うちの子は今プリスクールに通っているわけだが、アメリカでは日本のような公立の保育園・幼稚園がほとんどなく、多くが民営いわば営利企業が運営している。
うちの子のプリスクールも例外ではなく、とあるご夫婦が所有する有限会社が、あるプリスクール・チェーンのフランチャイズ経営をしている。
行政からの補助がないため、月謝は目玉が飛び出るほど高い。
半日(9時~15時)預けて日本円にして10万円弱。日本の公立園では延長保育まで含めて3万円弱だったことを考えると、かなり痛い。しかも来期はさらに35ドル/月値上げを予定しているとか。
あまり言いたくはないが、経営のご夫婦が結構「金、金」とうるさく、辟易してしまう場面が多いのだ。
4月に最初に申し込みに言ったときも、「7~8月にサマースクールがあるから、早く申し込んだほうがいいよ。」と誘導され、7~8月の分を前納させられ8月まで縛りにあった。
それでつい払った気になってしまい、かつ住宅の購入手続きも重なったためうっかり5月分の月謝を払い忘れていたら、締切日を1週間過ぎたころにレターをもらい「既にpastdueだから、延滞料金がかかるわよ」と言われた。
そちらは、別のスタッフが間に入ってとりなしてくれたので払わなくて済んだが、そんな後だしじゃんけんみたいな卑怯な手を使わなくてもいいじゃないか、と私は一人で憤慨していた。
また、そのご夫婦と先生方スタッフとの情報共有が全くできていなくて、ある日、うちの子のお迎えを夕方6時にしたいと事前に電話連絡を入れ先生が電話を取ったのだが、それにも関わらず迎えに行くとご夫婦の片割れがレセプションにいて「今日はあなたお迎えの時間に遅れたから、延長料金がかかるわよ!」
そんなこと、事前にお宅のスタッフに電話いれてますし、重々承知ですってば! それが客に対して吐く言葉かい!
本当に頭にきて、もっと教育に力を入れている園に替わろう!と主人に掛け合った。主人いわく、彼らの運営は確かにそういうところがあるけど、人柄的にはいい人たちだから悪く思うな、と言われた。
確かに、先生方は本当にうちの子をよく見ててくれて、うちの子もプリスクールに通うのが心底楽しそう。アルファベットや数字も覚えて、自分の名前を英語でサインするのが楽しくて仕方ない様子。
本人が楽しんでいるんだから、ここは私がぐっと堪えるのだなー、と自分に言い聞かせた。
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そんなある日、いつも通り子供を迎えにいって駐車場を出ようとしたところ、1台のスクールバスが止まり中から小学校中学年くらいのかわいい女の子が降りてきて、経営者のご主人が出迎えていた。
「おー、かわいい子。お子さんかなぁ。」
先方も私たちに気づいて、車に向かって手を振ってくれている。「なんだ、あの人も子供の親、きっと悪い人じゃないんだわ。」
ちょっとほのぼのとした気持ちで自宅に向かった。
そして次の日の朝、子供を送っていくと受付にはご主人が座っていて、私に声をかけてきた。「昨日、駐車場のところで手を振ったのわかった?」
私は「ええ、昨日見かけたのは、お嬢さんですか?」と訪ねた。
すると、彼の目がキラリと光って一言。
「あの子はね、after school program(日本で言うところの学童保育ですな)で預かっているお子さんなんだよ。うちはそういうプログラムも提供しているから、将来のために覚えておいてほしいな。」
私「ええ(汗)、そうね。将来の参考にさせていただくわ。」
・・・やつを信頼した私が馬鹿でした。