書名
キドナプキディング 青色サヴァンと戯言遣いの娘 (講談社ノベルス) [ 西尾 維新 ]
引用
パパの戯言シリーズその50。
一生考え続けなさい。
答が出ないことを承知で。
感想
2023年134冊目
★★★
『クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い』から始まる「京都のハタチ」西尾維新の作品を、当時夢中になって読んだ中高生の諸君ーーー。
さあ今回の主人公は、青色サヴァンと戯言遣いの「娘」だよ。
レビュー見に行くとみんな「懐かしい」「嬉しい」と書いていて、なんだか同窓会に出席した気分だった(リアルに出席したことは一回もないのだが)。
「久しぶりに読んだけどこの作者に一瞬で入っていくスイッチがある」ーーー分かる。
読者の同朋に向け、「みんな元気で」と書いている方にはちょっと涙腺が緩んだ。
あの時、抜けかけの乳歯みたいに不安定な子どもだった私たち。
蛹の中でドロドロに溶けて、何になるかもわからないまま。
けどみんな、ちゃんと生きて、おとなになった。
そうしたらまた、こうやって出会えたりするんだね。
20年後の新刊だ。
という感慨がまずこみ上げてくる一冊。
もはや内容関係ないやんけ。笑
主人公である「娘」の名前は、玖渚盾(じゅん)。誇らしい盾。
人類最強の哀川潤にあやかって名付けられた少女。
戯言遣いの父からは、「パパの戯言シリーズ」という名言を100教えられ、ママからは絶対法則「機械に触るな。」を教えられ、私立澄百合学園で寮生活を送る平々凡々な女子高生。
夏休みに実家に帰省しようとしたところ、道中を人類最強に拉致られる。
向かう先は、玖渚城。
そこで盾は、初めて対面する祖父母から9つの人工衛星の修理を依頼されるーーー。
はい、そんで殺人事件が起きますので!
もちろん第一作と同じ首斬りですよ!リサイクルはしないけど。
内容はさらーっとしているし、動機は単純だし、トリックに至っては「それひとりで運べるか?」って思ったんですが、まあそんなんどうでもええんよ!
ミステリーとして読んでないからな、西尾維新を。
作中の「イピカイエ」が分からなかったのだけど、"Yippee-ki-yay"はカウボーイが愛馬で疾走する時に上げる熱狂的な歓声、掛け声で、映画「ダイハード」シリーズのマクレーン刑事の決め台詞なのね(Yahoo知恵袋)。
「quod erat demonstrandum」も何?ってなったけど、これが「QED(証明終わり)」の綴りなのね!知らなかったわ!
盾はぶっ飛んだキャラが多いなか、ふつうの女子高生感があって良かった。
まあ最後にはとんでもなく最強な設定が付与されていることが明らかになるんだけど。
従姉妹の遠ちゃんとも、引き続き仲良くしてほしいなあ。
その昔、本を読んでいる時、その世界に没頭するほど悲しくなった。
読みかけの本を閉じて、残りのページ数が減っていくほどに、もう彼らには会えなくなるのだと、その後の彼らを知ることは出来ないのだと思って。
スピンオフ、サイドストーリー、続編には否定的な見方やファンもいることを承知で。
でもさ、やっぱり彼らにまた会えるのは、嬉しいよね。