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カテゴリ:映画
彼のジェームス・ボンド作品も早くも2作目を数えるに至りましたね。
ショーン・コネリーにはじまり、これまでのボンドって、毎度取り扱う事案こそ全世界を危機に陥れるような陰謀の阻止であるけれど、その映画の内容は、ド派手なアクション ・ 奇想天外な科学装置 ・ シリアスさよりは鼻につくほどの軽妙な雰囲気 ・ プレイボーイらしい刹那のロマンス という特有の風味に彩られていた訳ですが、 ダニエル・クレイグに主役がチェンジしたとたん、かなりリアルな(それでも映画というエンターテインメントですので、誇張や派手さは残りますが)ストーリー設定、ハードなバイオレンスアクションやヒューミント(対人による情報収集・諜報行為)のシーンが満載で、完全にこの映画は実録派路線に舵を切りました。
※日本映画で例えると、「いやいやこれはないだろ」とツッコミながらもニヤニヤして見てしまう完全娯楽路線の『極道の妻たち』シリーズが旧ボンドなら、「こんなんはマジで勘弁してもらいたい」と真剣に考えてしまう実録派のヤクザ映画最高峰である『仁義無き戦い』シリーズが新ボンド、というトコロでしょうか!? ^^;
まぁ、自分はダニエル・クレイグ007のハードな傾向が好みなのですが、こういう映画を見て感心するのは、しっかりとした役の作りこみですね。 欧米の職業俳優を全てほめる訳ではないですが、そもそもの役作りの基本が確かなことに加えて、この作品について言えば、いかもに殺しのライセンスを持った諜報工作員(ダブルオー)らしい所作や動作を自然に身に付けていて、とにかく演技に説得力があります。 例えば、ダニエル・クレイグ扮する007が、アストンマーチンのダッシュボードから自動拳銃(映画「007 カジノ・ロワイヤル」ではワルサーP99)を手にする際にも、自分の愛銃であるにもかかわらず、そのまま携帯するのではなくて、先ずマガジンを外して弾薬の残量を確認、スライドをずらして薬室に初弾が装填されているかをチェック、最後に撃針のクラッチをデコックして銃の安全を確保、なーんて一連の動作を澱みなくさりげなくこなしてたりしているんです。 これは、銃器を取り扱うプロなら、当たり前におこなう所作(銃の残弾無しや弾丸の装填ミスは、緊急時にはそのまま死へとつながることになるから)で、このような演出のリアリズムには、映画ファンなら思わず唸ってしまう部分なんです。 (このようなリアル演出は、ハードなガンアクションのマスターピースというべき名作を撮り続けるマイケル・マン監督の作品にも通底する基本ですね)
脚本がどんなに優れていても、ちょっとした演出の齟齬でしらけてしまうような作品もあれば、その逆もまたしかり・・・。映画って、娯楽の文化ではありますが、やっぱり総合的な完成度を求める奥の深いものなんだと、改めて考える次第です。m(_ _)m そして、そんな演出を忠実に体現する素晴らしい俳優ダニエル・クレイグに、今後とも期待アゲ! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Oct 24, 2009 10:26:05 PM
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