書名
うたかたモザイク [ 一穂 ミチ ]
目次
人魚
Melting Point
Droppin’Drops
永遠のアイ
レモンの目
ごしょうばん
ツーバイツー
Still love me?
BL
玉ねぎちゃん
sofa&
神さまはそない優しない
透子
引用
でも、今のあなたが選ぶものを大切にしてほしい。"Going Flat" には程遠く、これからもでこぼこと満ち欠けを繰り返し、その中で生まれる変化も確かに自分の一部など、楽しんでほしい。人生は現品限りだから。
感想
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スモールワールズ [ 一穂ミチ ]
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砂嵐に星屑 [ 一穂ミチ ]
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光のとこにいてね [ 一穂ミチ ]
の一穂さんの本。今回は短編集。
13話のお話が、「sweet」「spicy」「bitter」「salty」「tasty」に分けられて収録されている。
味とお話を結びつける感じ、山田詠美『風味絶佳』を思い出す。
そしてこの本の表紙、
・
汝、星のごとく [ 凪良ゆう ]
と似てません?書店に並んでいるときから思ってたんだけど。
おふたりの来歴(BL作家)が似ていることもあり、私の中でごっちゃになる…。
この表紙の絵の結晶、よく見たら灯台と海、雲の切れ間から差し込む光が描かれていて素敵。
プロポーズしたら自らを人魚だと告白してきた彼女、
カカオアレルギーだけどショコラティエと付き合っている「私」、
読モがクラスメイトの地下アイドルの隠れガチオタの件、
猫を介して小学生の女の子とやりとりしているはずが実は…、
誰かが命を削って差し出した食事のご相伴にあずかる飢餓の中から生まれた妖怪、
セックスの相手を交換することになった双子の兄弟と結婚した二組の夫婦、
会う度に自分のことを好きか確認する相手にずっと恋をしている、
BL好き初恋の相手のために世界中を同性愛に変えてしまった研究者、
ソファ視点で所有者の人生を眺める、
猫に転生し妻の元を訪れる夫、
本屋さんにおすすめの本を紹介し続ける勉強が苦手な女の子。
…などなど。
私は、百合の「Droppin’Drops」と、世界BL化計画の「BL」が面白かった。
ガチオタ主人公が、あの子に近づく男はみんなプチプチになってしまえばいい、ひとつひとつ潰してとどめにねじり潰してやると考えているところが、発想は滑稽なんだけど狂気と本気が入っていて、「好き」の気持ちが伝わってくる。
一般誌向けというか、万人に読まれやすいのは「レモンの目」「ごしょうばん」「sofa&」「神さまはそない優しない」かな。
百合、BL、ホラー、ヒューマン、恋愛と、色んな引き出しがあってテイストを変えて(味を変えて)書けるんだなあと感心する。
初出も、雑誌「anan」から「ピュア百合アンソロジー」「メフィストリーダーズクラブ」「SFマガジン」などなど多岐に渡る。
まさに「モザイク」みたいな作品集。
作品によって自分に合う合わない、好き嫌いはあるだろうけど、これだけ色々書けたら何かしら好みのものが入ってるんじゃないかと思う。
私はサクマドロップスみたいなイメージで読んでいた。
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