安全とは何か・・
レース それは、スピードで駆け抜け、相手を抜かす・・シンプルながらもドライバー、技術者などの熱い思いが込められ 我々に多くの感動、興奮をもたらしました。 しかし、レースは危険はつきものそれがひとつの興奮でもありますが・・決しておこって良いものではありません。 現代のレースカーは300キロ超を超えてどんどんインフレ化しています。では、どのようにインフレしていってるのでしょうか? たとえば・・24時間も走る過酷なレースル・マン24 ル・マンでは24時間終了後も優勝カーの走行距離は1923年第一回優勝した走行距離は・・2209Km2010年の優勝を果たしたアウディR15は・・ 5410Kmなんと倍近い距離までのびています。単純な計算ですれば速度が2倍となりますが・・速度があがってることは間違いなしです。 では50年間のF1の平均速度はどう変わっていったのか? 平均速度の年別変遷です。通常、ポールポジション速度、ファステストラップ速度、優勝者平均速度の順になります。優勝者の平均速度は、1950年代-155km/h1960年代-166km/h1970年代-177km/h1980年代-180km/h1990年代-187km/hとどんどんインフレ化してます。 1950年代後半にミッドシップ化でコーナリング速度が上昇。これに対し1961年に排気量が3リットルから1.5リットルに半減。1970年代後半のウィングカーの高速コーナリングに対し、1980年代前半にフラットボトム規制で抑えられます。1980年代前半のターボパワーは、1980年代後半に過給圧制限で抑えられ、1989年にターボそのものが禁止されます。1990年代前半はアクティブサスペンション、トラクションコントロールなどのハイテクでコーナリング速度が向上しましたが、1994年に禁止されます。 それでも急上昇する速度を減らすために、1998年から溝付タイヤ、車体全幅制限がはかられるなど インフレ化に対していろいろな対抗策がとらえてます。 このように技術進歩でより速くなりレースに勝つためにインフレせざるえないのでしょう? では、レースはより危険になったのか? いえ・・・・ 逆です。 むしろ、現代の性能インフレ以上に安全性のインフレ化したのです。 具体的にル・マンの年代別死亡事後をみてください。 青は50年代、オレンジは60年代、緑は70年代、、ピンクは80年代、黄色は90年代。 墓石の数は死亡者数です。ル・マン24時間レースは、昔と比べ遥かに速くなっていますが・・それ以上にはるかに安全になってるのがわかります。近年においては事故はおこりますが・・ レース中の死亡事故は1986年、1997年の練習中に死亡したセバスチャン・エンジョーラス以来おきてはおりません。1999年にメルセデスが宙を舞ってひっくり返ったのにもかかわらず、ドライバーは助かりました。 近年ではル・マンに死亡事故がないといっていいぐらい安全になりました。 これも安全に取り組んできただけではなく・・・ 1955年レース、メルセデス・ベンツとジャガーとのクラッシュ ドライバーと観衆併せて死者77人、負傷者120人とモータースポーツ史上最悪の死者を出しています。メルセデスのクルマが宙を舞い、観客席に着地したことが大惨事です。当時はコースと観客席を隔てるバリアーが無かったなど、レースカーと観客はラリーカーで写真を撮る人のようにむき出しだったわけです。この苦い経験のように安全の道のりは平坦ではありませんでした。 では、F1を見てみましょう。 グラフはF1ドライバーの死亡事故件数で、折れ線グラフはF1GPでの出走台数ごとの事故発生率です。 1970年代中盤まで、F1ドライバーはF1以外のレースにも出場して命を落としていました。両者の関係は1970年代中盤を境に対象的です。すなわち、1950年代から1970年代中盤までは、F1ドライバーの死亡事故が毎年多発していますが、それ以降は減っています。もうひとつのF1マシンによる死亡事故初めてF1グランプリレース中に死んだのは1958年フランスGPのムッソでした。 以来、皆さんがいたいほど知っている1994年サンマリノGPのセナの事故 F1レース中に18人が命を落としています。予選では6人。 1958年から1982年までの25年間、F1グランプリは、なんと年に一人は死ぬ時代が続くという危険な状態が続いていました。 しかし、現代のF1は1994年の事故を最後に安全化していきました。 私たちみるF1では事故はよくおこりますが・・事故後のすぐにドライバーが無事に自力で出てくるのがもはや当たり前の光景です。 このように、コースの脇には大量のタイヤバリゲード、芝生のスペース確保、バンクの廃止など 安全にたいする試みが現在の安全たるレースを作り上げたのです。 もちろん・・ 安全すぎるレースは面白くない!! という意見もわかります。俺も現在の車で30度バンクを走るレースを見てみたいです。 しかし・・しかし、よくよく考えてください。。。 日本のF1をわかしたアイルトン・セナは・・ もう帰ってこないのです。 ドライバーも一人の人間、家族もいて、大切な命なのです。レースがより面白くなると同時に、安全に対する試みはレースにとってはとても大切なことなのです。 最後に10月16日にインディレースで亡くなったダン・ウェルドン氏にご冥福お祈りいたします。 画像参照元・http://www2u.biglobe.ne.jp/~siof/index.html