書名
シェニール織とか黄肉のメロンとか [ 江國 香織 ]
引用
どういうつきあいなのかは知らないが、理枝は完全に恋愛モードのようだ。二度の結婚と離婚(のようなもの)を経てなお、男性に対してそんなモードになれることが信じられなかった。早希はもう絶対にそんなモードになれる気がしないし、なりたくもない。自分の心身は、断固、自分だけのものにしておきたかった。
感想
実家で母・薫と暮らす作家の民子。
そこに転がり込んできた、イギリス帰りの理枝。
夫と二人の息子がいる主婦の早希。
かつて「三人娘」と呼ばれていた大学時代からの友人たちが織りなす日々。
いちおう、物語としては理枝という異分子が日常に入ってくるところで始まり、理枝が家を出ていくところで終わる。起結。
のだけれど、いつもの江國香織ワールド。
何かが起こるわけではない、小さな出来事がさざなみのように寄せては返す。
三人娘が大学時代から仲が良いのがすごい。
タイプがまったく違うのに、ずっと仲良し。
この三人の中では、私は変化を嫌う地味な民子だなあ。
でも、私が民子なら、華やかで奔放な理枝が羨ましくて、仲良くできないと思う。
学生時代からの友達、貴重だよね。
私は友人がいないので(寂しい人生だ)、すごいなと感心する。
その都度都度、ぷっつり切れるようにして関係を終えてきた。
ここの私、ここの私、と連続性がない関係性。その場で演じる私という属性。
仕事という居場所がなくなったら、私ってどうなるんだろうと心配になる…。
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