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2023.09.21
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テーマ:読書(8487)
書名


最後の晩ごはん 兄弟とプリンアラモード(19) (角川文庫) [ 椹野 道流 ]

感想

元2.5次元舞台俳優の五十嵐海里が、スキャンダルで芸能界を追われ、東京から実家のある神戸に逃げてきたところで行き倒れ。
そこへ通りがかった定食屋「晩めしや」の主人・夏神に拾われる。
幽霊が現れる不思議な定食屋で、メガネの付喪神・ロイドと共に、働き始めた海里だが…。
からの、シリーズ19作目。

今回は主人公・海里ではなく、サブキャラである海里のお兄ちゃんがメインの話でした。
船乗りだった二人のお父さん。
海里が幼い頃に海の事故で亡くなってしまい、お母さんはそれで心を壊した。
うつ状態で横になっているだけのお母さん。
高校生だった兄は、ひとりで家事と幼い弟の育児をこなしていた。

現在、お兄さんの夫婦は特別養子縁組を考えている。
そこでお兄さんは、昔の記憶を思い出す。
ギリギリまで追い詰められていた当時の自分が、幼い弟の首を締めた記憶。
自分は父親になる資格なんてないんじゃないか、一度失敗しているのだからーー。

その時の情景がリアルに目に浮かぶようで、胸が苦しくなった。
表面張力でなんとか溢れないような、ギリギリまで注がれたグラス。
それが、最後の一滴で溢れ出す。
今でいうヤングケアラーだった、とこの本で言っているけれど、名前をつけるというのは大切なことだな。
昔はそれが当たり前だった。
「家族」なんだから、お兄ちゃんなんだから、お姉ちゃんなんだから。
お手伝いという領域として家族運営の一端を担うことは、必要なのだけれど。
肩代わりしてくれる人がいない重圧を背負わされることは、それは大人の仕事を押し付けているだけなんだ。
幼い海里もまた、お母さんとふたりで家にいる間は、ネグレクト状態にあったんだよなあ…。
ぐるぐる考える兄弟に、夏神さんは自分の師匠から贈られた言葉を伝える。
罪も恩も、天下の回りもん。

相手がわからん、あるいはもうこの世におらんで、どうにもならんこともある。そういうときは、腐らず諦めず、他の誰かに、そやなかったら、世間様に、償うて、恩返ししていくんや。


そうして誠実に一生懸命生きとったら、いつかは回り回って、伝えたい人んとこにもお前の人となりは伝わる。償いも恩返しも、順繰り順繰り送っていったら、いつか目当ての場所に辿り着く。たとえ辿り着かんかっても、無駄にはならん


師匠はほんまにええ人やし、出来たお人や。
海里は兄のために、父親との思い出の味であるという「プリンアラモード」を作る。
これ、冒頭の店の整理をしていて、師匠のプリンアラモードの容器が出てきた場面がここに繋がるのか!と思った。
これもまた、順繰りに伝わっている。
師匠から夏神さんへ、夏神さんから海里へ、海里からお兄ちゃんへ。

このシリーズを読むと、いつも美味しいものが食べたくなる。
今回はプリンアラモード。食べたいな〜。生クリーム添えて。


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最終更新日  2023.09.21 08:21:25
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