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Choral am Ende der Reise ~旅の終わりの音楽~

Choral am Ende der Reise ~旅の終わりの音楽~

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2006.12.03
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カテゴリ:カテゴリ未分類
オフェリー・ガイヤールというフランス人チェリストの
コンサートのチケットがムダになりそうだから、
いる?

いります!

ということで、ヨータさんにチケットをいただきました。

これは金曜のはなしですね。

彼は病院勤務なので、「病院に何時何分にきてね」
ということで、病院にいく。
「オケのやつに声かけても誰も返事がこないんだもん」とのことで。
無職(←私が、です)の強み!

私は、幸福なことに健康なので、めったに医者にかからない。
彼の勤務先は総合病院(でっかい)なので、
いろんな患者さんがいた。
夕方に待ち合わせをしたので、一般の受付は終わっていて、
せっぱつまった患者さんや、入院している患者さん、
勤務中や勤務の終わった看護士さんやお医者さんが通り過ぎる。

「いろんな人がいるんだなあ」
と思った。
たくさんの看護士さん(足が細い!みんな!)、
看護士さんに車椅子を押してもらって移動中の点滴をうっている中年の女性、
ベビーカーに乗っている赤ちゃん。
頭をかかえてうずくまっている男性。
車椅子にのってボオオッとしているサラリーマン。

いろんな人がいるんだなあ。

ほんとうにしみじみきた。

で、そのあと、お仕事が急になくなったヨータさんと
(ほんとうは、私だけが行けるはずだったのだけど、いけることになった)
タクシーにのってコンサートに向かう。

病的におしゃべり好きなタクシーの運転手さん。
だまりまくる私。
相槌をうちまくるヨータさん。
「あいづちうまいなあ、ヨータさん」とつくづく思った。
天才的にうまい。これは、職業によるものかもしれないけど、
天才的にうまい。相手が次にいいたいことを予期したうえでの返事、
相手が言いやすいように返事を繰り出す、
かといって「うんうん」とかいっているだけでもなく、
適当に相手の会話に必要な情報をくりだしているんだけれども、
無駄なことはいわない。

すごい。
こんなことで感心されても本人は「なんだよ」と言う感じだろうが、
かなりすごいと思った。ああいうふうに相槌したい。

で、コンサート。
フランス人女性チェロ奏者、オフェリーガイヤールによるコンサート。

バッハと、ブリテンと、カサドの無伴奏チェロ組曲。
「バッハって、自分がいままで聞いてきたバッハを脳みそで
重ねるように聞いてしまうなあ」
と思いながらバッハを聞く。

なんだかんだいって、音楽というのは演奏家の肉体から
生み出されるものであって、精神性がそれを超えることはないのだけれども、
それはべつに変なことでもなんでもなくて、すばらしいことで、
そういうものとしかいいようがないことなのだなあと思った。

ピチカートがとてもかわいい音がする。

今の私は、もしかしたらチェロ「そのものの音」にはそこまで
興味がないのかもなあと思ったりした。

というのは、彼女の室内楽が聞いてみたいなあ、
ソロってさびしいなあっと思ったから。
室内楽、他の楽器とからむときの、音のバランス、広がる音域、
パートとパートの見えない隙間、そういうのが好きなんだなあ、と思った。

それでも、彼女はたぶんものすごく頭がいい人で、
自分がどんな音楽をつくるかたぶん明確にイメージがあるんじゃないかな
とか思った。

彼女の演奏をひとことでたとえろっというなら、
「チャーミングな演奏だな」と思った。
チャーミングなのである。非常に。
そして、これはヨータさんとも言い合ったけど、
写真でみるよりずっとかわいかった。
これは、よくある現象だけど、ナマでしかその魅力が見えない人がいる。
写真でぱっと撮影すると、カオの形だけがうつるタイプの人がいて、
そういう人に実際会うと、ぜんぜんカオが違うわけだが、
それって、カオの周りに絶対なにか、写真にはうつらないタイプの、
ゆらゆら魅力とでもよぶしかない雲がふわふわ浮いているんじゃないか
と信じている。

で、最後にバッハの無伴奏をさっとやったのだが、
わたしはこれが一番よかった。
(もちろんその前のバッハだって、カサドだってブリテンだってすごく
楽しめたけど)

今年はモーツァルトのことばかり考えてきてて、
モーツァルトはとにかく♪の黒いところがつぶつぶ丸っこい感じ
なんだよなとかわけのわからないことを考えてきたけど、
バッハ、彼女のバッハはとくに、アレだと思った。

彼女のバッハの無伴奏は、雨音みたいだなあと思った。
静かに部屋のなかであめふりに耳をすませているときの
雨音みたいだ。
しずかに旋律という細い線がS字型に、部屋の中を、空気を
ぬっていくという感じ。
混雑した空間をすいすいとプロのウェイターが通り抜けていくみたいに。
ある種の静けさが。そして、そのアンコールの演奏の力の抜け具合って、
ぱっと授業のノートを端折ったみたいなそんな感じなのだ。
鉛筆のにおい。

静けさ。

自分がどこまでやれるかわからないけど、いけるところまで
いってみたいし、見てみたい。

ヨータさん、どうもありがとうございました!
ちゃっかりおごってもらってしまいました。すみません。

いろいろ考えることのできたいい一日になりました。






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Last updated  2006.12.04 02:31:48


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