや 病室のソファーのあるスペースで横になっていた。ソファーのスペースは、横の母の寝息が聞こえていた。