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カテゴリ:短歌
長野県岡谷市在住の湊明子さん、丹精の第一歌集である。 砂子屋書房、本年5月発刊、178頁、定価3,000円 著者は、短歌結社「氷原」に所属。「氷原」の長澤ちづ代表が序を書いている。書名の「陸封魚」は、海から切り離され湖沼などに封じ込められた魚のこと (1故郷、信州諏訪の四季、身辺。 2旅、音楽など。 3二十代の作品) 端正で叙情豊かな歌が並ぶ。特に自然を切り取る繊細な眼は、著者の生まれ持つ感性の賜物と言える。自らの人生へ厳しい目を向けるピルグリム精神も見逃せない。 * 雨去りて拍子木ひとつ入るほどの間のありてのち蝉の鳴き出づ * 陽を返し羽あることを知らしめてアキアカネ舞ふコスモスの野に * 母あらば母と訪ふべき町ならむ梅雨の最中を通り過ぎゆく * シャワー浴び胸にふうはり子猫抱き鏡の中に聖母子となる * 耐へゐしをまづ一滴(ひとしづく)流るれば止める術なし涙といふは * 言葉とは危ふき橋ぞさはあれど渡るほかなしけふもその橋 * 人拒む吾の強さを悲しめり初夏の陽の陰りゆくとき * 生命は海に生れしとふ海鳴りを身のうちに聴く吾は陸封魚 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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