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第一話「山奥の工業高校」
四月・・・・。桜の木がやたら多い。というか木だらけだ。森だ。いやぁ、大変なとこに来てしまった。 やっと着いた・・・ オレは、神坂要(かみさか かなめ)。 「私立 花水木(かすいぎ)工業」 ここかぁ。 今日から、オレはここの生徒だ。 家は決して裕福ではない。 むしろ、貧乏だ。 というか、かなり貧乏だ。 とりわけ金が無いもので、前に居た街では借金やらで居辛くなり、ここへ逃げてきたのだ。 とはいっても、オレも17歳。 高校には行きたい。けど。 お金はどうにもならない・・・。 だから、オレには今日一世一代の大勝負がある。 この花水木工業には、野球部が無かった。 奥羽山脈の山奥にあるから、なかなか人がいないという理由である。 何十年か前はなかなか強いチームだったらしいが。 だが、ここの校長先生が変わったとかで、方針が変わり、野球部結成ということになったらしい。 なんでも野球好きだとかなんだとかで。 でも、いきなり野球部作っても、「勝てるわないやないか!!」 ってことになり、なんか大変だと言う。 そこでオレが登場する。 前の高校では、部費免除で入部し、1年生の去年から4番でエースだった。 野球には自信がある!!!! そのウワサを聞いて、校長が、 「野球がうまければ。色々考えってやってもいいけどなぁ」 ぜひとも!!!である。 ふう、ここがグラウンドか?? まぁ、あいさつくらいしとくか。 「野球部体験入部の神坂 要です。」 「神坂・・・おぬしが、転校生でござるか。」 い、今時。。。 ユニフォームに、帽子、バット、グローブ、スパイク、んで、、、 ござる??????? こいつ、明らかにおかしい。関わらないほうがいいかなぁ。てか、こいつ野球部かよ? 「拙者は一河でござる。一河新撰組(いちかわしんせんぐみ) でござるよ。ちょろしく。」 こいつ何者?? 新撰組って・・・・。 「君は野球部なの?」 「見たとおりでござる。」 「君、名前変わってるね。」 「ありがとうでござる」 (誉めてねぇぇぇぇ・・・・。) すると・・。 「エブリワンエブリワン、ミーのトコに集まるですますよ」 また変なやつが出てきた。 こいつ日本人か?アメリカ人か?てか何人(なにじん)だよ??? 「ユーさっきミーのこと何人が考えたですますね? お見通しでございますよ。ミーは変人です。」 正解。 てか、名乗れよ・・・。 「ミーはアメリカン・ジョンソンであるよ」 へぇ。。。 って、外人かよ!!! 変なヤツ・・・。 「お前ら、まじめに練習しろ!!」 お、やっとでまともなのがでてきたかな? 「すまないでござる・・・。」 「おぉ。ソーリーね」 やったぁああ。 あんた命の恩人。 こいつらにかまってられるか!! 「ごめん。うちの部員が。オレはオリバー官。 みんなにはオリバーって言われてる。キャプテンで、生徒会 副会長だ。」 やっぱり。 普通だけどなんか違うよ・・・。 だいたいオリバーかよ。 「まぁ、いいよ。監督が待ってる」 監督「全員集合!!!!」 はい!! 監督「こいつが、神坂だ。話は聞いているな。自己紹介はなし。校長に聞いたように、まずはバッティングを見よう。」 監督は何人かの部員にゲンコツをお見舞いし、背番号1の、左ピッチャーをマウンドに送り込んだ。 明らかにザコである。 弱そう。身長こそあるが、肩幅も無い。どうせ110キロぐらいのヘボヘボボールだろう。 「ユーにミーのボール打てるの?」 ってこいつかよ!! アメリカンジョンソンだっけ。 絶対しょぼい。 おっしゃぁ。監督の前でホームランいきますか。 「ミーもう投げる。早く構えろ」 はぁ、そんな何言ってんだよ。 安心しろ。エースはオレになる。お前はここでもろくもオレに打たれるんだ。 振りかぶった。 ゆったりとしたフォーム。 安定した下半身。 トルネード気味に体を後ろに回した。 上体を倒した。なんだ、サイドか。 トルネードから体を巻き込むようにしてスムーズに腰を折る。 まだ倒す。 まだ倒す。 まだ倒す。 アンダーだと?ふざけるなよ? にしてもフォームはやたらゆっくりだ。 腕を頭上に上げた。 一気に後ろから腕を振る・・・・。 地面すれすれ、推定5センチ。 来る・・・。 「シュパーーーーン」 「ブウーーン」 「パシーーーン」 バットは、空を切った。 嘘だろ。 なんだよこのスピードは。 「フン。ユーもそんなもんね。」 何??? 雪の降らない僕らの街にHOME ←登場人物 第二話→ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007.03.05 21:15:34
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