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自分にあった温泉を探そう
今年は例年になく全国的に「寒波襲来」で大変な冬となっています。
すぐには出かけられなくても、少し落ち着いてから、わが国の宝「温泉」行きを
考えてみませんか。
泉質を知って、体質改善。
海、山、森。温泉は所在地によって効能が異なります。
◎温泉がもつ4つの効能
温泉につかるとリフレッシュできて、より健康になった気がしますね。
温泉がもつ4つの効能「温熱」「水圧」「浮力」「含有成分」によるもの。
「温熱」は、お湯の熱が血管を拡張させて血液の循環を促します。
「水圧」は、マッサージの効果で血行を促進します。
「浮力」は、お湯の中で体重が10分の1になり、足腰にかかる負担を軽減させてく
れます。
これらは、家庭のお風呂でも体験できる効能ですが、温泉では、その効能がさらに
高まるのです。
温泉の最大の効能は「温まること」===高い温熱効果。
温泉に入ると体の芯から温まるのは、温泉に含まれるミネラル成分が皮脂と結びつ
き、体の表面に被膜をつくるからです。
そのため、温熱効果が持続して、長時間にわたって体がポカポカします。腰痛、肩
こり、婦人病などは、体を温めることによって症状が改善するものもたくさんある
ので、こうした持病のある人は積極的に温泉を利用してみてはいかがでしょうか。
海、山、森。それぞれの温泉の特徴。
海にある温泉は、疲れた心と体を癒すのに効果的です。
海辺はマイナスイオンの空気に包まれ、海水のヨード、塩分などが空気中に溶け
出しています。
この空気を吸い込んだり、からだに浴びたりすることで、自律神経のうち、副交
感神経の働きが活発になり、身心がリラックスして、疲労回復やストレス解消に
効果的。
また、適度に湿気を含む海の空気は、呼吸器の弱い人にも効果的です。
ただし、この湿度は、腰痛や関節痛のある人には向いていません。
山にある温泉は、今よりもっと元気になりたいという人に向いています。
標高800m以上ある山の上の温泉は、平地に比べて空気が薄く気圧が減少します。
そのため、血行が促進され、新陳代謝が活発になります。
自律神経のうち、交感神経が活発に働くので、元気度をアップさせてくれます。
一方、イライラしているときには、気分が高揚しすぎてしまうため、避けたほう
がいいでしょう。
また、心臓に負担がかかるため、高血圧の人も向いていません。
森にある温泉は、健康な人から病弱な人まで、比較的どんな人にも向いています。
森林内の環境は、気温、風などの気象が比較的穏やかで静かです。
しかも、フィトンチッドと呼ばれる樹木が発散する成分や香りには、気分を安定さ
せるアロマテラピー効果があることから、身心ともにリラックスできるのです。
このように、泉質による効能だけでなく、「温泉旅行をする」という行為そのもの
も、温泉の効能に含まれているのです。
つまり、広い意味では温泉を取り巻く環境のすべて・・・・標高、気温、湿度、
風や音、新鮮な空気、宿泊地でのおいしい食事・・・・が温泉の効能といえます。
「効能」と「場所」、この二つを念頭におきながら旅先を決めれば、よりいっそう
の効果が期待できるでしょう。
植田理彦氏 医学博士
1927年東京生まれ、1950年東京大学卒業後、同大学物療内科にて温泉医学を学ぶ。
温泉療法専門医、医学博士、温泉医学の解説と普及に努め、わが国の温泉療養地の
指導に当たる。温泉、入浴に関わる著書多数。
体調別、自分にあった温泉を探そう!