タイは男性から女性,あるいは女性から男性への性転換手術(性別適合手術)の先進国である。外国人患者の受け入れにも積極的である。心と体の性の不一致に悩む,性同一性障害(性別不合)の人たちが,世界中からタイを訪れ,性転換手術を受けている。日本人でこの手術を受けた人の5割以上が,タイで行ったともいわれている。
だが,命にも関わるリスクも伴う大がかりな性転換手術を外国の病院で受けるとなると,不安はつきない。そこで活躍するのが,日本人の患者と現地の病院を繋ぐアテンド(世話人)業者である。
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性転師 「性転換ビジネス」に従事する日本人たち【電子書籍】[ 伊藤元輝 ]』(伊藤元輝/柏書房)は,そんな性転換手術の仲介者の実態に迫るルノンフィクションである。
著者・伊藤元輝氏は現役の共同通信社の記者で,複数の世話人に丹念に取材を重ねながら,その必要性と問題点,そして日本における性同一性障害の問題を冷静に考察している。なお,性転換手術のアテンド業者を指す「性転師」という言葉は,本書の造語である。
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内容性同一性障害の当事者に「早い・うまい・安い」のタイ・バンコクでの手術を斡旋,仲介する業者の面々。彼らはいったい何者なのか?なぜ,彼らは生まれたのか?性転換ビジネス陰の実力者「アテンド業」の実態に迫る迫真ルポ。
著者-伊藤元輝(いとう・げんき)
1989年生まれ。早稲田大学法学部卒業。大手証券会社に入社,厳しい営業職に音を上げて2か月で退職。充電期間を経て2011年10月,記者として共同通信社に入社。高松支局,大阪社会部を経て,現在は神戸支局に在籍。事件担当を中心に,ルポルタージュなど連載企画にも取り組む。
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>>>性別欄のない履歴書,コクヨが発売へ 当事者の要望受け
コクヨは性別欄のない履歴書を発売する。心と体の性が一致しない「トランスジェンダー」など性的マイノリティーの当事者が「カミングアウト」を強いられる問題に対応する。履歴書の発売日などは未定。
履歴書の性別欄では,労働問題に取り組むNPO法人「POSSE」が削除を求める署名活動をし,1万人超の賛同が集まった。日本規格協会は署名の提出を受けて7月,性別欄や顔写真があった履歴書の様式例を削 除していた。